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「キャンピングカーで巡るニュージーランド南島-11」

ニュージーランドをキャンピングカーで旅した記録。
今回はDay9まで。よろしければお付き合いを🥰🥾🏕️
前回の記事はこちら↓↓


1.Day 9‐3:ホキティカへ - 翡翠の道を行く

氷河での感動が冷めやらぬまま、私たちはホキティカへと向かった。
西海岸を北上する道は、「翡翠の道」と呼ばれているという。

「その名の通り、この地域は翡翠(ポウナム)の産地なんです」
出発前、マイクが教えてくれた言葉が蘇る。
「マオリの人々にとって、この石は単なる宝石以上の意味を持つんです」

フランツヨセフを後にする時、氷河が私たちを見送るように姿を現した。
朝とは異なる表情に、思わずバックミラーで何度も振り返る。

道中、オカリト・ラグーンに立ち寄る。
シロサギのコロニーがあると、以前聞いていたのだ。

【Okarito Lagoon】
・ニュージーランド最大の自然ラグーン
・希少な渡り鳥の聖地
・カヤックレンタル有り
・駐車場無料

ラグーンでは、思いがけない出会いが。
バードウォッチャーのジョン(60代)が、大きな望遠レンズを構えていた。

「あそこに、コトゥクという白サギがいます」
望遠レンズを貸してくれる。
「ニュージーランドでしか見られない固有種なんです」

ジョンは30年以上、この地域の野鳥を観察し続けているという。
「鳥たちの習性も、この土地の変化も、すべて記録してきました」
彼のノートには、精密なスケッチと詳細な観察記録が綴られていた。

昼食は、ジョンお勧めのカフェで。

【The Craypot, Ross】
・古い金鉱の町にある隠れ家的カフェ

  • 地元で獲れた魚介類

  • 手作りパイ

  • 金鉱師たちの写真展示

「この辺りは、かつてゴールドラッシュで賑わった場所なんです」
店主のメアリー(50代)が、古い写真を見せながら説明してくれる。
「今でも時々、観光客が金探しに来ますよ」

道路脇の小さな看板に目が留まる。
「Greenstone (Pounamu) Carving Studio」

【Greenstone Studio】
・マオリの職人による実演
・翡翠の原石展示
・制作体験可能
・予約不要

スタジオに入ると、マオリの職人トム(40代)が迎えてくれた。
「ポウナムは、私たちの先祖から受け継いだ宝物です」

丁寧に石を磨きながら、トムは語り続けた。
「この石には魂が宿ると信じています」
「形を決めるのは石自身。私たちは、その声を聴くだけ」

工房で小さなペンダントを購入。
トムが祝福の言葉を添えてくれた。
「このポウナムがあなたたちを守ってくれますように」

16時、ホキティカに到着。
タスマン海に沈む夕陽が、町全体を黄金色に染めていた。

2.Day 9‐4:ホキティカの夕暮れ - 翡翠色の港町

【Hokitika Holiday Park】
URL:Camping in a natural place to take a break - Hokitika Holiday Park

  • ビーチまで徒歩3分

  • タウンセンターまで徒歩10分

  • 夕陽スポット至近

  • 無料Wi-Fi

チェックイン時、マネージャーのサラ(55代)が、町の散策マップを手書きで描いてくれた。
「今夜は、サンセットポイントがおすすめです」
「その後、グローワームを見に行くのはいかがかしら?」

サイトに荷物を置き、早速町の散策へ。
19世紀のゴールドラッシュ時代の面影を残す建物が、夕陽に照らされて美しい。

【Sunset Point】
夕陽に向かって伸びる桟橋。
その先端に立つと、まるで海の上を歩いているような錯覚に。
タスマン海に沈む太陽が、雲を翡翠色に染めていく。

夕食は、サラお勧めの店へ。

【The Whitebait Inn】
URL:Whitebait Inn

  • 地元名物のホワイトベイト料理

  • 新鮮な魚介類

  • 歴史ある建物

「ホワイトベイトフリッターを食べずにホキティカを去るなんて、考えられませんよ」
ウェイトレスのジェーン(40代)が笑いながら言う。

シラスのような小魚を卵で綴じた料理は、確かに絶品。
「この魚は、この地域でしか獲れないんです」
「漁期も限られていて、まさに地域の宝物です」

食事を終え、サラが教えてくれたグローワームスポットへ。
町はずれの小さな森の中、遊歩道が整備されている。

【Hokitika Glow Worm Dell】
・無料
・営業:24時間
・所要時間:約30分
・懐中電灯持参推奨

森に入ると、目が慣れてくるまでしばらく待つ。
やがて、無数の青い光点が闇の中で輝き始めた。
まるで、さっき見た夕暮れの空が地上に降りてきたよう。

キャンプ場に戻る道すがら、波の音が心地よく響く。
地平線の果てには、まだ夕陽の名残が。

「明日は、アーサーズパスだね」
夫の言葉に頷く。
西海岸から東海岸へ。
また違った景色が待っているはず。

朝は氷河の上、昼は翡翠の工房、夕方は夕陽と満天の光虫。
一日の中でこれほど違う表情を見せてくれる国は、そうないだろう。

窓の外では、波の音が子守唄のように響いている。
明日への期待を胸に、私たちは眠りについた。

(続く...)

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