サービス☆記事 令和版 誕生日別 和のお守り文様 9月18日<分銅繋ぎ文>
令和版 誕生日別 和のお守り文様
令和の日本では西洋の文化が定着し、日本人特有の寛容さから異文化の祝い事なども生活の一部となり、それが当たり前のこととなっております。
それゆえに我が国特有の文化や文様が思い返されることが少なくなりました。
しかしちょっと考えてみてください。
さまざまにアレンジされながらも、その文化は脈々と受け継がれているのです。
たとえば昔からあった「瓜文様」。瓜科の植物は蔓草が繁茂する様子から繁栄の象徴とされ、手回りの道具や絵にあしらわれてきたのです。
現代では半分にカットされたスイカがデザインされた図案があるとしたら、これが昔通りの「瓜文様」ということになります。
文様にはそれぞれの意味があります。
366日のそれぞれにふさわしい文様を数秘術などから割出し、解説を加えたのが本書です。
季節にそぐって文様化された動植物、有職文様、渡来文様など、令和の時代だからこその文様も含まれております。
一年を豊かでラッキーに過ごすエッセンスとしてご活用ください。
暦について・・・
我が国は長い間太陰暦(旧暦)に従っていました。
太陽暦を取り入れると発表されたのは1872年明治5年11月9日。
実際に施行されたのは、旧暦明治5年12月3日を明治6年1月1日として開始されました。
太陽暦が当たり前の令和の我々には、旧暦はもはや遠い存在ですが、一月ほども違うと季節もずれてくるというもの。
行事や季節感に違和感を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
旧暦の季節区分
春 1月~3月
夏 4月~6月
秋 7月~9月
冬 10月~12月
新暦の季節区分
春 2月~4月(5/4までが春)
夏 5月~7月(8/6までが夏)
秋 8月~10月(11/6までが秋)
冬 11月~1月(2/3までが冬)
本書は新暦に則り、改めて令和版の『誕生日別 和のお守り文様』として発表させていただきます。
青木 紫
<9月18日生まれのあなたの文様>
分銅繋ぎ文(ふんどうつなぎもん)
分銅といえば質量を測る秤の重りとして使用されるものです。
現在では円柱形のものが主流ですが、江戸時代に制作された分銅は蚕の形を象った円形の真ん中がくびれたタイプのものです。分銅つなぎ文様とは、幾何学的にアレンジした分銅を延々とつなげてゆく連続文様のことです。
さて、秤が測る物といえば金や銀。
そのことから分銅は「富の象徴」につながるのです。
そして連続文様にすることで富がどんどん舞い込むように、富がどんどん増えてゆくように、という金運アップのおめでたい文様として尊ばれました。
しかして江戸の庶民はおめでたいもの好きなうえに洒落た文様には目がなく、この分銅繋ぎ文様は男性の財布や手拭い、浴衣などに粋に染め抜かれました。
江戸時代には分銅を看板にした生業がありました。それは「両替商」。
戦国の世が終わり江戸時代になると商業が盛んになり、商人たちの時代がやってきました。
幕府の監督の元に貨幣が鋳造され、商業を促進するために貨幣を管理する商いが両替商です。
最初の頃は純粋に貨幣を両替してその手数料で生計をたてるというもの。もちろん贋金の問題や大量に貨幣を扱うことになりますから経済的にもしっかりとした商人がこれを任されました。
そして融資を必要としている者に貸し付けを行うようになり(貸金業)、預金を受けつけ手形を振り出すような現在の銀行に近いものに発展します。
やはりこうした商いは多くの富を生み、江戸の三大両替商といえば鴻池、三井、住友。
鴻池は酒造で為した財で両替商に転じました。
分銅繋ぎの文様だけを見るとそのような歴史があるとは考えもつきません。
やはり文様を昇華させる日本人の感性の賜物ですね。