富士山縦断
夏休み最大のイベントとして、富士山縦断してきました。
思い立った理由
久しぶりに『天空の城ラピュタ』を見たから。
って言われてもイマイチわからないですよね。ラピュタはジブリ映画の中で一番好きな作品なんだけど、ラピュタに上陸して散策するシーンを見て『こうやって雲を下に見ながらまた過ごしたいな』と思ったから。そう思える程に以前見た景色のインパクトが強かったんですよね。特に日の出の美しいこと、やっぱりもう一度見たい!ってなりまして。
加えて、掛けた時間に対して得られる達成感の圧倒的な効率の良さ笑 1日半のうちに『日本一の山に登る』満足感と適度な疲労感は他では得られない充足感を与えてくれるんです。
富士山登山は今回で3度目、1度目は大学四年の夏休みの時に吉田口から、2度目は3年前に須走口から、いずれも所謂『弾丸登山』てヤツでした。
富士山登山ルート
今回は4つあるルートの残り2つのうち、一番西側の富士宮口からのアプローチを選択、理由は3つ。
富士山の朝日は話題になるけど夕陽はほとんど見たことも聞いたこともないのでどんなものかと思ったから。
富士山最高地点剣ヶ峰(3,776m地点)へのアプローチがしやすいこと、
南側の富士宮から登って火口を半周して北側の吉田口へ降りると富士山を縦断する形で富士山登山を楽しめること。
弾丸登山は今では『辞めましょう』と言われてる夜通しで登り切って日の出を見る登山方法で、1度目がそういう登り方だったのでそれが当たり前だと思ってたんですよね…(反省)
3回目にして自分の(普段運動をまともにしていない)体力と年齢をしっかり考慮して、10合目の山小屋に一泊することに。初日まずは富士宮から頂上に登ることに専念、2日目は朝陽と剣ヶ峰を満喫して火口を半周して吉田口から下山する比較的余裕のあるスケジューリング。このお陰で心理的にも余裕を持って登ることができました。
後は混み合う夏休みの時期を避けて天気を確認してベストなタイミングを待って、お盆につながる夏休み時期を避けた8/22,23に登ってきました。
1日目
東京からはこだまに乗って新富士駅へ(1時間)、そこから5合目まで行くバス(2時間)に。結局12時半から登り始める事に。泊まる予定の山小屋の予約のために電話をすると『間に合いますか?山小屋夕方6時までなので頑張ってそれまでには来てくださいね』とのこと。いろんなサイトを見ても5時間半で登れると書いてあるのに、『それは登山に慣れた方の時間ですから結構早いですよ』って言われても困る…。
そんな訳で焦るでもないけれど、疲れが出切る前に登り切りたいのもあってさくさく登り始めました。今回はいつもと違ってゴールの目安時間があったので登りながら各休憩所で時間を図ってみたら個人的にも面白かったので記録の意味合いでもメモ。
合数 高さ 登り予定時間 実際かかった時間
5合目 2,400m
6合目 2,490m 20分 14分(12:24-12:38)
新7合目 2,780m 60分 38分(12:46-13:24)
元祖7号 3,010m 50分 43分(13:36-14:19)
8合目 3,250m 40分 42分(14:31-15:13)
9合目 3,460m 30分 44分(15:24-16:08)
9合5勺 3,590m 30分 37分(16:20-16:57)
10号目! 3,720m 30分 50分(17:08-17:58)
飛ばしすぎたのか、後半のバテを全く考慮してない予定時間設定なのか、後半戦のタイムの落ち込みが目に見えて明らか。
登る途中の景色はこんな感じ。
なんとか山小屋に6時前に間に合ったら僕よりも遅れている人がいた上に管理人の方々はずっと山小屋にいらっしゃるらしく、『別に6時じゃなくてよかったんじゃ…。』と思いながら荷物を置いて消灯の7時まで頂上を堪能。
山小屋のすぐ裏には富士山の火口がぼっかり口を開けていて、その荒涼とした感じは異次元な感じで今まで見てきた富士山とは全く違う一面を覗けた。
そして尖端が夕陽に照らされる火口を堪能した後に明日の日の出を見るロケーションを確認しに少し東側に移動してみると東側を見てみると予想もしない景色が広がっていた。夕陽に照らされて富士山の姿が東側の雲の上に綺麗に影となって映し出されている。
下山後に調べたら『影富士』という、いくつかの条件が揃った時に山頂で見られる現象だという。その美しさと雄大さの衝撃と感動のあまり、1人じゃそれを受け止めきれず頂上まで一緒に登ってきた方々に『すごい景色が広がってるから来てください!』って叫んでしまって。数人が『どしたどした』と岩場に登ってきてくれてみんな『え!』って驚嘆して共感してくれて。
『すごくないですか、これ?』
『すごいすごい!』
『すごいですよね、なんなんですか、これ!』
『わからないけど、とりあえず凄すぎる!』
『ですね!』
って登山し終えて疲れ切ってアホみたいな語彙力で一生懸命興奮を共有して、今回は影富士はじめこの瞬間のために登ったんだなぁと思えました。
頂上の山小屋は19時に消灯、4時に起床となっていて、疲れていたので上着だけ脱いでとりあえず布団に落ち着いたらすぐに寝落ち。ただ3,700mを超えることもあり空気が薄いと感じることがあり23時頃に一旦目が覚めるとそこからは落ちたり覚めたりよく眠れず。寝返りを打つにも足の付け根が痛くていちいち『よっこらせ』という感じ。3時頃からはもう横になっているだけでもしんどく感じられるようになって布団の中で準備開始。寒い外に備えて汗を拭いた上で防寒着を着たり山頂で動き回りやすい様に貴重品や朝食だけをまとめたバッグを用意して4時の起床時間を迎える。
2日目
まとまった時間横になって休んだお陰で体はだいぶ楽になっていて、気になっていた酸素の薄さも気にならない。
まずは朝陽を見るために早速ポジション探し。山小屋の目の前の駒ヶ岳から見えると言われたものの、どうずれても朝陽がその手前にある富士山の稜線にかかってしまい直接見えなそうなので、一旦東側に20分ほど移動してその名も朝日岳付近に。寒い中じっとしているより体もあったまるし朝日が正面から見えるしいいことしかない笑 時折吹く風を避けるために朝日を正面に見えるちょっとした岩と岩の間に体を埋めてしばし待つ。
今回はなかなか雲の量が多くてはっきり見えなそう、だけどその向こう側で確実に太陽が昇り空をオレンジ色に染め上げていく感じが刻一刻と伝わってくる。周りのみんなも諦めていたけど、ある時太陽の強い光が雲間から伸びて山頂を照らし出した瞬間に歓声を挙げる。寒さなんて一切感じない、何度来ても感動的な瞬間、これのためであれば登山のための苦労は払っても惜しくない、そう思える。
照らし出された富士山山頂も美しい。
さて、ここから今回最後のメインディッシュ、富士山最高地点(3,776m)剣ヶ峰へ。
山小屋の方へ再び戻り、そこから火口を左手に見ながらさらに西側に進むとそこから急激な坂を迎える。それが剣ヶ峰の入り口。岩という岩もなく砂利ですらない砂地の坂は登るにも降りるにも足元を掬われやすく気が抜けない。そうした急な坂を一歩ずつ登っていく訳だがここでは改めて空気の薄さを感じる。焦らず一歩一歩、そうしてようやく辿り着くのが日本最高地点、剣ヶ峰。
そこからの絶景をこの写真で少しでも感じてもらえたら嬉しい。
圧巻にして荘厳、粛然として雄弁、そんな神秘的な空間。
ほとんど人がいない朝一のタイミングにくれば、ここを独り占めした贅沢な気分を味わえる。(結局ここに小1時間弱滞在笑)
頂上で文字通りハイになって高さに慣れて高山病になる不安も無くなり、美しい景色を満喫しながら歩き、足取りはかなり軽い。2日目の行程もメモしてみた。
合数 高さ 登り予定時間 実際かかった時間
富士宮 3,720m
剣ヶ峰 3,776m 20分 22分(5:18-5:40)
富士宮口 3,720m 20分 10分(6:35-6:45)
吉田口 3,710m 30分 21分(6:47-7:08、お鉢巡り半周)
8合目 3,040m 50分 42分(7:10-7:38)
7合目 2,700m 90分 44分(7:46-8:28)
5合目 2,305m 70分 37分(8:31-9:25)
帰りは正直目標があまりないからただ面倒臭いだけ、という状態になりやすいんだけど、climbers high(descenders high?)なお陰でかなりサクサクと降りることができた。小石が入らないように裾をしっかり下ろし、滑る砂利道で踏み締めるのではなくて滑るのを前提に足を突っ込み止まる前に逆の足を前に出すことで、滑るように駆けるように降りれてスムーズに降りられた。ただやっぱり下りは足に負担がかかりやすいので七合目以降は若干バテたけど笑
吉田口って一番ポピュラーな登山口なんだけど、五合目の森みたいな感じはハイキングしている感じでとても好きで最後の道のりを後押ししてくれた。
そして最後は五合目でロバたちに迎えられて富士山登山は無事に終了。
五合目から富士山駅行きのバスに乗って地上へ笑
その後葭之池温泉で体を癒して、吉田うどんでお腹を満たす。そして富士山駅から東京へ戻るバスを待つ間駅前のカフェで今回の登山を振り返る。
そんな前回からのルーティンを済ませて、一途東京へ。
今回は3回目だったにも関わらず、今までで一番特別な経験をすることができた富士山登山だった。
次があるのか、次は他の山なのか。今は全くわからないけど、また呼ばれることがあれば是非また違った富士山の顔を見られるのを楽しみたいと思う。
大満足な2日を与えてくれて、富士山ありがとう。
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