エッセイ③:退職する決意
扉のノブを回して事務所に入る。「おはようございます」と挨拶しても、その返事は誰からも返ってこない。稀に、小さな声で「あざす」と機嫌が悪そうな声で返ってくる。ここには、普通の会社の普通の常識というものがなく、朝から挨拶が返ってこない日は当たり前だ。
この職場に勤めて5ヶ月経つが、職場の人間関係と雰囲気には苦労していた。従業員のイライラで事務所の雰囲気は冷たくなっていて、部屋全体に重石が乗っている感じだ。当然、そんな場所で作業しようとは思えず、常にその場から逃げ出したいと思って