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「キャンピングカーで巡るニュージーランド南島-12」

ニュージーランドをキャンピングカーで旅した記録。
今回はDay10の途中まで。よろしければお付き合いを🥰🥾🏕️
前回の記事はこちら↓↓


1.Day 10‐1:アーサーズパスへ - 山脈を越える旅

早朝、雨上がりの空気が新鮮だ。
ホキティカの朝市に立ち寄ってから出発することにした。

【Hokitika Farmers Market】

  • 地元産の有機野菜

  • 手作りジャム

  • クラフト品

  • 焼きたてパン

「これ、道中のお弁当に持っていきなさい」
市場の常連だというおばあさんが、自家製スコーンを勧めてくれた。
「アーサーズパスは長い道のりよ。お腹が空くわよ」

9時、いよいよアーサーズパスへ。
西海岸から南アルプスを越え、東海岸へと抜ける山岳ルート。
「ニュージーランドで最も美しい山岳道路」と呼ばれている。

オタイラ渓谷に入ると、景色が一変。
両側から切り立った山々が迫り、道は蛇行を始める。

「あそこに、TranzAlpine」
夫が指さす先に、有名な観光列車が見える。
クライストチャーチからグレーマウスを結ぶ列車で、
私たちと同じルートを走っている。

最初の休憩ポイント、オタイラ渓谷展望台で停車。

【Otira Valley Lookout】

「あそこの山、見えますか?」
地元のハイカー、ブライアン(50代)が話しかけてきた。
「マウント・ロランドです。私の祖父は、この山で羊の放牧をしていました」

ブライアンは、この地域の山岳ガイドもしているという。
「この道路には、たくさんの物語が刻まれているんです」
「鉄道建設に携わった人々、羊飼いたち、金を求めた人々...」

彼の話を聞きながら、ピクニックランチ。
テーブルには朝市で買った食材を広げる。

遠くでカカポの鳴き声が聞こえる。
「珍しいですね。あの鳥は絶滅危惧種です」
ブライアンが双眼鏡を貸してくれた。

次の目的地、デビルス・パンチボウルの滝へ。
短いハイキングコースを歩く。

滝に近づくにつれ、水しぶきが強くなる。

マオリの伝説では、神々が氷河を削った時に使った巨大なボウルが、この滝つぼになったのだという。

2.Day 10‐2:アーサーズパスの頂上から - 天空の境界線

13時、いよいよアーサーズパス頂上(標高920m)に到着。
ここが西海岸と東海岸の分水嶺だ。

「天候の変化には特に注意してください」
インフォメーションセンターのレンジャー、スティーブ(45代)が警告する。
「この場所では、30分で天候が激変することもあります」

センター内の展示で、この道路の歴史を学ぶ。
1860年代、金鉱脈発見により急ピッチで建設された山岳道路。
多くの労働者が、過酷な環境の中で命を落としたという。

「あ、ケアが来ましたよ」
スティーブが窓の外を指さす。
好奇心旺しい山岳オウムが、駐車場の車を物色している。

「決して餌を与えないでください」
「人間の食べ物に依存すると、彼らの野生の本能が失われてしまうんです」

頂上からの下り道は、さらに慎重に。
急カーブが連続し、所々に「チェーン装着場所」の標識が。
冬季は、この道路も完全に雪に覆われるそうだ。

途中、キャッスルヒル(Castle Hill)に立ち寄る。
巨大な石灰岩の奇岩群が、まるでお城のように立ち並ぶ場所。

【Castle Hill】
・所要時間:約1時間

  • ボルダリングスポット

  • マオリの聖地

  • 映画『ナルニア国物語』のロケ地

「ここは、マオリ語で『カイ・ファカ・プナカ』と呼ばれています」
地元のマオリガイド、ラニ(35代)が説明してくれた。
「『食物を蓄える場所』という意味です」

かつて、この地域を通過するマオリの人々の重要な休憩地点だったという。
「これらの岩には、私たちの先祖の物語が刻まれています」

巨大な岩の間を歩きながら、ラニはマオリの伝説を語ってくれた。
岩の形に隠された意味、星々との関係、季節の変化を告げる印...
自然と人間の深い結びつきを感じる場所だ。

「あそこに見える岩の形、何に見えますか?」
ラニが指さす岩は、確かに人の顔のよう。
「私たちの言い伝えでは、かつての酋長が石に姿を変えたのだと...」

16時、クレイジーマンズコーナーを通過。
その名の通り、急カーブの連続する危険な区間。
「この道路を造った技術者は本当に"クレイジー"だと言われたんです…笑」
運転する夫が、緊張した面持ちで説明する。

徐々に標高を下げていくと、景色が変わっていく。
山岳地帯特有の岩と低木の景観から、
次第にカンタベリー平野の牧草地が見えてくる。

「氷河から、翡翠の海岸を経て、アルプスを越え...」
助手席で地図を確認しながら、私が呟く。
「この国の地形の変化って、本当にドラマチックね」

(続く...)

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