【読書感想】失敗にどう向き合うか?
こんにちは、Yukiです。
今回は、畑村洋太郎さんの『やらかした時にどうするか』をご紹介します。
畑村さんは失敗学という学問の創始者です。本書では、そのエッセンスが中高生向けに書かれています。
失敗してしまったときにすべきこと
人間は不完全な生き物です。そのため、僕たちの行動には常に失敗の可能性がつきまといます。どんなに完璧な人に見えたとしても、失敗したことがない、という人はいないはずです。
失敗してしまうと、辛く、苦しく、自責の念にかられます。特に、失敗が大きくなればなるほど、その気持ちも大きくなります。
失敗してしまったら僕たちはどうすべきなのでしょうか。畑村さんは、「まずは全力で逃げろ!」と言います。ここで言う「逃げる」というのは、「大失敗してしまった自分をつい責めてしまう自分自身の追及から逃げる」(p.20)ということです。
繰り返しになりますが、失敗が大きければ大きいほど、そのダメージも大きくなります。すると自分を責めるようになり、鬱状態におちいる可能性も高まります。最悪の場合、死を選択するかもしれません。
そうでなくとも、失敗した後に自分を責めてばかりでは何も変わりません。結果的に同じ失敗をくり返してしまい、また苦しみを味わうことにもなりかねません。
そうならないためにも、失敗直後は全力で逃げて、精神が完全な状態に回復してから失敗と向き合うことが大切だ、と畑村さんは言います。
では具体的にどうしたらよいかというと、3つの方法を挙げています。「思いっきり他人のせいにする」「愚痴を言う」「美味しいものを食べる」です。
これらの目的は「精神を元も状態に回復させること」です。ただ他人に責任転嫁する、愚痴を言うといっても、実際に相手に言ってしまうと状況が更に悪くなる可能性もあります。そうではなく、自分の頭の中だけで思いっきり責任転嫁したり、悪態をつくということです。
社会では、失敗から逃げるなんて卑怯だ!と言われます。それは正しいのですが、人間はすぐには向き合うことは難しいです。それなら、ある程度逃げてから向き合っていくことが大切だと、本書では述べられています。
失敗に対する社会の目
まず、僕は「失敗したら逃げろ!」という部分を読んでとても驚きました。たいていの本は、「失敗したら失敗を受け入れろ」とか、「逃げずに立ち向かえ」と書いてあるからです。この本もそういったことを主張するのではないかと思っていたので、反対のことが書いてありびっくりしました。
失敗直後というのは、どれだけ頭を切り替えようと思っても、さっきの失敗のことが頭からはなれません。それなら、いっそのこと全力で逃げてしっかりと回復してから向き合う、というのは一理あると思います。
この本でも言及されているように、現代は失敗に厳しい社会のように思えます。SNSの発展で、有名人・一般人を問わず少しでも失敗すると記録として残り、批難の対象となってしまいます。時には、「やり過ぎだ」と思えるようなバッシングも見かけます。
もう少し他者に対して寛容でも良いのではないかと思います。寛容さがないと人間関係はギスギスしたものになってしまうのではなでしょうか。
その一方で、どの程度失敗を許容したら良いのか、とも思いました。例えば、意図的にではないにせよ、相手に重傷を負わせてしまったり、最悪の場合死なせてしまうこともあります。この時、失敗の被害を受けた方は、「失敗を許そう」と言われても、難しいでしょう。また、失敗したときに、形だけ謝ったりして全く反省していないようなケースもあります。
こういった事例を見ていると、失敗に寛容になると言っても簡単ではないと感じます。最低限、失敗をした方は、自身の失敗と向き合うことが求められると思います。
終りに
通常失敗というと、出来れば避けたいもの、忌み嫌われているものだと思います。そうは言っても、失敗を完全に無くすことは出来ませんし、失敗を恐れていると、何も出来なくなります。
失敗してしまったら、きちんとその原因を分析し、対策を練ることで、次の失敗の可能性を減らすことが出来、ステップアップも可能です。そのためのヒントがたくさん書いてあります。
多くの人に読んでいただきたい1冊です。
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