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いつか仲間になれるまで

「カナダ行きを蹴って、バトンズの学校に来てくれてよかった」

batons writing college(通称バトンズの学校)の最終日、古賀さんがきゅうっと目尻を下げ、優しく笑いながら伝えてくれたこの言葉を、ずっと忘れないと思う。


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2021年5月6日、私は数年来の念願だったカナダ暮らしを実現させる準備を整え、「さてエージェントにお金を振り込むぞ〜!」と意気込んでいた。あとは15時までに銀行へ行き、蓄えてきた資金を送金するだけだ。

提出書類の記入を済ませ、「ふぅ」とコーヒーを飲みながらTwitterを開いた。何か理由があったわけではなく、ほぼ無意識…というか、手癖で。

そして目に飛び込んできたのが、このツイート。

私は硬直した。

───なんだって?


古賀史健さんは、私にとっての「一番」だった。
一番、尊敬しているライター。社会人になる前から、ライターが、自分と関係のある職業になる前から、ずっと好きだった。こんな文章を書きたいと思いながら、彼の記事やnoteをこれまで何度筆写したかわからない。

そしてカナダもまた、私にとっての「一番」だった。
一番、行きたい場所。住みたい場所。これからの人生を過ごしたい場所。
新型コロナウイルスが拡大する前に一度は出国したものの、帰国&隔離を強いられ、世界を恨んだり何日も泣いたり散々な目に遭った。それでも諦める気は微塵もなく、今日まで準備を進めてきたのだ。

まさに青天の霹靂。「学びたい」と「行きたい」が押し問答をはじめ、私は本気で頭を抱えた。

オーマイガー古賀さん……
なぜ今日、なぜ今、なぜ15時よりも前に告知を……??


とんでもなく朗報で、同時に悲報でもあったのだ。
私にとって、バトンズの学校の出現は。

一番と一番がぶつかり合う。どちらも本気で、どちらも諦めたくはない。
右往左往する私に、「カナダは逃げないよ」と一言、友達が背中を押してくれたのだった。


(これまでカナダ行きのために準備をしてくださったエージェントの皆様には、土下座の勢いで謝罪しました。快く応援してくださり、泣きながら頭を下げました)



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そうしてドタバタと幕を開けたバトンズの学校・受講生としての日々が、2022年1月29日に終わりを迎えた。

目標としている人が直々に自分の書いた原稿を読み、インタビューの書き起こしを読み、取材音源まで聞いて、頭から爪の先まで朱字を入れてくれる。6ヶ月間も。それがどれほど贅沢で、ありがたいことか……。この半年間で、古賀さんから受け取ったフィードバックは、1000枚を超えている。

その中で私が古賀さんに最も注意されたのは、「論の早さ」だ。私の原稿は、結論を急ぐ故にまわり道がない、原稿に余白がない。何度課題を提出しても、「着実に良くなってきているけど、まだ早い」と言われ続けてきた。最後の課題でも。


文章には、書き手の性格がよく表れる。結論を急ぐのは、私の癖。生き方の癖。私が受け取ってきた古賀さんからのフィードバックは、人生への言葉でもある。

とにかく先へ進みたがる、即決・即行動・最短距離を求めようとする私の腕を優しく掴み、「もっとまわり道をするといいよ」「足元じゃなく、遠くを見てごらん」と、古賀さんは何度も何度も伝えてくださった。


「早く行きたい」という気持ちで充満していたカナダ行きに対しても、ずいぶんと考え方が変化した。これについては話が長くなりすぎるので、また後日noteに書くとしよう。

古賀さん、私も思っています。
「カナダを蹴って、バトンズの学校に来て良かった」と。最終講義を終えた今、心からそう思っています。

掲げた目標を達成するために毎日noteを書き始めた古賀さんに倣って、私も毎日、noteを書こうと決めました。次は親と子のような関係ではなく、仕事仲間として再会できるように。

引き続き、自習に励みます。


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