十三機兵防衛圏 感想

各キャラについて思うことなどのまとめ。
2024年2月6日にぷらいべったーに投稿した物の再掲です。


〈十三人の主人公〉

鞍部十郎

 内向的で気弱で一見巻き込まれ型だけどなんか本人の記憶が怪しくて実は壮大な運命を背負ってるロボ物主人公CV下野で神名綾人を連想したのは私だけではないはずだ。
 彼と「和泉十郎(今周)」の関係を一体どう理解すればいいのか。本人が自分は鞍部十郎だと言ってる以上はあくまで別人格なのは間違いないにしても、一応うっすら和泉の記憶や想いは残ってる(というかしっぽが掘り起こした?)という意味では連続した存在ではあるって感じかなあ。あれか、後継者みたいな。二代目パイロットみたいな? もっと単純に生まれ変わりと言ってもいいのかもだけど。ちょいちょい「和泉」への対抗心みたいなものが見え隠れするのが切ない。
 なんだかんだで薬師寺に改めて惚れてたらしいのはまあ、可愛い同級生が一つ屋根の下でなんか自分のこと好きっぽい態度醸しながら世話焼いてくれればそりゃうっかり好きにもなるかぁ……とは思う。現実的すぎてアレだが。でもそうやって気を持たせといていざ告白しようとしたら貴方は違う!っつって離れていかれるとかマジ気の毒。そこから追う側と追われる側が完全に逆転してたのは面白がってる場合じゃないけどちょっと面白かった。普段はあんなに頼りないのに、咄嗟に薬師寺を庇って銃の前に出ることができるこいつはいい男だよ。
 最終戦ではすっかり肝座って頼りがいある戦士っぷりを見せてくれた辺り、表面上の性格と偽記憶を被せられてただけで本質は和泉十郎からそんなに変わってないのかもしれない。

冬坂五百里

 「一目惚れした彼のことを知りたい」の一点突破で最初から最後まで走り抜けたダブルセンターの片割れ。いや冬坂五百里という存在を取り巻く問題はかなり複雑なんだけど彼女自身の心の動きとしてはほんとほぼそれだけだからね。恋する女子高生マジ無敵。
 初っ端から食パン咥えて走ってぶつかったイケメンに一目惚れとかいう一周回って絶滅寸前種の導入から始まり、自分とは正反対系美人の恋敵(実際は違うけど)の登場、変な不良に言い寄られてピンチの所を助けられる……少女漫画のフォーマットを押さえすぎてて逆に新しい。裏事情を思えば関ヶ原がタイミングよく現れたのは推定本物の森村千尋を探ってたからなのかもしれんが、冬坂視点だともうとにかく運命の彼なんだよねぇ。だとしてもぶっちゃけ関ヶ原がカタギじゃないのはある意味事実ではあるので、いくら運命を感じたからといってそれだけでそこまで命かけちゃっていいのか?とは端から見てる分には思ってしまうわけだが、まあそこも含めて恋に恋するごく普通の女子高生らしくはある。そしてこの思い込んだら一直線な所はある意味森村千尋の性質そのままと言えなくもないかもしれない。
 結果的にとはいえ本来の予定と同じく鞍部(和泉)と同級生やっててなんだかんだで仲良くしてた辺り、それ以上進展しなかったとはいえ元々人としての相性がいいんだろうなという気はする。進展する前に冬坂は関ヶ原に出会ってしまったし鞍部の元には薬師寺がやってきた、でももし彼らが本当に普通の同級生で何も事件が起きない世界に生まれていれば、ゆっくりそれ以上の関係になっていたのかもしれない、それもまた無限の可能性。

網口愁

 鞍部とあそこまで仲良くなった経緯が割と気になってたりする。きっかけはレンタルビデオだったんだろうし鞍部側からは芝の誘導もあっただろうけど、なんだかんだで網口の方も鞍部のこと気に入ってたっぽいし。まあやっぱ夢倶楽部のよしみってのがデカいんだろうか。なんかこの二人の友達関係もほのぼのしてて好きなのでもっと平時の絡み見たかったな。
 同じ場面なのに鞍部編と網口編で微妙に光景が違う(芝の存在を抜きにしても)のは、実際は仮想現実だからお互いに見え方が違ってるってことでいいんだろうか。
 井田は元々優等生だった所から因幡の好みに合わせるために高校デビューしたってことだったけど、網口が根っから不良っぽいというかドライなのは……やっぱ家庭環境のせいなんだろうか……。余る程の金だけ渡されて放任されてる感じが端々から伝わってきてしんどい。井田も預けるならもうちょっとまともな親の所に預けてやれよ。いや最初はまともだったけど両親の離婚だか死別だかでああなったんだろうか。鷹宮に惹かれたのもこの不良気味な思考土台あってのことなわけだし、井田本人も言ってたように育った環境が違うと在り方もかなり違ってくるといういい例だよね。
 関係ないけどNGシーンの近未来バイクと屋根上から降り立つ網口には素で吹いた。

薬師寺恵

 ある意味一番怖い女。やってることは「暗躍」としか言い様のない所業なのに、本人の性格がどっちかというと天然ボケ寄りなのでどうにも「いやいや、……いやいやいや」と言いたくなる。ともすれば悪事に手を染めてると言ってもいいし本人は真剣に悩みながらやってるのもわかるんだけどどうにもこう……抜けてるというか……。
 彼女が「鞍部十郎」に向けてる想いが何なのかを考え始めると結構複雑な心境になったりする。結局彼の中に微かに残る和泉十郎の要素を見てるだけでそれは鞍部十郎という人格が好きなわけではないんじゃないか、人格は変わってもあくまで同じ十郎として見ているのか、とか色々。鞍部の薬師寺への想いと合わせてもうちょっと「鞍部十郎」と薬師寺恵のやり取りを丁寧に見せてほしかった感はどうしてもある。ただまあ、鞍部を拒絶したのは鞍部自身がどうこうというよりは、しっぽに騙されてたことやその指示のもと自分のしてきたことにショック受けたからなんだろうとも思う。鞍部を和泉に戻そうとしてるのは自分のエゴだとは元々気付いてたわけだし。だから、しっぽがちゃんと自分に向き合ってくれてたことを理解してその辺の気持ちの整理を付けたことで、現在の鞍部という存在を受け入れられたという所かなあ。上でも言ったように鞍部は本質的な所は和泉と連続した存在なのかなというのも合わせて考えると。
 ところで各種グラフィック見てると適合者達の中ではユキちゃんや玉緒さんと並んで明らかに胸がデカ(ここで記述が途切れている)

比治山隆俊

 要するに美人にめっちゃ弱いんですね? あんな硬派そうな雰囲気出しといて女の子と仲良くなりたい欲がまるで隠せていない。でも沖野に飼われてることをなんだかんだで楽しんでそうな辺り本質的にはMなのかもしれない。
 本人は概ね焼きそばパンか沖野のことしか考えてないどシンプルな奴なのに絡む相手がよりによって沖野なせいでルート開放が遅れてる人。
 比治山編ラストの発言から沖野が好きであることを認めたもんだと思ってたけど……エピローグで否定してたのは本気なのか玉緒さんの手前誤魔化したのか判断がつかない……。五年の葛藤の結論としては沖野が男であることについて「男を好きになるはずない」なのか「性別なんて関係ない」なのかどっちなんだ。沖野が変にアプローチしてくる割に玉緒さんとの仲を混ぜ返したりしてくるせいで余計に話がややこしくなっている。いやまあ玉緒さんには全くその気なさそうだが。そもそも比治山自身玉緒さんとは元々知り合いだったのに桐子さんに一目惚れした時点で玉緒さんのことはマジでそういう目では見てないんだろうとも思うが。

鷹宮由貴

 可愛い。チョロすぎて可愛い。ツンデレすぎて可愛い。「後ろに乗せるのか?」がクソ可愛い。
 悪ぶってるけどつい本気で東雲の世話焼いちゃったりしてる辺り、元々は優しくて面倒見いい子なんだと思う。そりゃオリジナルはお母さんなわけだしね……。多分親父がちょっとアレなせいで荒れてただけで育ちが違えば普通の子だったんじゃないだろうか。この辺は網口に通じるものがあるのかもしれない。
 でもそこを加味してもやっぱり網口に対してはあっさり絆されすぎだろとちょっと心配になる。いやだって鷹宮編って完全になっちゃんがヒロインだったからさ……。改めて見返してみても網口の出番少なすぎて笑った。ユキちゃんマジなっちゃんのヒーロー。うるせえそんなユキちゃんが網口編終盤でヒロインムーヴしてるのがいいんだろうがよ!!!(セルフ反論)
 飛行支援型の第四世代機なのに運用方法がほぼ第一世代になりがちなのはアグレッシブすぎて笑った。私の崩壊編では完全に網口がヒーラーと化してて、敵陣に突撃するユキちゃんにせっせとシールドリペアを飛ばしていたのであった。

関ヶ原瑛

 ぶっきらぼうクーデレ一匹狼みたいな顔しといて実はただの概念シスコンなの無限に笑える。諒子さん絡んだ時だけめちゃくちゃ子供っぽいぞこいつ。あんなに大事にしてて正直最初の頃の行動原理ほぼ諒子さんじゃんってレベルなのに、あくまで恋愛感情ではなく家族的な存在とか言われたらそりゃ要するに極度のシスコンみたいなもんかって理解するしかないじゃんかよ。
 そのくせ最終戦の頃にはしれっと冬坂のこと名前呼びしてたりしてこいつはこいつで割とチョロいかもしれない。いや勿論あそこに至るまで色々あったわけではあるんだが……。
 AIのミウラと仲良くしてたり和泉のこと頼れる奴って思ったりしてた辺り、本当は情に篤いというか、あんな戦いがなければ普通の少年だったんだろうなとは思う。というか井田や郷登への突っかかり方が完全に姉ちゃん取られたくないクソガキだし。それならそりゃ……同年代の可愛い女子にあんなに熱心にアプローチかけられたらまあ付き合ってもいいかなっていう気にもなるかぁ……。
 あの告白シーンの「君を殺しに未来から来た殺人犯」っていうの、案外当たらずとも遠からずなのちょっと面白い(オリジナルの関係性&実際は違ったとはいえ関ヶ原編冒頭の状況的に)。

南奈津乃

 「私の気持ちが非常事態」が本作トップクラスの好き台詞です。オリジナルの三浦と南の大人の恋人関係にキュンキュンします。でもあの計画を推進してたのは可愛い顔して結構マッドだなとは正直思います。
 宇宙マニアだったのはやっぱオリジナルの影響なんだろうか。ある意味一番ぶっ飛んだ思考してるし一番ぶっ飛んだノリのルートだけど、実はヒロイン力トップは彼女なんじゃなかろうかと思ったりもする。何かとピンチに陥っては周りに助けられるからだろうか。あと三浦視点だとベタなボーイミーツガールのヒロインポジだからってのもあるかも。落ちもの系ヒロイン。そして鷹宮編でもヒロイン。幼馴染かつ攫われ系ヒロイン。
 どのタイミングで命令権が南に移ったんだって思ってたけどあれか、426に撃たれた時でいいんだろうか。改めて読み返すと最初に撃たれたのは南だったんだな。
 何気に緒方と幼馴染要素強いのも実は好きだったり。あの別惑星の二人がどんな関係なのか地味にずっと気になっている。

三浦慶太郎

 遺伝子に南奈津乃への愛が刻まれてるとしか思えない。セクター4に移ってきた時点で既に惚れてるって早ない?そんなに好みドストライクだったん?とか思ったけどオリジナルも一周前もあれとなったらもうそういうことでしょそれなら納得だよ。
 南視点だと三浦くんは自分の冒険にうっかり巻き込んだから世話焼かないといけない相手なわけだけど、三浦視点だと奈津乃さんは突然降ってきて自分を非日常に誘う謎の少女なわけで……うーんボーイミーツガール……。
 ごちそうだ!って感動して急いで手洗って戻ってきてちょこんと正座してそわそわ待ってるの超可愛い。いやまあ戦時下での食生活を想像すればセクター4でのご飯はそりゃものすごい贅沢だろうなと思えばあんま笑ってもいられないんだが。
 開始直後に「?????」とさせられた主人公部門個人的ナンバーワン。あれで一気に世界観の底知れなさを感じられた気がする。そして恋人を呼び捨てにする三浦慶太郎からしか得られない栄養素がある。でも戦時中の日本にロマン感じて生まれ変わりたがってるのは人畜無害そうな顔して結構サイコだなとは正直思います。

如月兎美

 多分主人公勢トップのメンタル強者。なんかもうほんとに切り替えの早さがすごいし現実的な問題を注視して常に現状の打開策を考えてすぐ行動に移すし、令和の普通の女子高生がどう育ったらあんな勇者みたいな子になるんだ。偶然のイニシアチブとは言え沖野を手玉に取ってる(語弊)数少ない人物であるのも何気にすごい。
 でもそんな強い子が変わり果てた自宅に涙したりドロイドに怯えて緒方の背に隠れたりするのがな、やっぱり年相応の女の子なんだなとわかってこう言っちゃなんだが可愛いんだ。そりゃ緒方も守ってやらなきゃって思うよな。
 あのホームの会話の時の様子見る感じ、なんだかんだで遭難中一緒に過ごす中で緒方に信頼寄せるようになってたんだなと思う。鷹宮ほどじゃないけどこの子もなかなかのツンデレよな。ほんとに因幡深雪と同じ遺伝子か?

緒方稔二

 絵に描いたような道端のおばあさん助ける系ヤンキー。短気だけど気遣いできる奴。甘い物苦手とか言って女性陣に食料あげてた時点で嘘だと気付いたしこんな見え見えのあざとさにまんまと惚れたよ私は。自ルートは自ルートで最初は自分というより如月を助けたいって点で必死になってたり、せっかく鍵を見つけたのに南が危険に晒されるかもと言われて躊躇したり、もうとにかくひたすらいい奴。ええ、当方の最推しです。
 彼が如月に惚れたのは、遭難中の気丈さにぐっときたのと行動力の獣すぎてほっとけないってなったんだろうなと。吊り橋効果が皆無とは思わないけど、このカプは比較的描写に恵まれてた方だったな。
 屋上に干してたハンカチは如月からの借り物だとずっと思ってたんだけど……南ルートで黒服に伸された後に出現してるってことはあの後介法してもらったのか?とか思ったけどそっから鷹宮ルートまでまあまあ時間空いてるんだよな。【再掲時追記:単なるギャップ表現で特に深い意味はなかったらしい】
 結局アクトー団遭遇編はアレなんだったんだって思ってたんだが……ええと怪獣呼び出し(=生成)の命令権が元々緒方にあって、機兵はその自動工場のラインに割り込んで造ってるわけだからその割り込みプログラムを撃ち込んだってこと……か?
 あとあそこで緒方がカプセルって口走ったのも沖野が真実に辿り着くヒントになったってことかね。自分の脳内をグルグルする中で仮想現実の外側を垣間見てたんだろうか。

東雲諒子

 何ひとつ解決してねぇ!!! 緒方編よりよっぽどループ物やってる気分になった。しかも最終的に辿り着いたのは別にループの外ではないというかループで解決しなければならない事項ごと全てを破壊して更地に降り立ったというか……。
 惨事の引き金を引いたのは今も昔も愛に狂った東雲諒子、だけどその大元の原因となったのはどっちにしても井田鉄也なわけで……せめて今周だけでもどうせ惚れるなら和泉にしときゃよかったのに……。ただまああれはやっぱりオリジナルの情念に引きずられてたのかな……。
 作劇的にはとんだミスリード要員。彼女のストーリーが割と早めに解放されるの罠すぎるけどここで混乱させるのも計算の内なんだろうと思うと見事に掌の上で踊らされたよ。
 崩壊編の彼女は東雲編の惨状よりよっぽど落ち着いてるように見えてたけど、進めていくと鞍部を未だに「和泉くん」と呼んでそれに対して鞍部も特にツッコミ入れないシーンがぶっ込まれてぞっとしたりした。まあ実際一周回って情緒面では落ち着いてるんだろうけど、彼女の脳内が修復不可能にぶっ壊れてることには変わりないんだなって……。いやまあ鞍部の事情はちゃんと説明すれば理解してもらえるんだろうけど今そんな長話してる場合じゃないってことでスルーしただけかもだが。
 現実に出てからも鞍部が鞍部なことを思えば東雲や関ヶ原も失われた記憶は戻ってないんだろうけど、あそこに至るまでに何があったかはちゃんと教えてもらって受け入れた上でのあのエピローグなんだと思いたい。というかさすがに井田先生への想いには決着つけてるんですよね……?

郷登蓮也

 必然的に中盤以降まで来ないと詳しい人となりが見えてこないので、彼への印象は色んな意味で二転三転した。
 主人公達の組み分けから見て東雲とカップリングされるんだろうと思ってたらパイロットスキル秘めた慕情にえっそっち!!??となり、まあ東雲は井田先生一筋だもんな……とか思ってた所にもうあんたの彼女じゃない(# ゚Д゚)でいややっぱりそっち!!!???となり……あのエピローグは……元鞘に収まったということでいいんだろうか……。結局何がどうなってそうなったのか超気になる。というか最初付き合った理由も一度別れた理由も完全に不明のまま終わったんですがそれは。まあでも、(本編時点では森村が好きだったとはいえ)諸々の言動見てるとなんだかんだでずっと東雲のこと気にかけてはいるんだよな。
 名実ともに適合者達のまとめ役だし作中では千尋含む大人チームとの絡みの方が多いしで歳の割に異常に大人びてるけど、沢渡のモーションをかわせなかったり、森村への恋心のせいでバイアスかかってたり、最終的には感情100%で千尋に助けを求めたりと、妙な所で人間臭い未熟さが見え隠れする人。


サブキャラクター

沖野司

 十三人の主人公の中には入ってないけど実質メインキャラの一角。というか比治山のヒロイン……と言いたい所だけど比較的早い時期から技術面でめちゃくちゃ貢献してたり他ルートにもちょくちょく顔出ししてたりそもそも二周前では和泉と森村の友人だったり(一周前は森村と面識ないって言ってたからもしかすると二周前も侵攻で周り全滅してから出会ったのかもしれんが)となんだかんだで出番と役割が多いからやっぱりメインの一人ってイメージが強い。
 ややサイコっ気のある天才研究者でイイ性格してるけど、戦いには真剣に臨むしいざという時には自分を犠牲に誰かを助ける意気もあるギャップが素敵なキャラ。
 恋愛描写が雑……ゲフンゲフンだいぶデフォルメされてる本作においては、沖野が比治山に絆されていく過程は比較的丁寧に書かれてた気がする。まあ比治山ルート自体が八割方比治山と沖野のやり取りだけで構成されてたからというのもあるが。比治山君の反応が面白くてからかってる内に思いがけずその人となりを好ましく感じてしまったんだろう。あとはAIヒジヤマへの情も多少は乗ってたのかな。オリジナル沖野のことを考えても彼は生まれつき同性が恋愛対象なのかなと勝手に思ってる。女装は趣味なんだかなんなんだかよくわからんけど。いやまあ最初は純粋に身を隠すためだったんだろうがセクター4に転移して以降は比治山をからかうためにやってる感もだいぶあるよね。
 遺伝子的には森村千尋の息子らしいけど、そう言われたら確かに冬坂とカラーリングが同じだし心なしか顔立ちも似ている。ところで個人的にはオリジナル沖野は本作一の美人だと思っている。

鞍部玉緒

 沖野とは逆に、適合者の一人なのにどうにもシナリオの割を食って影の薄い人。全部読み終えて設定おさらいするまで混乱しまくってたけど、要は今周の鞍部玉緒はあくまでセクター5で生まれ育った三浦のお隣さんであり、侵攻時に消えてしまった彼女ってことか。となるとマジでそんなに出番ないんだよな……。キャラデザはめちゃくちゃ好みなんだけどな……。
 というかどっちかと言えばAIタマオの方が印象強いっていうね。言うなれば鞍部十郎の本当の保護者はタマオだったってことだし。意志が強くて凛としててかっこいいよね一周前タマオ。少々暴力的だけど。そして今周の玉緒に記憶移植してた辺りに若干の闇を感じるけど。まあこっちも途中で消滅しちゃってるわけだが……。
 そしてもう一つの混乱ポイントとしてはセクター4の「玉緒おばあちゃん」も実際存在してたという点なんだよな……NPCだけど……タマオが転移してきた時に消滅したとかしれっと用語集に書かれてて戦慄した。エンディング後は復活してるよね……? だって南と仲良しだった鞍部玉緒はおばあちゃんの方なわけでしょ……? というかなんで彼女だけ本体と別でAIもいるの? 鞍部邸があるからそれに付随して? もしかして他のAI達もかつて実在してた人物がモデルになってたりする……?

和泉十郎(二周前)

 囚人番号426。如月ドロイド。相葉絵理花。しっぽ。芝久太。その正体は、二周前の和泉十郎。
 最初鞍部編前半やってた時から網口くんてば芝くんのこと無視しすぎじゃね?とは思ってたんだけど、他キャラ編であまりにも登場しない中そろそろ鞍部編再開するかと思い始めた時唐突に「ハッッあいつ鞍部のイマジナリーフレンド的なアレなのでは!!?」と気付いた。まあ直前で薬師寺編のしっぽの件見たから気付いたんだけど。いやもっと早く気付けって話ではあるけど。作品始めて最序盤に見せられるのが芝と鞍部のやり取りだというのが性格悪いよね(褒めてる)
 薬師寺への説明はファンタジー風にぼかしてはいるけど大体本当のこと言ってる辺りに根の真面目さが垣間見えて面白い。いや和泉の記憶云々については騙してたも同然ではあるので、目的のために手段を選ばない人なのには違いないけど。最初のループ後即座に切り替えてたことといい、適合者殺しの件といい、基本的に思い切りがよすぎるんだろうな。だからこそ一瞬の判断で次々器を乗り換えてここまで生き残ってきたわけで、結果的にはそれで世界が救われたんだからまあ偉大な人だよ……。

森村千尋(二周前)

 出てくるたびに「デっっっっっカ」となる。あの可愛らしい少女が数年経つとこんなせくしぃだいなまいとになると……へぇ……。
 序盤から妖し……怪しい雰囲気漂わせて各種回想でも(主に井田が)あいつは信頼できん奴やぞってミスリードしてきてたので悪女みたいに見えるけど、本当はもっと単純な人なんだろうなと思う。彼女の中にはきっと幼馴染の和泉十郎が好きなただの少女がずっと残ってて、でも世界を救わねばならない使命感を被って必死に戦ってその十郎すら手に掛けて、その末に心折れて今周の和泉を自分の和泉に上書きして世界ごと終わろうとしていた。井田が適当なこと言ったせいで和泉を殺すことになったのに、やろうとしてることはその井田と同じなんだよな。
 真面目に戦ってた時点の段階でも世界の真実を探るのに重要な2188年のデータを保身のために隠したり、やっぱりなんというか、どこか幼いままで歪んだ成長をしてしまった人だという印象。いやまあうっかりで色々やらかしたり保身に走ったりするのはオリジナルから受け継いでしまった性質と言えなくもないけど……。

井田鉄也

 だいたいこいつのせい。こんなはた迷惑なヤンデレと同じ遺伝子から網口みたいな好青年が生まれたとか信じたくない。いやまあ高校生時代の様子見る限りはまともっぽいのでやっぱり因幡を失ったことで諸々狂っちゃったんだろうけど……つまりあれか網口ももしユキちゃんを失ったらあんな感じになってたかもってことか……信じたくねぇ……(結局そこに戻る)
 もうやることなすことサイコなんだけど真面目に何が一番アカンって確証もないのに思い込みで和泉のこと仇扱いしてその思い込みをよりによって和泉といい仲だった森村に押し付けてるのがヤンデレ云々関係なく根本的な人間性としてアカン。改めていちから読むと、こいつ知的で冷静な大人でございと言わんばかりの佇まいしながらずっと適当なこと(自分に都合のいい出任せ)ばっか言ってんな。マジ申し訳ないけど東雲に撃ち飛ばされたシーンはぶっちゃけめちゃくちゃ痛快だった。まあ精神はその後もしぶとく生き残ってたわけだが。
 私ヤンデレは好きなんだけどこいつはなんか……なんか……アカンかったな。いや嫌いじゃないキャラとしては嫌いではない、けど人としてはほんとろくでもないと思う。

因幡深雪

 監視掻い潜って接触してきてんならもうちょっと手短に要点をまとめて話せと言いたい。
 彼女自身が好きなのは井田なわけでそれはまあいいんだが、ただなんかこう網口に対してかなり思わせぶりな物言いをしてるのはちょっといただけないとは思う。網口が因幡は好みじゃなかった(語弊)から何事もなく済んでるだけで相手によっては色々誤解されてもおかしくないぞ。
 それはいいとは言ったがでも井田はやめといたほうがいいんじゃねと言いたいのが正直な所だったりする……。いやだってあいつ相当なロクデナシ……いやまあロクデナシになったのも愛故と言えばそうなんだが……。まあ君達が幸せならそれでいいよ……これからはちゃんと手綱握っててくれそうだし……セクター修復終わったら思う存分司令船で蜜月でも過ごせばいいんじゃないかな……。
 時系列がめちゃくちゃ前後してたので混乱してたんだけど、流れとしては事故で機兵転送→今周如月のIDで交信復活→テレビに紛れて網口に接触→和泉と協力関係に、ってことか。自分のボディ奪った相手なのによく信じたな。まあそういう冷静さとか頭の回転とかがやっぱり「如月兎美」なんだな、ということか。

沢渡美和子

 本作における「管理されているAI」の代表というか象徴みたいなキャラ。
 本当の人間ではない作りものであっても、喜怒哀楽があり、物を食べて美味しいと感じ、恋をし、他者と友情を結び、誰かを救おうとする。彼らもまた「生きて」いるのだということをあの土壇場で千尋に理解させたのは間違いなく彼女であるという点でその功績はめちゃくちゃ大きい。
 緒方との幼馴染関係も結構好きだったりする。恋愛にはならないけどお互い絶対的信頼を置いて大切にしてるのいいよね。

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