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人が好きか、それとも物を愛するか。

あなたは「物」が好きですか?
それとも「人」が好きですか?

着物について考えていると、究極の問いの一つは、これであろうと思う。

着物を好きで好きで着ている人は、全員がファッションが好きで、且つ、「物」も好きだろうと思うかもしれない。しかし、必ずしもそうとは言えない。

私はどちらかといえば、後者である。
「着物スタイリスト」などと名乗っておきながら、物より人が好きだ。
物も好きだが、そこに「人」が介在する部分の魅力が深い方が、愛が深まる。
果たして、あなたはどちらだろうか。

例えば、「受け継ぐ」着物。
友人の早く亡くなった母の着物に袖を通し、供養する。それは、着物の美しさや価値以上に、その背後にある友人の母や友人とのストーリーが、その「着る」という行為に込められている。
それは私を満たす。

友人の母の箪笥に眠っていた紬に袖を通す

例えば、作り手とのコミュニケーション。
着物は、基本的にアナログな手仕事が多いため、人が直接的に携わって「物」を作る時間が長い。
すなわち、職人だろうが作家であろうが、「人」のした仕事が「物」に強く反映される。
その作り手とのコミュニケーションが、好きだ。

牧山花さんのアトリエで

一昨年、染織作家・牧山花さんのアトリエで過ごした1日を忘れることはないだろう。
彼女の作り出したものを見に纏い、彼女の溢れ出る思考を受け止めながら、そんな時間は至福であった。

しかしながら、「物」より前に「人」が出てしまうと、それは途端に陳腐になる。
SNSで誰もが安易に発信できる時代、このバランスは崩れやすく、且つ重要である。

「物」が素晴らしく「人」の心を癒すことが一番にあり、それを生み出す「人」、それに関わる「人」が面白いから、着物に携わっている。
私にとって、それは最高に幸福である。

★きものスタイリスト 森 由香利★
Yukari Mori Kimono Studio
Instagram: @yukarin_kimono
公式Line: https://lin.ee/OHPyC3n

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