NCAAとお金(SBJ Intercollegiate Conferenceでの学び)
*本投稿記事は、過去別サイトに投稿したものをnoteに移管したものです。よって少し時系列が変になっている可能性があります事、お許しいただき度。
最近に始まった事ではないですが、ここ数年特に米国ではNCAAの"Student Athlete" (学生アスリート)にお金を払うべきか否かの議論が多くなされています。
NCAAの歴史他については、以前のブログで簡単に触れましたが、膨大のお金を稼ぐ大学チーム(例: Michigan Football, Ohio State Footaball, Duke Basketball, Kentucky Basketball) がある中、その選手たちは学校の名前を使ったり、選手としてのステータスを活かしてお金を稼ぐことが一切禁じられているのです。
その為、全米では大学側が選手たちを使ってチケット、マーチャンダイス、スポンサー、放映権等による膨大な利益を得ているのに、それを一切選手に還元しないのは”Free Labor"(無償労働)で問題なのではと問題視されています。
これに関しては色々と意見が分かれるところで、NCAA側の立場を擁護する人は、「アマチュアリズムの精神」という言葉を用いて、学生アスリートがお金を稼げないのは真っ当であると言います。
一方、反対派の人はそもそも曖昧な言葉であるアマチュアリズムの定義が何なのか、また何故お金を稼ぐ為に世間からも厳しい目を向けられ、試合で活躍しないと全国紙などでバッシングが向けられる程の立場にいる学生アスリートがその過酷な労働に対する対価を貰えないのかを問題視しています。
先ず日本の多くの方が理解していないのは、全米の学生アスリート(特に全米で人気あり、過酷な競争環境にあるアメフトとバスケ)はシーズン中、練習+ミーティング+トレーニングで20時間~ その部活動に割かれる上、学業が日本と違い圧倒的に忙しい(出席は基本マストで、宿題も膨大な上、一定の成績を取らないとNCAAの規定で部活動に参加できない)為、学生活動(部活+学業)で優に40時間程取られてしまうという事。
これにロードゲームの移動時間等を合わせると最悪週に50時間とかも学生活動に取られてしまう計算になります。
50時間というと、もはや立派な職業です。
世間からのプレッシャーも凄く、お金も多くウぎこまれている環境下で選手たちはプレーするのに、それに対する対価が全くないとは少し寂しいですよね。
ただ、一方でそう言った選手たちの多くは、「スカラーシップ」を貰っていると言う事も理解してください。全米の優秀な私大は高ければ年間7万ドル(800万円相当)程の学費がかかるのですが、それが全額無償となるのです。また、アメフトやバスケの選手たちの場合それに加えてハウジング(寮費、家賃)や、食費も提供される場合もあります。
そうなると、学校にもよりますが、年間1200万円を超える稼ぎを出している計算になります。18歳、19歳の青年が20時間―30時間の実働時間で1200万円程稼げるとしたら、だれもが喜んでやる職業ですよね。
僕は、米国NCAAの環境下で部活動を選手として行ったことはないですが、上記の様な特別な環境が整備されており、スポーツに関わる殆ど全ての費用(トレーナー、衣類、靴類、栄養)が学校負担となっていると考えると、(確かにお金を追加でもらえないのは寂しい感覚がのこるものの)決してお金を払う必要が無いのではと思ってしまいます。
分かり易く例えると、例えば優秀なバスケチームが1200万円/年の4年契約(大学は4年間)で10名の選手と契約し、また同部のコーチ、トレーナー、スカウトに数千万ー数億使い、またマーケティング他の営業活動にも多額を使い、年間数十億円程稼いだ場合、選手たちの給料(奨学金+家賃+他代)は普通に感じますよね?
これはかなりControversial なトピックではありますが、僕個人としては、上記理由から今後もお金の授与は基本認めなくてもよいのではと考えています。
一方、何か優勝チーム他には学校内で使える金券、図書券等(金銭以外の何か)学業と少しでも関係しそうな商品を与えるなどの施策をしてもよいかもですね。
この議題については、今後も勉強・研究していきたいと思いますので、またいつか更新させて頂きます。
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