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「キャンピングカーで巡るニュージーランド南島-8」
ニュージーランドをキャンピングカーで旅した記録。
今回はDay7まで。よろしければお付き合いを🥰🥾🏕️
前回の記事はこちら↓↓
1.Day 7‐2:ハースト・パスへ - 氷河を目指して
13時、ミルフォードサウンドを後にする。
来た道を戻りながら、今朝とは異なる表情を見せる景色に見とれる。
雨上がりの陽光が、山々を金色に染めていた。
テ・アナウに向かう途中、突然の虹が現れる。
「すごい!ダブルレインボー!」
虹の端が、まるで道路に接しているかのよう。
思わず車を停め、写真を撮る。
【Te Anau】
・人口:約2,000人
・フィヨルドランド国立公園の玄関口
・特徴:テ・アナウ湖に面した町
ここで給油と買い出しを済ませる。
西海岸までは、お店が少ないとのアドバイスを受けていた。
レジで、地元の女性が話しかけてきた。
「ハースト・パスを通るなら、必ずファンタイル滝に寄ってください」
地図に印をつけながら、詳しい道順を教えてくれる。
15時、ハースト・パスに向けて出発。
徐々に景色が変わっていく。
フィヨルドランドの深い森から、より開けた牧草地へ。
「あ!鹿の群れ!」
野生の赤鹿が、のんびりと草を食んでいる。
ニュージーランドでは、イギリスから持ち込まれた鹿が野生化したという。
ファンタイル滝に到着。
駐車場には2台の車のみ。
滝の前には、訪れた人々が作った無数の石塔が。
「私たちも作ってみよう」
夫が石を拾い始める。
二人で力を合わせて、小さな石塔を完成させる。
「きっと、次に来る人に見てもらえるね」
17時、ハースト・パスの頂上付近に差し掛かる。
標高563m、切り立った山々の間を縫うように道が続く。
突然、車が揺れる。強風注意の表示が…。
日が暮れる前に、ハーストに到着したい。
しかし、景色がよすぎて、つい何度も停車してしまう。
「あのブループール、寄っていく?」
時計を見ると18時前。
「行こう。こんな機会、めったにないよ」
【Blue Pools】
・徒歩:15分
氷河由来の青い水
吊り橋からの眺望
原生林の中の遊歩道
遊歩道を進むと、まず耳に入ってくるのは、鳥のさえずり。
トゥイやベルバードの声が、森に響く。
吊り橋に出ると、息をのむような光景が。
透明度が高すぎて、水面がどこにあるのか分からないほど。
深いターコイズブルーの水が、まるで宝石のように輝いている。
「こんな色、見たことない...」
夫の言葉に、私も無言で頷く。
帰り道、イギリス人の若いカップルと出会う。
彼らは3ヶ月かけて、自転車で南島を周っているという。
「今夜はハーストのキャンプ場に泊まるんです」
「私たちも同じよ!」
2.Day 7‐3:ハーストの夜 - 星降る港町
19時半、ハーストに到着。
タスマン海からの潮風が、疲れた体を癒してくれる。
【Hearst River Motels & Holiday Park】
URL:Haast River Motels & Holiday Park: Accommodation in Haast
ビーチまで徒歩1分
キッチン/ラウンジ完備
天体観測に適した暗さ
無料Wi-Fi(ラウンジのみ)
チェックイン時、マネージャーのグレッグ(50代)が、地元の情報を教えてくれる。
「今夜は満天の星が見られそうですよ。ビーチは21時頃がベスト」
サイトに到着すると、先ほどのイギリス人カップル、トムとエミリーが手を振ってくれた。
「一緒に夕食どう?」
自転車旅行者らしく、彼らは手際よくテントを設営している。
キャンプ場のキッチンで、即席のディナーパーティーが始まった。
「これ、今朝地元の漁師さんからもらったんです」
エミリーが差し出した魚の燻製が絶品。
話は尽きない。
自転車での南島一周の苦労話。
ミルフォードでの雨。
ブループールの神秘的な色。
「明日はフランツヨセフ氷河?」
トムがおすすめの行き方を教えてくれる。
「裏道を通ると、野生のペンギンが見られるかもしれない」
地元の漁師から教えてもらったという秘密のスポット。
21時、グレッグの言葉通り、四人でビーチへ。
雲一つない夜空に、南十字星が輝いている。
波の音だけが響く浜辺で、私たちは星座を探した。
「あれが天の川!」
光害のない場所だからこそ見える、壮大な星の帯。
トムが持参した双眼鏡を覗くと、さらに無数の星が見えた。
「流れ星!」
エミリーの声に、みんなで歓声を上げる。
「何か願い事した?」と夫。
「それは、内緒」
波打ち際を歩きながら、蛍光プランクトンを探す。
波が砕ける度に、小さな光の粒が散る。
自然が織りなす、もう一つの天の川のよう。
キャンプ場に戻る途中、キウイの鳴き声が聞こえた。
「明日は5時起きだから、そろそろ寝よっか」
別れ際、連絡先を交換。
「ロンドンに来たら、必ず連絡してね」
「もちろん。次は私たちがホストするから」
キャンピングカーに戻り、就寝準備。
「素敵な夫婦だったね」
「うん。自転車で南島一周なんて、すごいよね」
窓の外では、まだ波の音が響いている。
明日は氷河の町、フランツヨセフ。
期待に胸を膨らませながら、深い眠りに落ちていった。
(続く...)