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推しの出ていない舞台で心が躍った
「舞台は好きで、ちょくちょく観に行くよ」
私の推しは、どちらも舞台を年1くらいでやる俳優なので、その舞台は欠かさず観に行っている。1回の舞台につき複数公演観に行くので、結果、まぁまぁな頻度で舞台を観に行っている。
舞台は素晴らしい。
舞台とは、席によっては推しの汗まで裸眼で見えるくらい近くで拝める場だ。
舞台とは、推しの今の今、"最新"を観られる場だ。
舞台とは、推しの声を生で聞ける場だ。
などと、堂々と言ったら、純粋な演劇ファン、舞台ファンに怒られてしまうだろうか。
私の舞台に対する評価は、推しが出ているからこそのものだ。
舞台でしか感じられない迫力、ライブ感が、推しをよりディープに感じられるからという理由で好きなのだから。
というなかで、冒頭の私の発言である。
果たして、推しの出ていない舞台を観ても、舞台が好きと言えるだろうか。
舞台自体を楽しんでいるのではなく、推しを見る手段として舞台を利用しているんじゃないだろうか…。
そんなことを考えていたときに、友達から劇団四季の「美女と野獣」の観劇に誘われた。
ドキドキしながら行ってみると、歌が終わるたびに沸く拍手や、舞台装置の豪華さなど、今まで観た舞台とは違うところがたくさんあり、すごいなーと思ったし、それなりに楽しかった。
でも、この演者さんが推しだったらもっと楽しいんだろうなぁと思ったり、美女と野獣のストーリーをちょっと忘れかけていたこともあり、少し気を失いかけた時間があったのは事実だ。
やっぱり、私は舞台が好きなのではなく、推しを見る手段としてたまたま舞台を観ていただけなんだなと反省した。
それが去年の話。
先月、10月の劇団四季公演「アラジン」の観劇に誘われた。
直近で推しが全然舞台に出ておらず、生のエンタメ不足感もあったので、二つ返事でOKした。
推しが吹き替え声優をやっていた関係でストーリーも覚えているし、好きな物語だったというのもある。
若干推しの影響もあって、100%純粋な気持ちではないよなとも思いつつ、いざ当日を迎えた。
今回は席がかなり前の中央エリアで、これは裸眼でも演者の表情がはっきり見えそうだ。
これは絶対に寝ちゃいけないな…というプレッシャーを感じつつ開幕を待った、のだが。
そんなプレッシャーは開幕後すぐに消え去った。
ひさびさのパワーあるエンタメに一気に引き込まれた!
なにこれ、めっちゃ楽しい!
すごい!
最近、推しに関すること以外で楽しいと思えることは絶対になかったので、推し無しでこんなに楽しいと思えることがあるなんて…!と、衝撃を受けた。
もう最初からハッピー感とかエネルギーが溢れていて、衣装もキラキラ、舞台装置も豪華で立体感がすごくてどんどん場変わりするので、全然飽きない。
観客に話しかけて反応をみるような、ちょっとアドリブっぽいセリフや展開もあって、エンタメパワーが爆発してた。
劇団四季の舞台ならではなのか、舞台中は割とざわざわしている傾向にある。
歌終わりの拍手もそうだし、笑い声はもちろん、わぁ〜とかえぇ〜?とか、結構感じたそのままの感情を声にのせて出す方が多く、それを許容されている雰囲気があって、それが楽しさとか会場の一体感を増している気がする。
観劇した回は、学生の団体がいたのだが、アラジンとジャスミン姫のキスシーンで、控えめのきゃぁ…❤️が聞こえたときには、微笑ましくて思わず笑ったw
改めて観ると、アラジンってめちゃくちゃ良い物語だ。
空飛ぶ絨毯のフライングシーンは本当にロマンチックな展開でうっとりだし(本当にめちゃくちゃ飛ぶ。どうやって飛んでるのか分からないし、演出が本当に引き込まれるので、感嘆の声が劇場中に上がるシーン)
さまざまな立場の者がそれぞれ「囚われ」の身であることから解放され、特に最後にアラジンの知恵でジャファーがいなくなるところやジーニーが自由になるところはスカッとするし感動する。歌も良いんだよなぁ。
物語展開の面白さだけで引き込まれて。
そのキャラクターの持ち味を120%出し切る演者の方の表現力に圧倒されて。
美術さんの表現力に圧倒されて。
演出に圧倒されて。
目の前のエンタメに全力で向かい合う観客席の熱に浮かされて。
1回も意識飛ばなかった。
夢中になって拍手した。
興奮した。
まさか、推しが出ていない舞台でこんなに心が踊るなんて。
純粋に作品を楽しめたことが嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
推し活が悪いものだとは全然思っていないけど、
そのエンタメを推しを摂取する手段だけに使っているうちは、100%そのエンタメは楽しめていないのだなと実感した。
そのエンタメ自体を愛するようにすれば、今の倍以上、それ以上に楽しいことに出逢える気がする。
これでこれからは堂々と舞台が好き、と言って良いだろうか。
ちなみに、アラジンの吹き替えをやっているというところで分かると思いますが、俳優の推しの1人は中村倫也さんです。