北方領土〇島返還論をやめましょう。
2島先行返還、2+2返還、四島一括返還…
北方領土問題解決へ向けた運動において〇島返還論というのが、いつの時代も議論されている。
私自身元島民3世として運動に参加しているが、私が直接ロシアの外交官や政府・政治家と交渉する訳ではないので、それを語っても意味がないなと感じていた。
ある意味、元島民が故郷に残してきた財産の補償に関して、自身が居住していた島が返還されるかどうかという視点で語る分には必要なことだが、残地財産に関係のない人がいくら主張しても、どこか机上の空論のように説得力がない。
〇島返還論を言う暇があるなら、北方領土の歴史や地理を伝えたり、問題があることで隣接地域や北海道、日本にどのようなデメリットがあり、それに対する対策を議論する方が最優先だと運動してきた。
ただ、私の運動も、〇返還論も、ある意味「経済的視点」での運動だったと思う。
2016年、安部政権の中で、ロシアのプーチン大統領が訪日・首脳会談を行って以降、北方領土問題は多くのメディアに取り上げられ、注目度は上がったように感じる。
そして安部・プーチン外交において、共同経済活動、航空墓参など、新たな枠組みも生まれ、運動に参加している者として、問題解決へ前進しているような感覚を憶えた。
そんな中、日ロ平和条約締結へ向けて、プーチン大統領より「日米同盟」「安全保障」というワードが出てきた。
日本とロシアの話なのに、アメリカの話が出てきた。
これまで他国の首脳が、日本に対して米国の存在を強調する発言をするところを見たことがなかったので、すごく珍しいと感じ、詳細が知りたくて、ニュースや新聞を注視していたが、詳しく紹介・説明するような媒体が少なく、有識者や専門家の著書や論文を探して勉強させていただいたものも、原則論的なものが多く、プーチン大統領の意図を正しく読み解けなかった。
…と、今現在、ウクライナでの戦争を見て痛感している。
ロシア・プーチン大統領にとって、経済は二の次。
最重要なのは対アメリカとの安全保障であり、その為ならなんだってやる。
そしてそれにはロシア国民が犠牲になってもかまわない…。
私たち日本国民は、それを正しく理解した上で、北方領土返還を訴えてきたか。
具体的には、「日米同盟を維持した上で、日ロ平和条約を締結する方法」が国民が語るべき北方領土返還論なのではと考える。
経済的視点だけの返還論、また歴史的経緯視点だけの返還論など、否定はしないが、それで国民世論を高めて、外交交渉を後押しても、ロシアに対して有効な外交カードになり得ないのではと。
・・・自分で記載していても「無茶ぶりだろ」と思うが…
自省として、また自己研鑽と、より多くの国民が、北方領土問題を考えるきっかけになるよう、北方領土に関する考察を今後掲載していきたいと思う。
北方領土国後島元島民3世 髙橋友樹