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旅好き会社員必読の書 :『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周(東松寛文)』

「世界一周」の概念が覆った

「世界一周」と聞いて、どんなイメージを持つだろうか。
個人的には、「短くても数ヶ月とか、長ければ数年といった、まとまった期間でするもの」だと思い込んでいた。

「リーマントラベラー」を名乗る筆者は、平日は会社員をしながら(しかも、激務の広告代理店だという)、週末だけを利用して「世界一周」を達成した。
詳細は本書に譲るが、もちろん1回だけの「週末」でということではない。
その背景には、例えば「日本にいる時間はトランジットと考える」といったような、さまざまなパラダイムシフトがある。

そしてその生活は、仕事面でも大きな効用をもたらしたそう。
なにしろ、「金曜の夜には必ず空港に行かなければいけない」ため、半強制的に月曜から超効率的な働き方をする必要があるからだ。
その日々の繰り返しによって、仕事力も大いに上がったとのこと。

ようやく海外旅行へ行きやすい日々が戻ってきた昨今。
真似してみたいと思うポイントが満載の1冊です。

抜き書きメモ

(※個人的なメモのため、一字一句が本文と同じではありません)

サラリーマンでも簡単に変えられることが一つだけあります。それは「休み方」を変えること。休み方が変われば、自ずと「働き方」も変わります。そして、働き方が変われば「生き方」だって変えることができるのです。

むしろサラリーマンを続けながらだったからこそ、時間さえ捻出すれば、様々なチャレンジができたので、「自分らしい生き方」を見つけられたのだと思います。そう!「自分らしい生き方」は、サラリーマンを続けながらでも十分見つけられるのです!

アメリカにたった3泊5日でも十分すぎるくらいの充実した内容で、価値観を180度変えるほどインパクトある体験ができた。「短い休みでも海外旅行は十分楽しめる」ということに気がついた。

日本で過ごす週末の数億倍楽しいことが世界にはあって、英語が話せなくても、有休をたくさん取らなくても味わえてしまう。僕にはもう海外旅行に行かない理由が見当たりませんでした。

それ以来、僕は毎週末の合コンはもちろん、シメのラーメンや深夜のタクシー、必要以上の服や物の購入などありとあらゆる無駄遣いをやめ、隙あらば海外旅行に行くようになりました。

初めての1人海外旅行、ロサンゼルス旅行の翌年、2013年(社会人4年目)は、激務のかたわら、週末や連休を最大限利用して1年間で8回海外旅行に行き、7カ国14都市を訪問。行き先も近場のアジアだけでなく、インドやアメリカ東海岸、そしてカリブ海へとどんどん広がっていきました。

隙あらば海外旅行に行く生活を始めると、自ずと働き方も変わってきました。旅がある週は、金曜日の夜のフライトまでに必ず仕事を終わらせて空港へ行かなくてはなりません。そのため、週の初め(月曜日)から金曜日を意識して働くようになり、前もってスケジューリングしながら、効率よく仕事を行うようになりました。これを繰り返していると、旅に行かない週も意識せずともその働き方ができるようになりました。

短い休みで行く海外旅行だからこそ、旅先では常に本気で楽しんでいました。そして、日本ではできないような経験をたくさんしました。気がついたら、旅先で色々なものを見た経験が仕事のアイデアにつながったり、旅を話題にすることで職場や取引先との人間関係がうまくいったりと、旅のおかげで仕事の成果まで上がったのです。

旅は僕の休み方を変えただけでなく、働き方を変え、そして人生までも変えたのです。

「一度立ち止まって、自分が本当にやりたいことは何なのか、会社という枠にとらわれず考えてみることにしよう」

海外旅行で必ず行くところ。それは、現地の人が行くレストラン、現地の人が行く市場、現地の人が行くクラブ…。

わざわざ海外旅行に行く理由。それは、日本で知ることのなかった「様々な生き方」を見に行くためだった。僕が海外旅行で印象に残っている場所や場面は全て、僕が知らない生き方を教えてくれたところでした。

僕は、多くの人が旅に求める世界遺産や絶景といった「美しい光景」にはあまり興味がなく、その代わりに学校や社会では教えてもらえなかった様々な生き方を見に行くことに猛烈に喜びを感じるのです。

「日本にいる時はトランジット」と考えれば、週末だけでも世界一周は可能です。

海外旅行に行く頻度は「毎週末」と決めました。

平日は東京でサラリーマンをするかたわら、毎週末海外旅行に行き続け、気がつけば3ヶ月で12回も海外旅行へ行き、5大陸18カ国を制覇。日本時間の2017年1月3日にブラジルから帰国し、世界一周を見事達成しました。

3ヶ月で費やした費用は、総額で250万円。この挑戦で貯金は全て使い切りました。しかしながら、「週末」と「貯金」を使っただけで、僕は何物にも代えることができない「経験」を得ることができました。

世界はまだまだ知らないことだらけ。サウジアラビアが実は超親日国家だなどと、日本にいても誰も教えてくれません。

僕が旅の中で一番好きな時間、それは「帰りの飛行機」。帰りの飛行機は、非日常が終わり、日常に戻る最後の時間。だけどそれは日常・非日常のどちらでもなくて、かつ電波の入らない時間です。だからこそ、僕はそこで旅から得たたくさんの気づきを消化するようにしています。

僕にとって、帰りの飛行機は「自分探しの旅」の時間です。

見つけた材料を消化する帰りの飛行機の時間が来ることを、旅の中盤から1番の楽しみにしていました。僕は、旅は消化することで自分のものとなり、そこで初めて完結すると思っています。

生き方には選択肢があるということに気がついたことが、旅を通じて起こった、僕にとっての一番の「奇跡」なのかもしれません。

日本の教育では、サラリーマン以外の選択肢をあまり教えてくれない。でも、それ以外の選択肢だって、今の時代はたくさんあります。だからこそ、もっと外に目を向け、色んな選択肢を知ることが重要だと思います。選択肢をたくさん知った中でサラリーマンを選ぶのだとしたら、きっと今より充実した毎日が待っていると思います。なぜなら、自分で選んだ道なのだから。

その選択肢を知る上で、一番手っ取り早いのはやはり「旅」ですが、旅に出なくたって選択肢は学べます。本でも映画でも演劇でも講演でも、何でもOK。自分の知らない世界に触れてみてください。

「自分が死ぬ時にどうなっていたいか」を考える。

1日に会社で働く時間が8時間だとしたら、残り16時間はプライベート。だからこそ、会社の中でやりたいことが見つかる可能性はしょせん3分の1なのです。

多くの人が間違いがちなのが、「自分の強み=人よりも優れている部分」だと考えることです。そうではありません。「自分の強み=希少性」です。

希少性のつくり方、それは能力を掛け合わせること。僕は「社畜寸前でもサラリーマンを謳歌する能力」×「弾丸旅行に行きまくる能力」×「伝える力」を掛け合わせたら、「リーマントラベラー」という希少性のある価値が生まれました。そうやって自ら希少性、すなわち強みをつくりました。

自分の強みを見つけるために「何か新しいことを始める」必要はまったくないと思います。まずは「自分の過去を精査」して、自分の好きなことや得意なことを見つけ、自分だけの希少性をつくってみることをおすすめします。

直感は統計学です。直感は今までの経験に基づいた判断でしかないので、今までどれだけの「判断」をしてきたかによって正答率が決まります。だからこそ、日頃からどれだけ良質な判断をしているかが鍵になるのです。

僕が直感力を高めるためにやっていること、それは僕の座右の銘でもある「迷ったら攻める」ということ。

僕は「サラリーマンは最強の職業」だと考えています。まずは安定した収入があること。毎月入る安定したお給料があるからこそ、自分の挑戦へ「投資」ができます。また、その挑戦でお金儲けする必要もないことから、目先の利益だけにとらわれずに自分がやりたいようにチャレンジできます。

リーマントラベラーは他の旅人ブロガーと異なり、「今年行くべきビーチ10選」というような誰でも書ける記事は書きません。それはサラリーマンとしてのお給料があるからで、だからこそ自分が面白いと思ったことだけに集中してチャレンジすることができます。それがキャラクターとして尖ることにもつながるので、いいことずくめです。

次に社会的な信頼があること。ちゃんとサラリーマンをしているという事実はパスポートみたいなものといえます。それだけで日本社会では一定の信頼を生みます。少なくともきちんとした人だと。それも何かにチャレンジする時の強みになるでしょう。僕にメディアへの出演機会が巡ってきているのは、サラリーマンをやっているということも影響していると思います。

さらには、サラリーマンという仲間がたくさんいるということ。日本の正規雇用者の人数は3430万人(2018年2月)。すなわち、共感してくれる人がとにかく多いのです。だからこそ、サラリーマンを続けながらチャレンジすれば、そこに共感してくれる仲間がたくさんいる可能性が非常に高いのです。

とりあえずやってみて、違ったらやり直せばいい。それを繰り返しながら、自分らしい生き方を見つけることができる。そんな職業は、サラリーマン以外にありません。

僕なら、まずは今の仕事を続けながらやりたいことを探します。だって、サラリーマンは最強の職業なのだから。

「自分らしい生き方」を見つけるために、僕は何か特別なことをしたわけではありません。サラリーマンであることを最大限活用して、「週末」と「貯金」を使って旅に行き続けただけです。そうやって休み方を変えたら働き方も変わり、働き方が変わったら生き方まで変わりました。

もしもかつての僕のように、やりたいことが見つからなくて悩んでいるサラリーマンの方がいたら、まずは旅に行ってみてください。旅は自分探しの最強のツールです。非日常、つまり見知らぬ価値観に触れ続けることができるため、そこで感じた「違和感」から自分の好き嫌いを吟味することができるのです。そこで感じた違和感をたくさん持ち帰って、その理由を帰りの飛行機の中で考え抜いてみてください。きっと今まで気づかなかった自分の「好き」に気づけるはず。

自分を変えるために日本でできるもっと簡単な方法もあります。「“わざわざ”やっていることを探して、その理由を考え抜くこと」です。そしてその「わざわざ」の理由を考え抜いた先には、きっとあなただけの強みが待っています。

僕は「旅」と「旅行」はまったく別のものだと思っています。僕にとってその違いは、不確実性の有無。旅行はただワクワクするもの。旅はワクワクするだけじゃなくてドキドキもするもの!

思いっきりリラックスしたい時や友達との時間を楽しみたい時は、旅行。事前に下調べをして、ある程度計画を立てる。そうやって不確実性を少なくした方が旅行の満足度は上がると思います。でも、新しい自分を探したい時は、旅。僕は、旅に行く時には、航空券とホテルの手配以外は、ほとんど予定を決めません。そうやって不確実性を多くします。そうすることで、旅の中にドキドキが生まれ、五感が鋭くなります。その結果、たくさんの「違和感」を感じることができ、帰りの飛行機の中でその違和感の理由を考え抜くことで、きっと新しい自分が見つかると思います。だからこそ、目的に応じて「旅」と「旅行」の使い分けは大切です。

「土日オーストラリア」や「3連休ロサンゼルス」でもじゅうぶん楽しめる。

金曜日の仕事終わりから、月曜日の仕事始まりまでを週末と考える。

旅に行く1週間前〜直前までは、社内メールを送る際、最後の署名欄の上に「※大変僭越ながら○月○日〜○日までお休みを頂戴します」と記載しています。主張が強すぎると嫌味と取られかねないので、文字のサイズは本文より小さくしています。

また、旅に行っている間はメールの自動応答を設定します。この時「海外にいて電波状況が悪い環境にいること」と「誰に連絡したらいいか」も記載しましょう。

機内ではホットアイマスクや着圧スパッツを使用。

僕が旅先で最初にすることは、まずはお約束である定番のスポットに行って写真を撮ること。定番を押さえたら、そこからは「オリジナル」の旅をしましょう。

まとめ

「休み方を変えたら働き方も変わり、働き方が変わったら生き方まで変わりました」と書かれていますが、きっと誇張ではないと感じました。
旅が好きな会社員の方には強くおすすめの1冊です。


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