![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/164360247/rectangle_large_type_2_2d586cb3c2e74020e21d5babaeb987b9.jpeg?width=1200)
「キャンピングカーで巡るニュージーランド南島-11」
ニュージーランドをキャンピングカーで旅した記録。
今回はDay9まで。よろしければお付き合いを🥰🥾🏕️
前回の記事はこちら↓↓
1.Day 9‐3:ホキティカへ - 翡翠の道を行く
氷河での感動が冷めやらぬまま、私たちはホキティカへと向かった。
西海岸を北上する道は、「翡翠の道」と呼ばれているという。
「その名の通り、この地域は翡翠(ポウナム)の産地なんです」
出発前、マイクが教えてくれた言葉が蘇る。
「マオリの人々にとって、この石は単なる宝石以上の意味を持つんです」
フランツヨセフを後にする時、氷河が私たちを見送るように姿を現した。
朝とは異なる表情に、思わずバックミラーで何度も振り返る。
道中、オカリト・ラグーンに立ち寄る。
シロサギのコロニーがあると、以前聞いていたのだ。
【Okarito Lagoon】
・ニュージーランド最大の自然ラグーン
・希少な渡り鳥の聖地
・カヤックレンタル有り
・駐車場無料
ラグーンでは、思いがけない出会いが。
バードウォッチャーのジョン(60代)が、大きな望遠レンズを構えていた。
「あそこに、コトゥクという白サギがいます」
望遠レンズを貸してくれる。
「ニュージーランドでしか見られない固有種なんです」
ジョンは30年以上、この地域の野鳥を観察し続けているという。
「鳥たちの習性も、この土地の変化も、すべて記録してきました」
彼のノートには、精密なスケッチと詳細な観察記録が綴られていた。
昼食は、ジョンお勧めのカフェで。
【The Craypot, Ross】
・古い金鉱の町にある隠れ家的カフェ
地元で獲れた魚介類
手作りパイ
金鉱師たちの写真展示
「この辺りは、かつてゴールドラッシュで賑わった場所なんです」
店主のメアリー(50代)が、古い写真を見せながら説明してくれる。
「今でも時々、観光客が金探しに来ますよ」
道路脇の小さな看板に目が留まる。
「Greenstone (Pounamu) Carving Studio」
【Greenstone Studio】
・マオリの職人による実演
・翡翠の原石展示
・制作体験可能
・予約不要
スタジオに入ると、マオリの職人トム(40代)が迎えてくれた。
「ポウナムは、私たちの先祖から受け継いだ宝物です」
丁寧に石を磨きながら、トムは語り続けた。
「この石には魂が宿ると信じています」
「形を決めるのは石自身。私たちは、その声を聴くだけ」
工房で小さなペンダントを購入。
トムが祝福の言葉を添えてくれた。
「このポウナムがあなたたちを守ってくれますように」
16時、ホキティカに到着。
タスマン海に沈む夕陽が、町全体を黄金色に染めていた。
2.Day 9‐4:ホキティカの夕暮れ - 翡翠色の港町
【Hokitika Holiday Park】
URL:Camping in a natural place to take a break - Hokitika Holiday Park
ビーチまで徒歩3分
タウンセンターまで徒歩10分
夕陽スポット至近
無料Wi-Fi
チェックイン時、マネージャーのサラ(55代)が、町の散策マップを手書きで描いてくれた。
「今夜は、サンセットポイントがおすすめです」
「その後、グローワームを見に行くのはいかがかしら?」
サイトに荷物を置き、早速町の散策へ。
19世紀のゴールドラッシュ時代の面影を残す建物が、夕陽に照らされて美しい。
【Sunset Point】
夕陽に向かって伸びる桟橋。
その先端に立つと、まるで海の上を歩いているような錯覚に。
タスマン海に沈む太陽が、雲を翡翠色に染めていく。
夕食は、サラお勧めの店へ。
【The Whitebait Inn】
URL:Whitebait Inn
地元名物のホワイトベイト料理
新鮮な魚介類
歴史ある建物
「ホワイトベイトフリッターを食べずにホキティカを去るなんて、考えられませんよ」
ウェイトレスのジェーン(40代)が笑いながら言う。
シラスのような小魚を卵で綴じた料理は、確かに絶品。
「この魚は、この地域でしか獲れないんです」
「漁期も限られていて、まさに地域の宝物です」
食事を終え、サラが教えてくれたグローワームスポットへ。
町はずれの小さな森の中、遊歩道が整備されている。
【Hokitika Glow Worm Dell】
・無料
・営業:24時間
・所要時間:約30分
・懐中電灯持参推奨
森に入ると、目が慣れてくるまでしばらく待つ。
やがて、無数の青い光点が闇の中で輝き始めた。
まるで、さっき見た夕暮れの空が地上に降りてきたよう。
キャンプ場に戻る道すがら、波の音が心地よく響く。
地平線の果てには、まだ夕陽の名残が。
「明日は、アーサーズパスだね」
夫の言葉に頷く。
西海岸から東海岸へ。
また違った景色が待っているはず。
朝は氷河の上、昼は翡翠の工房、夕方は夕陽と満天の光虫。
一日の中でこれほど違う表情を見せてくれる国は、そうないだろう。
窓の外では、波の音が子守唄のように響いている。
明日への期待を胸に、私たちは眠りについた。
(続く...)