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アランニット制作日記2019-20

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ヴィンテージ素材に箔と染めを施すことで、古着を新しく生まれ変わらせる「NEW VINTAGE(ニュー ヴィンテージ)」。 白い無垢なアランニットがどのように変化していくか、ライタ…
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2019年8月の記事一覧

2019年のニットの色を決める/アランニット制作日記 7月後編

 形を選ぶと、次は色だ。アトリエにあるニットの多くは、クリーミーな白い糸で編まれたアランニット。白さが特徴のニットを、染料で染めてゆく。 「このニットはそもそも、後から染めるってことを想定して作られてないんです。赤いニットが欲しかったら、最初から赤い糸を買ってきて編みますよね。それを後から染めようとすると、それぞれ染まり方が違うんです。どこのウールを使っているかによって染まり方が違ったり、糸の太さなど紡績方法によっても違ったりするんですよね。  だから、『なんとなくこんな

同じ時代に生きる人たちの、「今の気分」/アランニット制作日記 7月前編

今日からライターの橋本倫史さんによる制作記録が始まります。ヴィンテージ古着に箔と染めを施すことで、新しく生まれ変わらせる「NEW VINTAGE(ニュー ヴィンテージ)」シリーズ。白い無垢なアランニットがどのように変化していき、お客さまの手元に届くまでの、制作の日々を記録していきます。  その日も朝から曇っていた。ここまで晴れ間が見えない日が続くのは、統計を取り始めてから初めてのことだという。半袖では肌寒く感じるけれど、7月にニットで溢れている風景に少し驚く。 「このアト