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経営で一番大事なプライシングのお話

巴創業塾の藻谷ゆかりです。「起業 X 事業承継 X 地方移住」についての執筆と講演活動をしております。その前までは21年間インド紅茶の輸入・ネット通販会社を経営しておりました。

起業して21年間小さな輸入商社・ネットショップを経営したのですが、経営で一番大事なのはプライシング(価格付け)です。もちろん最初にどんな財・サービスを提供するということがありますが、それでもプライシング次第で、売れるものも売れなかったりします。価格を安くしたからといって、売れなかったりもします。この感覚は、自分で何か売ったことがある経験がある人ならわかっていただけると思います。

現代の経営の神様、稲盛和夫氏も「経営で一番大切なのは価格」と著作でおっしゃっています。「お客様が満足して買ってくれて、会社も満足できる利益が出る価格をつけることが経営で大切」と。

私は5月に新潮社から出版した「衰退産業でも稼げます 代替わりイノベーションのセオリー」という本で、商店・旅館・農業・伝統産業という分野を事例研究しました。東洋経済オンラインに紹介されましたので、ぜひご覧ください。
https://toyokeizai.net/articles/-/284514

どの分野でもプライシングが重要ですが、特に農業という分野は価格形成が市場(マーケット)に任せられることが多く、それ故に厳しい状況になることが多いと思います。

「豊作貧乏」という言葉をご存じでしょうか?

キャベツとか白菜とか、豊作で品質は例年よりも良いのに、供給量が多くなるため価格は例年より下がってしまうということです。あまりにも豊作だと価格が極端に下がり、収穫の人件費や輸送料、段ボール代すらでないため、せっかくできた野菜を畑でトラクターでつぶすような事態になります。農家の方にとっては本当に心が痛むことだと思います。

私の本で事例として取り上げた京都の九条ねぎ生産会社「こと京都」では、京都の農家が、自ら東京のラーメン店に直接営業して注文を集めて、収穫したネギをカットして出荷するということで年商1億円を達成しました。

この事例が成功した理由は、市場を通さずに直接販売先を開拓したことに尽きます。価格を市場の需給で決まるのではなく、相対(あいたい)取引で決めたので、九条ねぎの農家が価格決定権を持ったわけです。

そしてちょっと極端な例かもしれませんが、茨城県産のレンコンを1本5000円で販売した野口憲一さんという方が、ご自身の経験を新潮新書で書かれています。日本の農家を巡る様々な問題が、一人称の物語として書かれています。マーケティングの観点からも非常に興味深い事例です。
https://www.amazon.co.jp/dp/4106108089?tag=founder-22&ie=UTF8

巴創業塾 主宰 藻谷ゆかり
#起業 #事業承継 #地方移住 #ビジネス

★6月27日に銀座蔦屋書店でトークイベントがあります。まだお席をご用意できますので、ぜひご参加ください!
https://store.tsite.jp/ginza/event/business/7231-1317250604.html

★6月下旬に長野県上田市NABOで4回のブックトークイベントがあります。
こちらもまだお席をご用意できますので、お近くの方はどうぞ!https://www.facebook.com/events/813277915724970/