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ウグイスの後頭部はやっぱり鶯色・・・

 ホ~、ホケキョ♪
私が育ったところは山の近くでしたので、春になるとよくウグイスの声を聞いたものです。
そして2月などの早春には、毎年こんなフレーズが聞こえてきます。
 ホ~~(ケホッ)ホケッッッ
 ケキョッ
なんだか咽ているような未熟な鳴き声・・・。
ちょっと残念な感じですが、練習をしないとあの妙なる鳴き声も完成しないわけですね。
爺やがよく耳を澄まして、
「おぅ、だんだんうまくなってきたな」
と感慨深く、日々その年の若いウグイスを毎年激励しておりました。

ウグイスは近く遠くにありて、野鳥ゆえになかなかその姿を拝めません。
声が山に響きわたるのがなんとも情趣があるもので、きっと可憐な小鳥が飛び遊んでいるのだという空想を禁じえないのです。

実は京都の清水寺がウグイスが身近に出現するスポットだというのをご存知でしょうか。
清水の舞台から山桜が山野を彩る景色を眺め、音羽の滝に下ってゆくその道では、降るようにウグイスの鳴き声が聞こえるのです。
そしてその声を頼りに視線を巡らすと、木立の間を飛び回るウグイスの姿をちらりと垣間見ることができるのです。
私が訪れた頃は4月の初め、まさに桜満開のよい頃合いでした。

「桜がきれいねぇ」
「空気も澄んでるなぁ」
カジュアルな服装にスニーカーの観光客の群れ。
中にはリュックを背負った面々も。
「あっ、あそこにウグイスがいるよ」
「ほんとだ」
「こっちで声がする」
「ホント、ウグイスだ」
声を頼りに、道に渋滞した人々はウグイスの声を頼りにその姿を上の木立に探しておりました。
それは、私も見てみたい!!
というのが、ミーハーで、人の性。
みなさんが、
「あっ、そこ」
というところに、私も無意識に海藻が踊らされるように素直に靡いてしまうのです。

しかしどんなに空を仰いでも、端っこい❕
やはり人に懐かぬ孤高の野鳥は姿さえ見るのも稀なのか、とちょっと凹みました。
そうして足元に目線を落とした私の視界に、緑色?お抹茶色のスズメサイズの小鳥が・・・。
まず、絶句です。

 これは、ウグイス?!
 何をしているのだろう、ウグイスならば・・・。

私が見る限り、一生懸命エサをついばんでおりました。
そして顔を見るや地味な印象。。。

色が似ているお抹茶色の可憐なメジロをご存知でしょうか?
目の周りが白くアイラインされた愛らしい小鳥です。
私はそのメグロをウグイスと勘違いしておりました。

早速グーグル先生❕ 
巻頭の画像こそ、ウグイスたる・・・。
然して、この足元で地味にゴソゴソしている小鳥こそがウグイスと知りました。
しかも、何かを必死に拾い、喰い喰い。
生存本能には優雅なさえずりよりも優先するものがあるようで・・・。
必死にエサをついばむ後頭部はやはり、鶯色でした。

うーん、方々。
ウグイスを近くで愛でるならば、灯台元クラシー、な出来事でございました。

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