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茅ケ崎の夏

やったー!大好きな海の近くに引っ越した

海が好きで海の近くに住みたくて茅ケ崎に引っ越した。
塩害がどうとか言う人もいるけれど、海岸から歩いて約20分ほどのマンションでベランダに洗濯物を干していたけれど、乾かないということはなかった。

このマンションは、予算より少し高めだったけれど、このベランダから見える景色に魅せられて選んだ。
このベランダから眺める景色を見ているのが至福の時間だった。

これまで住んでいた東京から離れてしまったけれど、知り合いが二人いたので何となく安心感があった。

それに、その知人が同じ茅ケ崎に住む友人たちを紹介してくれた。
フレンドリーな人たちばかりだったのは、海の近くに住む人だからなんだろうか。

町の雰囲気も東京から電車で1時間ちょっと。そんなに離れていないのに、どこか時間がゆっくりしている感じがした。そして、朝がすごく早い。

海岸を散歩する。に憧れて日の出とともに海岸に出かけ、遊歩道を散歩する。休みの日には、江の島まで海を眺めながら4時間散歩する。帰る頃には富士山がキレイに見え始める。なんて贅沢なんだろう。

大好きなパン屋さんを見つけ、クロワッサンを買うと、小さなコーヒーを無料でつけてくれる。
ここにいるだけで幸せ。
ここに越してきて良かったと思った。

あの頃は、精神的にもかなり疲れきっていて海の近くに住んで癒されたかった。そうしたら、また復活して頑張れると信じて引っ越した。

しかし、引越して初めての夏に、もうどうしようもなくなり、そこに居られなくなった。

楽しみにしていた茅ケ崎の夏。
引っ越す前に何がしたい?
水着のままビーチに出かけ帰ってくる、そんなささやかな夏の楽しみを、ここに越してから知り合った友人が付き合ってくれた。
まだあまり人がいないビーチで少しだけ夏を楽しんだ。

嫌だ、引っ越したくないよ。
未練たらたらのまま、茅ケ崎を離れた。

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新たな夏のイベントが始まる

私の気持ちを察してくれたのか、その友人が翌年から毎年茅ケ崎の花火の日に地元民が利用するビーチでBBQするからおいでよ。と、声をかけてくれるようになった。

地元民ならではの楽しみ方
それもすごくうれしかった。

そして、これが私の毎年の夏のメインイベントになった。

友人は、朝から旦那さんとテントを張り、BBQの準備をしてくれた。
まだ日が高い午後1時からのスタート。

次々と二人が声をかけた仲間が集まってくる。

BBQでひとしきりお腹を満たしたら、海に入って火照った身体を冷やし、子供連れの家族が到着すると、子供をだしにビーチで大人も大はしゃぎする。

楽器を持ち込む人がいて、それに合わせてみんなで歌を歌っていると、見ず知らずの若者たちが、音楽に引き寄せられてやってくる。
海は開放的だというけれど、こんな一期一会はとても楽しい。

少し動いて、歌を歌うとまたお腹が空いてくる。
新しい食材や、後からやってきた仲間が持ち込んだ飲み物や食べ物をいただく。テントが立っているのがとてもありがたい。

それでも、お日様は少しずつ向きを変えていくに従い、テントでの影確保できる位置が変わっていく。

さすがに日焼けは避けたいと思うところだが、良く見るとビーチサンダルの型が足の甲に薄っすら見受けられる。

あちゃー、気をつけないとな。
なんて、思っていると、東と西の空の色が少しずつ変化してくる。
そのうちに、それまで鳴りを潜めていた富士山が西の空にシルエットがキレイに見え始め、すると一気に日が暮れて辺りの空がマジックアワーのブルーに染まる。

さすがに、みんなちょっとまったりモード。
この静の時間に、花火のためのエネルギーを充電しているかのようだ。

すっかり日がくれるとあの暑かったビーチに、塩分を含んだ少しねっとりした感触のしかし、涼やかな潮風が吹いくる。

それが、夕方気を抜いて日焼けした身体や顔にはすごく気持ちがいい。
さあ、もうすぐだ!半日、ビーチでの楽しい時間を満喫して、最後は、メインイベントの花火の始まりにワクワクしてくる。

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夜空の光のショー開幕!

ドン。

みんなが時計を見る。

いよいよ、始まる!!
期待で胸が弾んでくる。

大玉からアレンジまでリズミカルに次々に打ち上げられる
遮るものもなく夜空のキャンバスに彩りよく描かれる花火

キャーーーー!
ドーーーーン!
たまやーー!
キレーーーイ!

興奮マックス!

フィナーレを迎える花火を、どうかこのまま終わらないでと願う気持ちと、終わってしまうから存分に今を楽しもうと思う気持ちが入り混じる。

終わりを告げる音が鳴った。

でも、すぐに帰ろうと言う気になれない。

周りの人たちがビーチから去っていくと、波のボリューム音が上がって耳に入ってきた。

水平線のその先には、いくつもの星が輝いていた。
スマホのアプリで、あの星は何座かがわかるなんて、スゴイ時代だ。
ちょっとしたプラネタリウムを楽しむ。

周囲に光がないとこんなにお星様がたくさん見れるんだね。

みんな自分が見つけた星が何座なのか調べて、へえーっと感心しあって、ようやく片付けに取り掛かる。

本当は、理由は何でもいい。
ただ、この時間を少しでも長くみんなと共有していたいだけなのだ。

それでも、気のいい仲間たちと、大好きな海、BBQ、花火、星空を楽しむ時間の終わりがやってきた。

また、来年ね。

そう言って、駅に向かってから2回目の夏。
今年も花火は打ちあがらない。
また、楽しかった茅ケ崎の夏に未練たらたらだ。

しかし、また何か新しい形で茅ケ崎の夏を楽しめる日が来る!
きっと、そうなる。
そう信じて、今を過ごしていこう。


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