「エルニド-楽園との出会い、5日間の島旅」
1.Day1:パラダイスへの入り口
エルニドという言葉を耳にした時、私の心は既に旅の予感に震えていた。
フィリピン・パラワン島北部に位置するこの地は、「地上の最後の楽園」と呼ばれている。
マニラの喧騒を後にした小型機が、エルニド空港に降り立ったのは午前10時過ぎだった。
機内から見下ろした景色は、まさに絵葉書のよう。エメラルドグリーンの海に点在する小島群。その美しさに、思わず息を呑む。
エルニド空港からホテルまでは、事前予約していたホテルの送迎バンで約30分。舗装されていない道路を進みながら、現地の暮らしを垣間見る。素朴な民家、のんびりと歩く水牛、通りで遊ぶ子供たち。都会の喧騒から解き放たれていく感覚が心地よい。
【宿泊先】
チャーリーズ エル ニド (Charlie's El Nido)
住所:Sitio Lugadia, Barangay Corong Corong, El Nido
https://charlieselnido.com/
ビーチフロントに位置する快適なリゾートホテル。
部屋から見える夕陽は絶景。プライベートビーチも併設。
チェックイン後、まずは腹ごしらえ。地元で人気のレストランへ向かう。
【レストラン】
アルトリエーブ (Art Cafe)
住所:Serena Street, Barangay Buena Suerte, El Nido
おすすめメニュー:
・シーフードカレー
・マンゴーシェイク
・フレッシュココナッツ
午後は、明日からのアイランドホッピングに備えて、町の散策へ。
エルニドの中心部は小さく、徒歩で回れる範囲だ。
通りには、カラフルなソテージョ(フィリピンの伝統的な装飾)が風に揺れ、地元の人々の笑顔が温かい。
夕方、ラスカバナスビーチへ向かう。
ここは夕陽スポットとして有名だ。
砂浜に腰を下ろし、沈みゆく太陽を眺める。
オレンジ色に染まる空と海。
小舟が波に揺られ、遠くの島々がシルエットになっていく。
「明日からが楽しみだね」と夫。
私たちの冒険は、まだ始まったばかりだ。
夜は、ホテル近くのビーチレストランで過ごす。
星空の下、波の音を聴きながらの食事。
都会では味わえない贅沢な時間が流れていく。
2.Day2:アイランドホッピングツアーの感動
朝焼けとともに目覚める。窓から差し込む光が、今日の素晴らしい天気を予感させる。
朝食を済ませ、7:30にホテルのロビーへ。ツアーの集合時間だ。
バンカーボート(フィリピンの伝統的な木造船)に乗り込む。
10人ほどの小規模なグループだ。
ガイドのマリオさんが、今日のルートを説明してくれる。
「七つの小島を巡ります。それぞれに物語があるんですよ」
その言葉に、冒険心が掻き立てられる。
≪訪問スポット≫
スモールラグーン
エメラルドグリーンの海に囲まれた秘密の入り江。
カヤックで進入可能。
「ここだけの話」とマリオさんが耳打ちする。
「朝一番の時間帯がベストです。人も少なく、光の角度も最高なんです」ビッグラグーン
切り立った石灰岩の壁に囲まれた神秘的なラグーン。
「まるでジュラシック・パークの世界だね」と夫。
確かに、太古の自然が残されているような錯覚を覚える。シークレットラグーン
小さな穴を潜り抜けると、そこは別世界。
円形の内海に空が開く様は、まさに秘密の楽園。
「写真は素敵に撮れるけど、実際の感動は写真では伝えきれないね」
夫の言葉に深くうなずく。
昼食は、無人島のビーチで。
地元スタイルのBBQランチ。
新鮮な魚のグリル、マンゴー、ココナッツ。
波の音を聴きながらの食事は格別だ。
【ランチメニュー】
・グリルドフィッシュ
・チキンアドボ
・フルーツプレート
・フィリピンビール(サンミゲル)
午後は、シュノーケリングスポットへ。
熱帯魚の群れ、色鮮やかなサンゴ。
時折、ウミガメが悠々と泳ぐ姿も。
「こんなに美しい海の中を、夫婦で一緒に泳げるなんて」
こんな贅沢な時間を共有できることに感謝する。
夕方、ホテルに戻る頃には、心地よい疲れと充実感でいっぱい。
明日はより遠くの島々を巡る、もう一つの冒険が待っている。
3.Day2:秘境を訪ねて-ツアーCの冒険
前日の興奮が冷めやらぬまま、3日目の朝を迎えた。
今日はより遠くの島々を目指す。
「今日は運が良いですよ。波も穏やかで、完璧なコンディションです」
ガイドのアナさんの言葉に、期待が高まる。
≪訪問スポット≫
ヘリダイビングスポット
切り立った岩壁の間を縫うように進む。
「ここは映画『ボーン・レガシー』のロケ地なんです」
アナさんの説明に、夫の目が輝く。
透明度抜群の海中では、巨大なマグロの群れが悠々と泳ぐ。マタルパカン島
白砂のビーチが広がる無人島。
「ここは特別な場所。観光客も少なく、本当の秘境です」
アナさんが誇らしげに語る。タピュタンビーチ
隠れた入り江にある静かなビーチ。
ここで昼食タイム。
【特別ランチ】
・新鮮な魚介のキニラウ(フィリピン式セビーチェ)
・バナナの葉で蒸した魚
・ココナッツ直接割り
「こんな場所で食べるランチは特別だね」
波音をBGMに、贅沢なピクニックを楽しむ。
4.ヒドゥンビーチ
その名の通り、岩場の間に隠れた小さなビーチ。
少し歩く必要があるが、その価値は十分。
「ここで見る夕陽は絶景です」とアナさん。
5.シークレットビーチ
ツアーCのハイライト。
小さな岩の隙間を泳いで進入する必要がある。
「ちょっとドキドキするけど、これも思い出ね」
妻の言葉に、夫も笑顔で頷く。
中に入ると、そこは360度断崖に囲まれた秘密の楽園。
上から差し込む光が水面で踊る様子は、まさに神秘的。
夕方、ホテルに戻る船上。
沈みゆく太陽に照らされた島々を眺めながら、
今日一日の冒険を振り返る。
「明日は少しのんびりモードかな」
夫の言葉に頷く。
アイランドホッピング2日間で見た景色は、
一生の思い出になることは間違いない。
5.Day4:ナクパンビーチと地元の暮らし
連日のアイランドホッピングを経て、この日は陸路での冒険を選んだ。
朝食後、ホテルで手配してもらったトライシクル(三輪タクシー)に乗り込む。
目的地は、地元で「隠れた宝石」と呼ばれるナクパンビーチだ。
「この時間なら、まだビーチは空いているはずです」
運転手のロメオさんが教えてくれる。
地元の人しか知らない情報を、にこやかに共有してくれる。
道中の景色が、また魅力的だ。
ヤシの木々が続く田園風景、水牛が歩く道、
素朴な村々の暮らし。
観光地のエルニドとは違う、本来の姿がここにある。
「あ、マーケットに寄っていきませんか?」
ロメオさんの提案に、即座に賛同。
「これ、お土産にいいかも」
カラフルな籐かごを見つけた妻の目が輝く。
観光客向けではない、本物の地元の品々。
それぞれに物語が宿っているようだ。
ナクパンビーチに到着。
私たちが想像していた以上の絶景が広がっていた。
「観光客は本当に少ないね」
夫の言葉の通り、ビーチにはほんの数組のカップルと
地元の家族連れがいるだけ。
昼食は、ビーチ沿いの小さな食堂で。
午後は、ビーチでのんびりと過ごす。
本を読んだり、昼寝をしたり。
時には現地の子供たちとビーチバレーを楽しんだり。
「これも旅の醍醐味だよね」
観光名所を巡るだけでなく、
こうしてゆっくりと場所の空気を感じる時間。
それが、その土地を本当に理解することなのかもしれない。
夕方、ラスカバナスへ移動。
この日最後の冒険だ。
サンセットを眺めながら、
明日で終わってしまう旅を惜しむ。
「また来ようね」
その言葉に、二人で頷く。
夜は、町に戻ってローカルの雰囲気漂う居酒屋へ。
6.Day5:最後の朝焼けと別れ
「最後の朝日を見に行こう」
夫の提案で、まだ暗いうちにビーチへ向かう。
朝5時、エルニドの街はまだ静かだ。
日の出前のビーチには、すでに数人の写真家が三脚を立てていた。
地平線が少しずつ明るくなり始める。
オレンジ色に染まる空。
小舟のシルエット。
波の音だけが響く神秘的な時間。
「この5日間、本当に充実してたね」
夫の言葉に深く頷く。
朝日とともに、これまでの思い出が走馬灯のように駆け巡る。
最後の朝食は特別なものに。
【朝食スポット】
フロラ・カフェ (Flora's Cafe)
・地元の有機食材使用
・テラス席からの眺望最高
・予約推奨
おすすめメニュー:
・トロピカルフルーツボウル
・エッグベネディクト フィリピンスタイル
・マンゴーラッシー
チェックアウトまでの時間、最後のお土産探しへ。
【おすすめショップ】
カリカサン・クラフツ (Kalilkasan Crafts)
・地元アーティストの作品
・環境に優しい素材使用
・カスタムオーダー可
「これ、家に飾ろうよ」
手作りのドリームキャッチャーを見つけた。
エルニドでの夢のような日々を、形に残したい。
空港への道中、車窓から見える景色が一層愛おしく感じられる。
「また来るよ」と心の中でつぶやく。
≪エルニド旅行情報≫
■ベストシーズン
・11月~5月(乾季)
・特に2月~3月が最適
■気候
・乾季:30度前後
・雨季:スコールあり
・紫外線強め
■持ち物チェックリスト
・日焼け止め(SPF50以上)
・防水カメラ
・虫除け
・軽い上着(夜用)
・ビーチサンダル
・現金(ATMは限定的)
■注意点
・Wi-Fi環境は限定的
・クレジットカードは主要ホテルのみ
・英語は通じやすい
・時差は日本-1時間
エルニドでの5日間は、私たちの心に深く刻まれた。
自然の神秘、地元の人々の温かさ、そして夫婦での特別な時間。
日常を離れて得られた贅沢な経験は、
きっとこれからの生活の糧となっていくだろう。
「また新しい場所へ行こうね」
機内で交わした言葉に、次の冒険への期待が膨らむ。
旅は終わっても、私たちの物語は続いていく。
※この記事は筆者の主観に基づいて作成されています。旅行前に最新の情報を確認することをおすすめします。