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アランニット制作日記2019-20

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ヴィンテージ素材に箔と染めを施すことで、古着を新しく生まれ変わらせる「NEW VINTAGE(ニュー ヴィンテージ)」。 白い無垢なアランニットがどのように変化していくか、ライタ…
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#イベントレポ

粉雪が降り積もる季節を想像しながら/アランニット制作日記 9月後編

 YUKI FUJISAWAがアランニットの個人オーダー会を開催するのは、これが2度目のことだ。最初に開催したのは2年前の冬にさかのぼる。 「ブランドを始めたときはまだ学生で、しばらくは実家の一室で制作していました。それだとお客さまどころか仕事関係者も呼びづらかったんです。そのうち台東デザイナーズビレッジという共同アトリエを借りて、外のギャラリーで展示会も開催していた頃、『お店のための展示会ではなくお客さまに向けた個人オーダー会にチャレンジしてみたい』という気持ちが芽生えて

夏の気配が残るオーダー会のはじまり/アランニット制作日記 9月前編

 アトリエの入り口にスリッパが2組、綺麗に揃えられていた。暑さ寒さも彼岸までと言うけれど、すっかり秋めいてきて、ニットの季節が近づいているのを感じる。  ゆきさんはアトリエの隅々まで掃除機をかけると、ウッディーベースのルームスプレーを振り、お客さまがやってくるのを待ちわびた様子でいる。  今日はこれから、オーダー会が開催される。YUKI FUJISAWAの代表作でもあるアランニットシリーズ「記憶の中のセーター」を、自分の希望に沿って仕上げてもらうことができるのだ。オーダー