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Wish upon a star☆ 【シロクマ文芸部】

みなさん、こんにちは。
今週のシロクマ文芸部のお題は・・・
「流れ星」から始まる創作です。

星に願いを・・・ 
  Wish upon a star

「流れ星・・・」
なんてロマンチックなんだろう。
満点の星空に星が流れた。
ここは地上の楽園とも呼ばれる南半球のタヒチ。
さらにタヒチ本島とは離れたボラボラ島。
まばらな地上の灯りのすぐ隣には漆黒の闇がある。
真の闇だ。

夜空には毎晩無数の星が流れるというけれど、私が暮らしている東京の夜は明るすぎて見えない。
それが自然に近い場所ならば見られると聞いてタヒチを新婚旅行に選んだ。
実際、星空以外にもこの島は私を癒してくれた。
用意していたお気に入りのCDは事前の情報とは違い、再生機が無かったから役に立たなかったけれど、地元ののんびりとしたラジオからの歌が心地よい。

サンセット。。。
まるで落ちる陽を追いかけるように乗ったクルーザーでは、潮風に身を任せ、シャンパンを飲みながら美しい夕暮れを眺めて、水平線に地球の果てを見た。
翌朝の水上コテージで眺めた朝焼けも、誰も見ていないからと浮輪で漂った朝浴も忘れない。
突然のスコールも数分で気まぐれに過ぎていった。
そして現れた虹・・・。

極めつけには、流れ星か。。。
「カネ、カネ、カネ!!」
・・・夫は空に向って唱えていた。
「流れ星が消える前に3回唱えないとでしょ。だから、これしかないって決めていたんだ」

私の夫はそんな人だ。
妙にロマンチストで、夕暮れを追いかけたクルーズを忘れない、と言い。
流れ星を前にして用意周到に俗物的な願いをかける。
私は、プッ、と笑ってしまった。

〈了〉

ほぼ、実話です。
だいぶ前の新婚旅行、夫はまたタヒチに行きたいそうですヨ♥

小牧部長、今週もよろしくお願い致します。

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