8.大切な友達に、自分が必要だと言われた時の話。
私には、唯一無二の大事な友達がいる。
大学が一緒で、新卒後に入社した会社も一緒。
大学の時は彼女の存在を知らなかったが
後から同じ学部だったことが分かった。
一番最初の宿泊研修では部屋も一緒で
新入社員が約8グループに振り分けられた際も、
同じ班のメンバーとして助け合った。
研修最終日に配属先が発表された際。
女子は基本的に引っ越しが不要な店舗に
配属発表がされていく中、
私と彼女だけは
引っ越しを伴う転勤を命じられた。
同じような辛さ、苦しみを経験すると
お互いの絆は深まるんだなと感じた。
一年間、私は愛知、彼女は茨城に勤め、
二年目の春、奇しくも私たちは
同じ店舗で働くこととなる。
その後、仕事で少しぎくしゃくして
会わない期間が数年あるのだが
どうしても彼女だけは失いたくなくて
対人関係では初めて自らアクションを起こした。
会わなくなってからずっと
彼女との事が胸の奥でひっかかっていた。
ことあるごとに、思い出していた。
離れても、縁が続いている気がした。
彼女はとても気遣いが出来る優しい人で
いつも自分より、家族を優先する。
もっと自分の為に生きたらいいのにと
思ってしまうくらい、人を大事にする人だ。
そんな彼女が先日、知人に占って貰ったらしい。
私も彼女も、話を鵜呑みにするタイプではなく
大抵は参考程度に聞くだけだ。
海岸沿いの定食屋で
少し遅めのお昼を食べていた時、
占い師に言われたという内容を話してくれた。
要約すると、私に彼女が必要なように、
彼女にもまた私が必要なのだという。
ぽつりと、本当に必要なんだよ、と
言ってくれた。
泣きそうだった。
私たちは同じ様な種類の悩みを抱えており、
一方が落ちた時は、片方が引っ張り上げる。
育った環境や現状は全く違うが、
何かを見たときの感情の動き方が
なんだか似ているのだ。
頻繁に連絡を取るわけでもない。
2人でスナックの仕事を掛け持ちしていた際は
週に3.4日の頻度で会っていたが
コロナで辞めてからは、月に1.2回会う程度だ。
そして、彼女とは食の好みが違う。
好きなお酒も、好きな洋服も、好きなタイプも
季節も色も歌も、何もかも違う。
それでも、何かあった時には
今大丈夫?と連絡をして電話をする。
原因を話す時もあれば、敢えてそこに触れず
何の解決にもならない雑談をすることもある。
そういう時、彼女は、
決して傷口には、触れようとしない。
いくら親しくても、出会って何年経とうとも
この時に保ってくれる距離感が心地よい。
必要だと言ってくれて、ありがとう。
20年以上、自分の存在意義を探していたから
それを考えるのが癖になってしまったみたい。
私がここに居ていい理由をくれて、ありがとう。
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