![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/28227714/rectangle_large_type_2_ab63fdc54dcafc0249aaff4c96842298.png?width=1200)
大喜利から学ぶ #問いのデザイン IPPONグランプリのお題の9パターン
人間の創造性のメカニズムは、身の回りのさまざまなソースから学ぶことができます。特に私は大学院生の頃から「お笑い」が持っている"文脈をリフレームする(ボケが文脈を逸脱し、ツッコミが文脈を回復させる)メカニズム"は、イノベーションプロセスにかなり類似性があると主張していて、これまでの著書の中でも、イノベーション論からみるサンドウィッチマンのコントプロセスの分析などもしてきました笑。
ベストセラーとなった書籍『問いのデザイン』の観点からいえば、「大喜利」というお笑いのフォーマットは非常に学ぶことが多いです。芸人が卓越した創造性を保有していることは前提ですが、芸人のポテンシャルを引き出すも殺すもお題の設計次第という点では、問いのデザインの重要性に似ています。たとえば2009年から放送されている人気番組『IPPONグランプリ』を観ていると、特にそのことを実感します。芸人の采配もさることながら、「お題」自体に工夫が凝らされていて、視聴者自身も考えたくなるような魅力的な問いが、次々に提示されます。
おそらく放送作家の方を中心に、過去のお題と重複しないように議論をしながら制作していると思われますが、過去のお題リストを観ていると、一定の問いのデザインパターンが存在することが見えてきます。これらはもしかするとファシリテーションやイノベーションプロジェクトに応用できるかもしれませんので、いくつか発見できたパターンをまとめてみます。※なお、毎回必ず出題される「写真で一言」は、選定される写真の情報の質量によってお題の性質がだいぶかわるので、分類対象から外しました。
1.微妙ランキング
ある状況において、ランキングの上位ではなく「下位」に該当する条件を問うパターンです。ランキング圏外ではなく、少数が回答した「下位」を答えなければいけないので、「ありそうだけど、少ない回答」を想像しなければならず、創造性が喚起されます。過去の例をみると、「87位」と「8%」が頻出しているようです。
過去のお題の例
・「○○の秋」1位は食欲、2位は芸術、87位は?
・医者にアンケート。「医者人生の中で一度は言ってみたいセリフ」第87位は?
・エレベーターガールにとったアンケートで「8%」。何が8%?
・教頭にとったアンケートで「8%」何が8%?
・芸能記者が「500円だな」と判断したネタを教えて下さい
2.オクシモロン
オクシモロン (oxymoron)とは、意味が矛盾する言葉を並べて、表現を豊かにするレトリックの手法です。シェイクスピアが多用していたと言われています。書籍『問いのデザイン』の事例で示した「危険だけど居心地が良いカフェとは?」などは、これに該当します。固定観念に相反する形容詞が与えられることで、トレードオフ関係のなかで、二項対立の先にある発想が誘発されます。2020年6月13日に放送された『IPPONグランプリ』の決勝戦の最後のお題「検便をエレガントに言い換えよ」も、このパターンだといえますね。(バカリズムの優勝回答は「クソワッサン」でした笑)
過去のお題の例
・メルヘンチックな強盗。どんなの?
・「おやじ狩り」されたけどなんか嫌じゃない。なぜ?
・かっこいい寝言を言って下さい
・「この泥棒、育ちがよさそう」その理由は?
3.既存物語の拡張
すでに広く普及した童話や映画など既存のストーリーを前提にして、その物語の続きや、発展的な設定について問うパターンです。文脈がすでに固定化されていますので、その文脈に「乗りながら想像」したり、逆に既存の文脈では起こらなさそうな設定へと「ズラす」ような思考が誘発されます。
過去のお題の例
・13日の金曜日に暴れ回るジェイソン。14日の土曜日は何をしてる?
・ゴジラが街を壊すときに心がけている事とは?
・ゲゲゲの鬼太郎が自伝を出版そのタイトルとは?
・昔話「浦島太郎」が本当に伝えたかったこととは?
・映画【踊る大捜査線】パート1は「事件は会議室で起きてるんじゃない!」パート2は「どうして現場に血が流れるんだ!」ではパート3で、青島刑事が叫んだ言葉とは?
・フック船長が「このフック飽きたな~」何に変えた?
4.プラスワン
ここから先は
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?