しゃべるのが苦手な人のための職場の雑談入門 2.雑談の心構え
ここまでは雑談の目的や意義を記してきた。少しは雑談をする気になっただろうか。
今度は雑談をするにあたっての心構えを述べていく。
自分に付けた仮面をとる
あなたは自分自身をどのような性格だと考えているだろう。
きっと、あなたは自分の性格を内向的とか、慎重とか、しずかとか、地味と表現すると予測するがどうだろう。
だからこそ雑談がうまくできないと考えているはずだ。そうでなければこの記事を読んでいない。そして、あなたがそのような気質を多少なりとも持っていることは事実だろう。
しかし、そのような性格であることを仕事においてコミュニケーションをとらなくてよいという免罪符にしてはいないだろうか?
自分の内向的性格、慎重さ、地味さは職場のコミュニケーションを疎かにしてよい理由とはならない。もちろん生まれながらにして外向的で積極的な性格の人はいて、そのような人たちの陽気さや話の面白さで勝つことは難しいかもしれない。
しかし仕事の雑談は「業務を円滑にする」ために行うものであって、お互いが理解しあい、業務の障壁を取り除くことができればよいのだ。場を盛り上げたり、ユーモアで笑いをとることが求められているわけではない。
まずは自分が自身に付けている「自分は○○だから」という免罪符の仮面をとってみよう。
取るべき仮面は性格だけではない。○○には年齢、職種、性別、役職も入る。「若いから年長者たちの会話は無視していてよい」、「高卒の人たちとは話が合わないから話さなくてよい」「同僚のAさんは女性だから/男性だから上長から気に入られているのだ」と考えてはいないだろうか。そのような考えは自分の理論だけで塗り固まった幼稚なものだ。
自分の性格や属性を言い訳にしていないか?は常に心がけよう。
失敗を恐れない
主に若い人にとって大学を卒業してすぐに職場の人と雑談をすることはかなり難しい。なぜなら年代や背景、役割が違う人たちとコミュニケーションをとるという経験そのものが少ないからだ。
学校でのコミュニケーションは基本的には年齢の近い友達同士を対象としたフラットなコミュニケーションだ。一方、職場の人々は立場や年齢が異なる中でのコミュニケーションとなる。
同年代の友人に冗談をとばすのと、20歳年齢の違う上司に冗談をとばすのでは、慣れないと距離感がわからないだろう。工場に配属になれば、工業高校を卒業して工場一筋20年のベテランと会話する必要も出でくるだろう。はじめは気後れしてしまう。
うまくしゃべれないことも多いし、雑談だけで緊張する。ちょっとしたことで失敗してしまったのではと考えてしまう。
「話しかけたつもりが無視されてしまった」、「話がうまく通じなかった」ということで落ち込んでしまったり、あきらめてしまわないようにしよう。
だいたいにおいて考えすぎだ。無視されたのは単に相手の耳が遠くて聞こえてないだけだし、話題がうまく通じないのは自分の話し方が下手ではなく共有する背景事情が少ないからだ。
多くの人が繰り返し雑談に取り組む中で雑談力を上達させている。結局のところ、雑談の上手・下手も音楽やスポーツ、勉強と変わらない。訓練を重ねていかないと上達しようがない。
恐れずに声をかけていこう。
雑談を楽しむ
数学の問題を解いたり、よいプログラミングのコードを書くのを楽しむように、いろんな人と雑談をすることを心から楽しむ心が大事だ。好きこそものの上手なれ。
そのためには職場の人に対する興味を持とう。
はじめのうちはなかなか興味がもてないだろう。職場でほかの人たちが話している話題、例えば
なんてことにはじめは全く興味が持てないことだろう。
しかし、たまたまこの場であなたと一緒に働いているまわりの人それぞれに人生があり、いろんな経験や経歴、考え方を持っている。
私たちはそれぞれ自分の人生の主人公であり、相手の人生の脇役でもある。あなたも一脇役として、さまざまな主人公たちの物語に興味を持つこと。そうすれば、おのずと相手に敬意を持ち、上記のような話題に対しても楽しめるようになるだろう。