
【投手】体重移動の力をボールに伝える為の「着地足の使い方」解説編①
今回は、軸足の使い方ではなく、前足の使い方をお伝えしていきます。前足の使い方を習得する事で、体重移動で得られた力を余す事無く、ボールに伝えられるようになります。いくら体重移動のスピードが上がっても、いくら軸足の蹴りの力が向上しても、前足がちゃんと使えていなければ、球速アップに繋がりません。
球速を高める為には、着地足の使い方は非常に重要なポイントとなります。
体重移動とは?
どんなスポーツでも体重移動という言葉を耳にすると思います。では、体重移動とは、一体何なのでしょうか?
体重を右から左に移動させたり、後ろから前に移動させる事だという事は、何も説明を受けなくとも何となく想像出来るかと思います。
しかし体重移動をちょっと異なる言葉で伝えるともう少し理解が深まります。それは「重心移動」です。
スポーツでは、単に自分の体重を何㎏軸足に乗せて、前足に何㎏移動させるというように体重が移り変わっている訳ではなく、自分の重心を移しているのです。重心をピッチングフォームの動作において、移動させる事で、自分の軸がどこにあるかという場所を移すという事が体重移動の本当の意味です。
我々指導者も体重移動という言葉を軽く使ってしまっていますが、体重を移動させるという事だけだと少々言葉足らずです。
体重移動とは、重心移動。動作中に軸を前後左右に移動させる事で力を余す事無く伝える事が可能となるのです。
動作の力強さは、重心の位置で決まる
まず野球以外で考えてみましょう。スポーツや日常生活動作において力を発揮させたい方向に我々は重心を移動させます。
例えば、歩きや走りは、前方に向かって進む為、体を前に傾けて前方に重心を移動させ、移動しているのです。重心を後ろに傾けて歩いたり走ったりする方は基本的にはいませんよね?なぜか効率が悪いからです。もっと簡単に言うと疲れるからです。前に進む為には前に力を発揮させた方が効率的なのです。
スポーツの場合、日常生活動作と違い、瞬発的に全力で力を発揮する局面があります。
例えば100m走。スタートと同時に一気に全力を出します。この際、スタートと同時に前方に向かって体を傾け、進む方向に重心を一気に移動させます。なぜ足の回転が速く、腕の振りが強く振れるのかというと、「重心が思いっきり前方に移動している」からです。
反対にスタートと同時に重心を後ろに傾けたらどうなるでしょうか?
これはあえてお伝えしなくとも想像出来るかと思います。

一気に重心を移動させる
では、ピッチングはどうか?イメージは、100m走と似ています。というかほぼイコールです。
ピッチングにおいても重心が前にあれば、前で力強く腕を振る事が出来るのです。動作の力強さは重心の位置で決まる事をご理解下さい。
そして重心を移動させる時には、徐々に移動させるのではなく、一気に移動させます。投げる直前まで軸足に重心が乗ったままで、投げる瞬間に一気に前に重心を移動させます。
ダラ~っと重心を移動させるのではなく、ずっと後ろに重心を残して、我慢して我慢して一気にドンっと移動させる感覚です。
まとめ
スポーツにおける体重移動は、単に右から左に体重の数値が変化するという事では無く、体の重心を移動させる事により、より効率的で力強い動作を生み出す為の重要な要素です。動作の力強さは、重心の位置によって決まるのです。ピッチングにおいては、腕の振りのスピードによって球速が決まります。重心が前にあるから力強く腕を早く振る事が出来、球速がアップするのです。
次回は、着地足をどのように使えば良いのかをお伝えしていきます。
お楽しみに!