シエラ、カトレア、ベテルギウス
「宙から降り頻る渇望の雨で、わたしは目を覚ます」
「コンクリートの道路に作られた水溜まりに、荒野の風景が反射して見える」
「わたしの爪が綺麗だって褒めてくれたの」
「貴方の名前を教えてほしい。その一文字をわたしにわけて」
「白い花が咲いている。そういって君はそれを手折り、ポケットに詰めた」
「君は大人にはなれない」
「僕に名前はないよ。つけてくれる人はいなかった。僕も自分に名前をつけなかった」
「あの星はもう死んでるよ。僕らが産まれた頃に」
「わたしの花が枯れるまで歩き続けよう」
「君の肩まで伸びる真っ白な髪。やっぱり君は大人にはなれない」
「光の中を泳いでみたい」
「物質で埋められた空白には、魂の入る余地などない」
「あの山の稜線にある星の名前を僕らは知らない」
「魂すら物質に感じるときがある」
「わたし、喉が乾いた」
「君だけじゃないよ」
「月に反射した太陽光を享受している」
「虫の死骸を蹴飛ばしただけ」
「やっぱり君は大人にはなれない」
「初めて鐘の音が聞こえない一日を過ごしたよ」
「君の仕草、姿勢、色、匂い、形、全てがこの宇宙の中にある」
「わたしが前を歩くのを許してください。貴方の歩き方が父親に似ているから」
「僕の左にはいつも母親がいた。だから僕の首はいつも右に傾いている」
「不明瞭な明日を飲み込む手立てを考えている」
「わたしも世界も言葉も全て、作くられたもの」
「瞬きをした一瞬に、世界は暗くなる。そしてまた、元に戻る」
「届かない祈りも中にはあるのよ」
「わたしには『採れたてのブルーベリー』が似合うって。意味わかんないでしょ?」
「いつの間にか歩き方を忘れてしまったの」
「枯れた花ならもういらない」
「捨てる。見る。潰れる。溶ける」
「これも宇宙の一部なら、許してもいいと思った」