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アランニット制作日記2019-20

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ヴィンテージ素材に箔と染めを施すことで、古着を新しく生まれ変わらせる「NEW VINTAGE(ニュー ヴィンテージ)」。 白い無垢なアランニットがどのように変化していくか、ライタ…
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2019年12月の記事一覧

ニットのお直し/アランニット制作日記 12月前編

 「冬型の気圧配置」と耳にするたび、どこか懐かしい気持ちになる。その日はテレビから「冬型の気圧配置」という言葉が流れてきて、日本海側では大雪となると報じられていた。いよいよ冬が到来した師走のある日、ゆきさんはニットのお直しに取り掛かろうとしていた。  YUKI FUJISAWAでは、お直しの依頼を受け付けている。ウェブサイトには「Repair」の項目があり、申し込みフォームから依頼が可能だ。冬が近づいてくると、お直しの依頼が増えるのだという。  「お直しを始めたきっかけは

日が暮れたアトリエで、その日を待ちながら/アランニット制作日記 11月後編

 ゆきさんのアトリエは路面にあり、入り口は前面ガラス張りだ。今年の初めにここを借りて、カーテンレールは取り付けたものの、そこにかけるカーテンはまだ製作中だ。開放感あふれるところは気に入っているけれど、あけっぱなしでは制作に集中できず、布をかけていることが多いという。 「物件を探してたとき、最初は広さ重視でと思ってたんですけど、マンションの一室で一人っきりで作業するのは孤独で心が落ち込みそうだと思って…。なので、日当たりがよくて、天井が高くて、水が使えることを条件に探したんで

思わぬ出来事/アランニット制作日記 11月前編

 「霜降」という節気がある。古代から使われてきた「二十四節気」という暦があり、これは太陽の位置をもとに1年を24等分したものだ。「立春」や「夏至」もそのひとつで、「霜降」は秋の最後の節気にあたる。  今年の「霜降」にあたる10月24日、ある知らせが届いた。予定されていたアトリエショップが延期となり、それにともなって新作アランニットのオンライン発売日も延期となったという。理由は「商品追加の遅れ」とだけ発表されていた。  その知らせから2週間が経過した11月のある日、ゆきさん