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東京五輪のスポンサーシップにみる、日本スポーツ界の怪しい未来。。。

東京五輪開催までいよいよ1年を切り、日本、いや世界で同五輪に向けたカウントダウンが始まっています。

その中日本では、五輪によって経済全体が盛り上がりを見せており、中でもこれまで注目が比較的薄かったスポーツビジネス界も多くの人材・お金が流れ込む等大きな注目が集まるようになってきています。東京五輪関連(スポーツ振興他)で大きなお金がスポーツ界向けに動き始めたのも、日本のスポーツ界の盛り上がりに確実に一役買っています。

ここで一つだけ皆が良く述べる疑問をあえてまた確認させてください。

このスポーツ界における好景気は五輪後も続くのか? というものです。

今回は、東京五輪のスポンサーシップを焦点にあて、上記問いに対する自分の見解と、今後どうすべきかを述べたいと思います。

1.あまり知られていない東京五輪のスポンサー状況

スポーツビジネスにおける主要収入源は、①放映権、②スポンサーシップ、③チケットセールス、④マーチャンダイジング・コンセッションです。
今回の東京五輪においては、②のスポンサーシップ収入は凄い潤沢に入っていると言えます。

更に言うと、潤沢ではなく、潤沢「過ぎる」可能性もあります。この点を多くの人が理解していないものと思われます。

2008年の北京五輪、そしてその次に夏季五輪が開催されたロンドンが五輪史上初めて国内向けスポンサーシップ*総額がUSD1Bil(約1100億円)を突破しました。その時はその大台を初めて突破した事から、驚きと称賛が世界中のスポーツ関係者から起こりました。

(*) 開催国内でのみ、五輪のロゴ他を使って広告を打って良いというスポンサーシップ(例:ANA、みずほ銀行等)。これとは別にワールドワイドスポンサー(例:コカ・コーラ、VISA、パナソニック等)と言い、世界中で五輪スポンサーである事を名乗って広告を打って良い枠もある。

(東京五輪のスポンサーランクを表すピラミッド。国内向けスポンサーは下3層:話題ネタ.com引用)

では、今回の東京五輪はというと、国内向けスポンサーシップ総額がなんとUSD3Bil(約3,300億円)!!にもなるのです。つまり歴代最高と言われ、要約1Bilという大台を突破した北京、ロンドン五輪の数字を超えるどころか、あっという間に3倍にも上してしまったのです。。

この数字を見てどう思いますでしょうか??

純粋に日本経済盛り上がっているな!とか、東京五輪のスポンサーシップの取り纏めを主に行った電通はやっぱりすごいな!となるのでしょうか?


2.筆者考え、の前に太田雄貴さんの発言から考える


自分がその考えを述べる前に、まず日本フェンシング界を長年選手としてけん引し、その後同協会会長としてスポーツそのものを引っ張る太田雄貴さんのコメントを見て下さい。

「五輪までは、スポーツ界に入ってくる資金はおそらく潤沢でしょう。しかし、五輪後、その資金が引き続き同じレベルでスポーツ界に投下されるかというと、極めて厳しいのではないか、というのが私の見立てです。」
(以下Number記事より引用)


太田さんは、現在のスポーツビジネス界における盛り上がりは一種の五輪バブルであると捉えており、その為に今ついているスポンサー企業・スポンサー額は持続性のないものと理解をしています。そして、その為に将来的にどのようにしたらスポンサーを確保できるかを今から既に模索しています。

私は、この太田さんがもつ「現在の本邦スポーツビジネスが一種の五輪バブル」であるという認識は極めて正しいと思っており、また正直に現段階でスポンサー企業含め、スポンサリングに対する理解が至っていない為にこのような膨大なスポンサー金額になってしまったと考えています。

それは、東京五輪向け国内スポンサー内容を見ればわかるかと思います。

3.東京五輪向け国内スポンサーの内訳詳細分析
~筆者の東京五輪スポンサーに対する考え~

東京五輪向け国内スポンサーを見てみると面白い事が分かってきました。

まず今回のスポンサリングには、以下3つの特徴が見て取れます。

①(スポーツに限らず、広告業界においてあまり目にしない)同一ビジネス領域で複数スポンサーが並立している事(例:ANAとJAL、朝日新聞と読売新聞等が夫々東京五輪国内向けスポンサーである)

②(後述する事由からの筆者類推も)各スポンサーがスポンサー価値を算定するのでなく、支援金・義援金に似た形でお金を出している事

③ 独占スポンサリングのビジネス領域が、細分化され過ぎている事(例:キッコウマンがソース・酢・みりん・料理酒という極めてニッチ領域の独占スポンサーである事等)

(国内向けスポンサー一覧:東京五輪公式HP引用)

今回国内向けスポンサーは合計64企業に上るとされており、日本国内での物理的な広告スペース(TV,紙媒体の広告、看板他)の有限性を考えると、それはあまりに多く、どうみても全社が十分にスポンサリングによる公告メリットを受けられるとは思えません

同状況にも関わらず、ロンドン五輪比で東京五輪は、国内向けスポンサー総額が3倍であり、その総数が1.5倍(注:ロンドン五輪時は42社スポンサーがいた)という事に鑑みると、単純計算すると同スポンサー1社当たりの負担額は、ロンドン五輪のそれのなんと2倍(!!)なのです。

これらを踏まえると、今回の東京五輪でスポンサー金額がここまで吊り上がり、またスポンサリング企業がここまで増えたのは、スポンサー企業各社が五輪向けスポンサリングによる経済効果を期待した為でなく、それ以外の要因によるものと略断言できます。この「それ以外の要因」とは、恐らくFOMO(Fear of Missing Out:自分のみ取り残される怖さ)によるものなのではと思わさせられます。

つまり、日本に根深く根付く周囲がやっているから、自分もやると言う、「良くも悪くも和を尊重する考え」が、スポンサー額、またそれによるスポーツ界全体の盛りあがりをけん引したと類推できます。

4.東京五輪スポンサー状況から今後の日本スポーツ界を占う ~結論~

繰り返しますが、確かに来年の東京五輪のスポンサー総額がとてつもなく凄く、そのお金がスポーツ業界に流れる事でスポーツ界の盛りあがりが確かに起きているのは事実です。

但し、上述の通り、同スポンサー金額や同内容を細かく見ていくと、各スポンサー金額・条件は市場価格を大幅に上回っていると思われ、恐らく各社スポンサー金額に比した広告メリットは得られないと予想されます。
他のどのビジネスでもそうですが、経済的な効果が薄い場合、それを継続する企業は原則いない(少ない)と思われ、東京五輪後にそれらスポンサーが本邦スポーツ産業に改めて協力し続けるかは、極めて不確かな状況と言わざるを得ません。(ビジネス性(経済性)が無い中で、高額な資金を出し続ける企業は資本主義の中ではありえませんよね?)

これまでは「東京五輪」という「お祭り」に向けて盛大に日本中が湧き、お金を投下してきましたが、本邦スポーツ界が本当の意味で産業として成長できるかはその後の活躍にかかっています。

太田さんが述べているように、今お金が回っている状況に各団体が満足してしまうと、五輪後悲惨な事になってしまう可能性があります。一方、同状況に慢心する事なく、そのお金を五輪後を見添え再投資に充てられるスポーツ団体・リーグ・チーム・関係企業がより多く出てくれば、それこそ真の意味で日本スポーツ界が大成長を告げる時になるかと思います。
(偉そうな表現にてこちら失礼いたします)

スポーツに人生を助けられた私としては、全力で五輪後も本邦スポーツシーンが成長し続けられるように、本邦スポーツ界向けに新たな施策を打ち続けると同時に、将来自分が資本力(お金)で直接同業界に貢献できるよう、自分の事業における資本力強化にも邁進していきたいと思います。

やってやりましょ!!!


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