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フォーム界のレジェンド「お尻の位置」解説⑤ 軸足で蹴らなくても体重移動に加速がつく

結論から言うと、体重移動の際、軸足で地面を蹴ってはいけません。これは何故かというと「腕の振りと軸足の蹴りのタイミングを合わせたいから」です。体重移動の序盤から軸足で地面を蹴ってしまうと、腕を振る時に下半身の力が入らず、パフォーマンスが低下してしまうのです。
その為、軸足で蹴らなくても体重移動に加速をつける為のお尻の位置を身につける必要があるのです。

大人になってからスポーツを始める難しさの本性

「習い事は3歳から始めるべき」と聞いた事はありませんか?3歳でなくとも出来るだけ早い段階から始めた方が正しい動作が身につきやすいのはその通りかと思います。
では、なぜ出来るだけ早い段階からスポーツを始めた方が良いのかを簡単に言うと、「筋肉が無いから」です。筋肉が無いので、自然に体を機能的に動かすしか無いのです。そして体をどのように扱えば良いのかという知識も無いので、思うままに体を動かす事が出来、結果正しく動いてしまっているのです。

では、大人はどうでしょう。筋肉がついて、知識もつきます。すると、自分の筋力や知識に捉われてしまい、動作にズレが生じてしまうのです。
筋肉がつく事も知識がつく事も決して悪い訳ではありません。子供の頃は動き自体は良くても、筋肉がなければ速い球もホームランも打てません。
要は、我々大人達がスポーツにおいてパフォーマンスを向上させるには、自分自身の余計な筋力や余計な知識でなんとかするのではなく、自然の力をもっと使えるようにするべきなのです。

重力という自然エネルギー

地球にいる以上、私達の体には常に重力がかかっています。
この記事を読んでいる皆様は、重力を感じていますか?ご自身の体の重みを感じているでしょうか?頭の重み、腕の重み、足の重み、全身の重み。
実は、常に力を入れて、力んだ状態でいると重力は感じられず、体の重みは感じません。
フゥ〜っと息を吐いて、全身の力を抜いてみましょう。すると徐々に体の重みを感じてくると思います。
当たり前の事ですが、大人になると子供も頃より体重が重くなります。それを上手く活用するのです。その重みを感じているかいないかでスポーツパフォーマンスに圧倒的な差が生まれるのです。

お尻を体の前に預けると減速する

お尻が体の前に預けられた状態では、体の前側の筋肉を主に使う事になります。そして体の前側の筋肉の中でも「太ももの前」の筋肉は、別名ブレーキ筋と呼ばれており、動作にブレーキをかけてしまうのです。
そしてスピードが出ないので、強引に軸足で地面を蹴って加速させようとするのです。
体に負担がかかる上に、非効率な体の使い方なので、パフォーマンスはもちろん低下します。

お尻を体の後ろに預けると加速する

ヒップビハインドの姿勢が身につくと、体の裏側の筋肉が使えるようになります。そして体の裏側の筋肉の中でも、「お尻、太ももの裏」の筋肉は、別名アクセル筋と呼ばれ、体が前に進む際に使われます。
という事は、ヒップビハインドの姿勢さえ出来てしまえば、自然と体重移動にスピードがつくのです。
さらにヒップビハインド+重力+マウンドの傾斜を使う事が出来れば、体重移動はもっと加速します。
軸足で蹴らなくとも体重移動に自然とスピードが生まれるのです。

腕の振りと蹴るタイミングを合わせる

立ち幅跳びを思い浮かべて下さい。飛ぶ瞬間、つまり地面を蹴る瞬間に腕も一緒に前方に振りませんか?
そしてもう少し考えると、地面を蹴るのは、飛ぶ瞬間の一瞬だけですよね?
特にジャンプ動作は分かりやすいのですが、飛ぶ前の予備動作で、下にしゃがみます。その時体の力を抜いて、重力に身を任せ、ストンと下に落ちると思います。その後、飛ぶ時に地面を蹴り、腕を大きく前方に振る事で遠くまで飛べるのです。ちなみに飛ぶ前から体が力んでいたり、腕の振りと蹴るタイミングがズレた場合どうなるでしょう。上手く力が伝わらず、遠くまで飛ぶ事は出来ません。
これは野球でも同じです。
腕を振り、軸足で蹴るタイミングでは一気に力む事になるので、それまでは出来るだけ何もしないのです。自然の力を使い、一瞬だけ自分で力を発揮するという感じです。
このタイミングを掴むのは、容易ではありません。しかしこれがスポーツの楽しさの一つです。簡単に出来てしまったら面白くないですもんね。

結局、どうすればヒップビハインドが身につくのか

ここまで数話に渡り、ヒップビハインドの仕組みや効果をお伝えしてきました。では、どうすれば下半身の力を使う事が出来るのか。インステップが改善されるのか。体の開きが抑えられるのか。軸足で蹴らなくても体重移動が加速するのか。
これを次回お伝していきます。
次からは、実践編です。お楽しみに!

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