ヒガタ ユウケイ
「アンドロメダ症候群」 TVアニメ『宙のパビリオン』 エンディングテーマ(架空のアニメ) July Not Come Feat.Parallel Marina(架空のバンドとアーティスト) 作詞:西平 十希(架空の人物) 作曲:西平 十希(架空の人物) 隠している 隠れている ヒビの底には 歩いていく 笑っている いくつもの透明衛星 感傷が水面に映る 遠くの城を描いた 届かない距離 闇の底には 遺言はどこに 何光年先に 光源はどこ 僕の先に who are you?
空白は埋められた。 眼前には怠惰の潮流が、忌々しくも粛然と流れ、私たちが作られた存在であることを自覚させられる。 この場所は半球状の空間で、等間隔に埋められた白燈はコンクリートの無骨な色合いを鮮明に映し出し、壁に空いた無数の小さな穴からは、数多の眼光がどこでもない何かを睨んでいる。それらは細かな粒子の如く、液体や身体さえも貫通するように、私たちを通り過ぎてどこかへ消えていった。 翻ることもなく、抑揚なく漂うこの体が、外にいる彼らの人生を彷彿とさせること以外においては、私
衝動を、衝動として理解出来るならそれは衝動でない。自制できるものの中に本当の魂の叫びは含まれない。 破壊と創造、幸福はいつも当人の知らぬところで発生している。 はてさて、あの方の芸術はどこから来たものであろうか。 彼曰く、裡にあるとか死の縁辺りにあるとか仰られておりますが、体を切り裂いてもそれらしきものは見当たりませんし彼は微笑むだけで、しかし私には彼が嘘をついているとも思いません。 彼はいつも引っ切り無しに「破壊した」と喉元を絞って小さく叫んでおりました。 何を?
july not come(架空のバンド) 作詞:西平 十希(架空の人物) 作曲:西平 十希(架空の人物) 『明日の聖職者』 贖罪と望遠の詩 明日になれば 生まれ変われると 知らないことだけを いつも探している どこに忘れてきた か細い声の 髪の毛の色と 全て君にしか出せないもの 信じれば救われる なら、あの情景も救われる 明日が来ると信じている 欠けたレンガと 分厚い本に 与えられた幸福論は平等に 俯いた 裸足のまま 汚れた服を着た聖職者 虚ろな目をした聖職者
july not come(架空のバンド) 作詞:西平 十希(架空の人物) 作曲:西平 十希(架空の人物) 『聲の証明』 振り返る この思想 窓にない 光を見て 降り止まない羽根 蝋を洗う 瞬きと誠実 犠牲にして 君が言う 「白が足りない」 何を描いて なにを潰す? ねぇ、神は言ったかい? 「赦し、愛せ」と ねぇ、嘘はつけたかい? ぼくが消え 世界が始まる前に どうしようもない灯籠 影かかる喧騒 白紙に描いた 笑っていた 僕たちの幻想を どこ
幾度目かの死を目前にして、笑みを浮かべる道化師のような、奇妙とも何とも言い難い面持ちで彼は私に話しかける。 「例えば数日後、もし君が太陽に向かって水分を吐き出す花を見たなら、それは僕であるといえるし、或いは猟師に自慢の角を見せびらかす草食動物や神秘に魅せられ深海を目指した回遊魚の話を聞いたなら、それもまた僕であると言える。それほどまでに僕は僕を理解しているつもりだよ」 私はその言葉を聞いて妙に納得した。彼が、寂れて世界から乖離してしまったようなこの場所を訪れた理由を―
僕の好きな曲たちを一部ピックアップ。なんか永遠に聴いていられる気がする。 これらの曲は僕の人生の一部であるが肉体ではない。例えば薄汚れた白衣を纏ったドクターに僕の脳みそを弄くり回されて、これらの曲に関する記憶、歌詞やメロディーやそれ以上のものを忘れたとしても僕は生きていける。でもそれが腹立たしいと思うし、そうなった自分を想像すると悍しくも思う。 今後もこれらの曲と人生を共にしたいと思うので、怪しい施術を受けたり、廃病院などには近づかないようにしたい。 Listen to 4
july not come(架空のバンド) 作詞:西平 十希(架空の人物) 作曲:西平 十希(架空の人物) 『フェルト』 心なら いいよ 白昼の廻廊に 君の空 指輪の中 透けた肌に 群青のフェルト 忘れていたの? 溺れていること 染み込んでいった赤い糸 棘を刺したんだ 君の手が そうなんだろう? 満たされていたいって あと少しで 僕の色をあげるよ 震えるその手に絡まった にじいろのフェルト 呼吸した 耳鳴りと 霞んでいく 花束の色 きみを造ったのは 教えられたか
july not come(架空のバンド) 作詞:西平 十希(架空の人物) 作曲:西平 十希(架空の人物) 『ワズワースまで。』 枯木の枝 踏みしめる音 堕落した風に吹かれて 今だけは此処に居てやると もう少しだけ傍にいてやると 正解だけがほしい 鉄の城と揺れる草原 「あの黒雲に食べられちゃうの?」 何処かで鳴る君の声 「どこまでも飛んでいく紙飛行機がほしい」 退屈な明日の背中に ナイフを突き刺した 機械の音に紛れて 君のもとへ向かう 赤いランプの光を頼りに 君を
july not come(架空のバンド) 作詞:西平 十希(架空の人物) 作曲:西平 十希(架空の人物) 『地下一階テラス席』 動きだす 錆びたフロア 見下ろす度に 聞こえてくる どうして? 誰を抱いた? 聖母も嘘も 苔のように薄く広がる 何が見えるか 空が 鳥が 嘘だって 骨に繋いだ鎖 葉のない木 どうして 知られてしまった わたしの声に沿って 見て 見つけて 鉄の皮膜を 僕を隠してくれよ わかっていたんだ 何もないこと 見えないこと 覚えていたんだ 君の声だけ
彼は奴隷として8ヘクタールにも及ぶ広大な農地に対してキリもなく鍬を振るっていた。朝から始めて日が沈むまでその作業を繰り返すのだが、一日に貰える金は6ポンドだけだった。しかもその内のいくらかは毎日のパンとミルク代に消えてしまう。 それでも彼は有無を言わさず働き続けた。たとえ金と時間、命を減らしたとしても。 他にも数人の奴隷がいたが彼が一番まじめに働いていた。別に不真面目で怠けている奴隷が雇い主から『罰』を受けていることを知っていたからでも、雇い主に反抗的だった奴隷がある日突然
「宙から降り頻る渇望の雨で、わたしは目を覚ます」 「コンクリートの道路に作られた水溜まりに、荒野の風景が反射して見える」 「わたしの爪が綺麗だって褒めてくれたの」 「貴方の名前を教えてほしい。その一文字をわたしにわけて」 「白い花が咲いている。そういって君はそれを手折り、ポケットに詰めた」 「君は大人にはなれない」 「僕に名前はないよ。つけてくれる人はいなかった。僕も自分に名前をつけなかった」 「あの星はもう死んでるよ。僕らが産まれた頃に」 「わたしの花が枯れ
「あなたは完璧なものにほど不安を抱く。もちろん自分自身に対しても」
蒼白い羽が風に飛ばされて、朝日懸かった都市の風景の、白い給水塔を越えて、誰も触れたことのない空間へ向かって上へ上へ落ちていく。 「ねぇ、何を見ていたの?」 「優しさと、溶けていくものを」 地上では八十億の動物たちが神さまを探して、狭い地球の隅の隅まで這ってまわる、昆虫みたいに、遠くから見ればバクテリアみたいに。 「太陽は普遍だろうか」 「乱立するビル群よりは、一人一人に寄り添ってくれる」 春の陽気、綺麗な三角屋根の陰を踏んで、全身に陰を纏ってみる、まるで非日常の中
あなたたちの犯した過ちについて、わたしたちはその全てを赦しましょう。過去がどうよりも、今どうなったかよりも、未來をどうしていくかのほうが大切だと思いました。 わたしの目を見てください、いいですか、わたしはここにいます。 不慣れな話し方でごめんなさいね。あなたたちにとって適切で分かりやすくしようと試みているのです。分からないことがあればいつでも何でも聞いてください、わたしたちは助け合うということを教えてもらいましたから。とても優しい人たちでした、彼女らに貰った愛を忘れる
この都市は薬物で出来ている、昔は泥でできていた。どちらも汚れていることには違いない、汚れた人間たちがいるに違いない。 すれ違うものの多くは希望を失い、鋭利な心を、その腐りきった肉で包み込んで縒れた外套の下に隠している。もしも俯くことが己を保つ最終手段だとするならば、私はこの都市の、薬液のような手の中に顔をうずめるとするよ。 全てを語り終えた詩人のような目を臥せて、誰にも悟られぬように。 一つだけ私は知っている。あの喫煙所は何人もの命を吸い続けてきた。だからもうあの場所に