今年最大のやりたい放題「おんな唄」
いやーとんでもないライブをやってしまいました。振られた女の歌ばっかりを歌う「おんな唄」
演奏やイベント企画などいつもご一緒させていただいてる池垣佐世子さんと中島みゆき展に行ってからというものの、
猛烈に「振られた女たちの情念のこもった歌ばっかり歌いたい……!」という衝動に駆られまして、
いつかやりたいライブと思って場所も時期も未定なのに勝手にタイトル決めて作っちゃったこのフライヤー。
河内長野の商店街でランチを中心に営業されているお店「LIVING+」
そこで水曜日の夜にあいちゃんが営業している「居酒屋あいちゃん」の一日店長に友人で福祉の会社を経営している三原祐太君が抜擢されたということで、同時開催させていただくことになりました。
……まさかの聖夜に笑
クリスマスというキラキラしてるはずの夜に、私たちの薄暗い悪ふざけにお付き合いくださる素敵な方々がたくさんお越しくださり、馬鹿騒ぎしながらとんでもなく不穏なセットリストをこなすという、非常に不可解な夜となりました。
楽しかったなー。
「おんな唄」お品書き
さよゆかりでセットリストの楽曲を超解釈し、解説をしたためたお品書きというものを皆様にお配りしましたので、こちらに掲載させていただきます。
どれも歌いたくて仕方なかった曲ですが、
特に「紅とんぼ」「化粧」
この二曲への想いは煮えたぎっておりまして、
技術はさておき魂込めて歌いました。
歌いたかったんだもんっっっ
「悪女/中島みゆき」
浮気に走る男に対して、嘘の「私も男遊びしてんのよ」アピールをし、自分に愛想を尽かすようわざと仕向ける女性の失恋ソングです。浮気した男にわざわざそんな小細工したり小芝居打つ必要ある? キレたれ、泣いたれ、自分から振ったれ〜と思いますが、そんなことはしないしできない、不恰好でいじらしい、いつもどこか一人相撲……それがみゆきの失恋ソングです。
しかしこの小芝居に付き合うマリコはどんな気持ちなんでしょう……。(ゆかり)
「サイレントイブ/辛島みどり」
1990年。ドラマ『クリスマスイブ』の主題歌にもなった名曲。友達の彼を好きになった女性が気持ちを断ち切り、自分から腹をキメて身を引くわという歌です。そもそも悪いのは誰? たぶらかせた男か? この主人公がこじらせた? 彼女は知らなかったのか?? だけどこのメロディが美しいから、ひとつの切ない恋の形になったんですね。結局、ほんとは誰もが優しくなりたいのが恋。(さよこ)
「駅/竹内まりや」
竹内まりやの「駅」「シングルアゲイン」「告白」はどれも昔の恋愛を歌った名曲でが、「駅」に関しては本来は中森明菜にまりやが提供した楽曲です。「あなたがいなくても こうして 元気で暮らしていることを さり気なく 告げたかったのに…」「私だけ愛してたことも」同じ歌詞でも明菜バージョンを聴くと無念な気持ちを抱える儚い女性像が浮かぶのですが、まりやバージョンは過去を懐かしみつつも昔の思い出と訣別を決める強い女性像が浮かぶのが不思議。(ゆかり)
「あばよ/研ナオコ」
中島みゆきは、報われない「一人相撲」の恋愛を歌う天才。「あばよ」は研ナオコに提供した楽曲ですが、優しくしてくれた男に恋をしたものの相手にしてもらえなかった女性の姿が描かれています。にしても、一日二日留守だと言われただけで「嫌われた!」と思い込むあたりの自己肯定感の低さが切ない。「あの人はお前に似合わない」と自分を卑下しながら言い聞かせる姿も切ない。ちあきなおみもアルバム「ルージュ」でカバーしていますが、そちらも必聴です。(ゆかり)
「戦場のメリークリスマス/坂本龍一」(ソロピアノ)
2024年、みなさんにとってどんな一年でしたか?
私にとっては例にみない濃い一年でした。坂本龍一の言わずとも知れるこの曲、私は毎冬どこかしらで弾くのですが、毎年違う景色が見えます。みんなそれぞれ何かしら戦ってる! だけど、これからは、戦いではなくみんな平和に過ごせるといいですね。きっと、この曲に込められたものは深い人間愛。
今年がんばった人たちへ。メリークリスマス!(さよこ)
「紅とんぼ/ちあきなおみ」
「紅とんぼ」はちあきなおみが1988年にリリースした、新宿駅裏の酒場「紅とんぼ」のママが店じまいして田舎に帰る……というストーリーの楽曲。常連に慕われるママを演じるちあきなおみの歌声は、母性にあふれながらも、孤独で物寂しい雰囲気が魅力です。いつも笑顔でカウンターに立っていたママも、実はお客には見せない顔があったのかも……。さよこさんによる楽曲考察もお楽しみください。(ゆかり)
「化粧/中島みゆき」
みゆきの最高傑作「化粧」。今も様々なボーカリストがカバーする名曲で、化粧に興味もなかった地味な女性が自分を捨てた男に会いに行く夜、今夜だけは死んでもいいから綺麗になりたい……と願う切々とした思いを歌っています。自分を捨てて別の女と一緒にいる男を恨みながらも、自分のことを勘違いしてしまった馬鹿な女だと悔やむ、みゆき節の真骨頂です。ちなみに他歌手のカバーを聴いたとき「この人は若い頃モテてたな」「あ、この人はそんなモテてなかったな」と歌声で判別がつくリトマス試験紙のような歌、と私は勝手に思っています。(ゆかり)
「翳りゆく部屋/荒井(松任谷)由美」
ユーミンの最高傑作であるこの曲は、ユーミンが14歳の頃に原曲をつくったそうで、改めてその天才ぶりを感じる一曲です。「どんな運命が愛を遠ざけたの 輝きはもどらない わたしが今死んでも」という恋の終わりの絶望を歌う詞がとにかく強烈ですが、単に絶望を歌っているわけでもなく、ある意味「死にたいくらい辛いけど、どうせ死んでも何も変わらない」という女の暗い強さが表れている気がして、みゆきとはまた違うユーミンの根本的な自己肯定感の高さを感じます。(ゆかり)
哀しくて歌う「おんな唄」
明るい歌、暗い歌、楽しい歌、哀しい歌。歌って色々あります。私は古い唱歌や抒情歌なんかもよく歌うのですが、短調の悲しい旋律が多いなあと感じます。
幸せな時に流れる音楽は相乗効果で幸せをもっと盛り上げてくれるし、人生のトッピングみたいな素敵なものだけど、やっぱり音楽に縋りたくなったり助けを求めたくなったりするときが人生にはたくさんあるんですよね。
気分をあげたい時、勇気を出したい時、おしゃれな気分に浸りたい時、恋愛して幸せな時、誰かへの愛情に溢れる時、色んな場面で音楽が必要不可欠だけど、
まー私はあまり明るい性格ではないので笑
哀しくて哀しくてやりきれなくて歌う歌がやっぱり好きですね。そもそも哀しくなかったら音楽なんてやってないもん。歌ってないもん。割と真理だと思うのよ、これ。音楽が楽しい!だけなら私続けてない。
昔からちあきなおみさんが大好きなんですが、哀しくて辛くてやりきれなくて、だけどそっと微笑みながら絞り出すようにして歌うあの美しい声が本当に憧れ。
ちあきなおみさんが歌う船村徹さんのあの旋律をライブで歌えて良かったなあ。みなさん、聴いてくださりありがとうございました。次は「みだれ髪」が歌いたいところです。まだ付き合ってくれるかな?みんな笑