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当時社会人10年目だった、彼のこと
2月5日。
また、あっという間に金曜日。
今日は、午後から会社に行って、また後輩2人とずっと長い実験をしていた。
長丁場だったので、学生時代の部活の話をしたり、後輩の好きなディズニーの話をしたり、みんなで和気あいあいと検証。
後輩の1人は新入社員で、私はちょうど10年目。
私が新入社員のときの10年目といったら、かなり雲の上の存在というか、畏れ多いひとだった。
新入社員で配属されたチームのプロジェクト長が、ちょうど社会人10年目の若手リーダーだった。男しかいない体育会系のチームをまとめるリーダーで、相当怖いひとだった。
怒鳴り声は日常茶飯事だったし、たまに机やゴミ箱を蹴っていた。
夜中、朝までに企画書しあげとけよ!自分で考えてみろ!って彼はタクシーで帰り、私は一睡もせずに企画書を書き、でも新人で全然ものにならずまた怒られ…ってこともあった。
私も長い体育会系の育ちで、怒られることには慣れていると思っていたけど、彼の怒鳴り声には毎回縮み上がったし、どんどん萎縮して、何か報告するだけでも腰を上げるのに1時間くらいかかっていた。ご飯もあんまり食べれなくなり、新入社員の1年で、7キロ痩せた。
でも彼は彼でおそらくとても闘っていた。彼の作る企画、資料は、今同い年になった自分から見てもとても精度が高く、熱量も大きく、自分に厳しい分他人にも厳しかったのかもしれない。
私は彼を恨むではなく、やり方をおかしいと思うでもなく、耐えて、なんでもやって、認められたいと心底思っていた。
彼は私が入社して1年後、ちょうど今の私のタイミングで、自律神経を病んで退職した。(その後、独立したようだ)
そんな新人時代、厳しい10年目の彼を見上げて、いつか肩を並べてやると思いながら歯を食いしばって頑張っていたことを思うと、
こんなふうに和気藹々と後輩たちと仕事をしてる今10年目の私は、先輩としてぬるすぎるのかな…って思うことも、正直ある。
もっと厳しくした方が育つのか?新人をスポイルしているのか?とか。
でもたぶんね、そんなふうに思わなくていいよな。
ひよこが初めて見たものを親と思うように、その10年目の彼のやり方は私の中に深く刻みついてしまったけど、それが正解なわけじゃないよ。
彼は、すごかった。立派だった部分もある。 でも、同じくらい、そうじゃないところもあった。
人に何かを教える時、怒鳴って威圧する必要はなかった。
腹が立ったからといって、ゴミ箱や机を蹴る事はなかった。
右も左もわからない新人に、一睡もさせずに企画書を書かせる事なかった。
私だって、それ全てに応えようと無理をする必要なかった。
デスクで昼食を食べてる途中に仕事を指示されたからといって、7割残った弁当を捨てて、すぐそれに取り掛かる必要はなかった。
あれをあたりまえだと、教育だと、受け入れる必要はなかった。
そして、別の人間である私が、その彼のイズムを継承して、無理に後輩に厳しくする必要も、ない。
私は、怒らなくても伝えられることは、怒らずに伝える。(物事の95%が、そうであると思う)
大変な仕事も、雑談ですこしでも楽しく仕事ができるなら、一緒に無駄話もする。
後輩を下の人間って思わない。自分の一存でどう扱ってもいい人間ではなく、ひとりの意思ある人間として、尊重して対等につきあう。
威厳がなくてもいい、尊敬されなくてもいい、それよりも一緒に、のびのびと、和やかに働く時間が長い方を、私は選択する。
いいよね?って、自分に言い聞かせながらだけど。
そんなことを、気の利く後輩たちにフォローされながら、軽口を叩かれながら、思う。
明日は、デザインスクールの卒業発表!
明日で終わってしまうのか。さみしいな。
とにかく、堂々とする。とてもいいものを発表するつもりで、あせらずに伝えてくる。