【映画】「来る」控えめに言って最の高!軽薄に、盛大に褒め称えたい!
「下妻物語」「嫌われ松子の一生」「告白」で悪ふざけギリギリの傑作をぶっ放してきた中島哲也監督の最新作。ホラー映画は正直大の苦手ですが、最近良作続きで「ホラーこそ映画館で観るべし!」と思い直したので思い切って行ってきました。
結果、最高!最高すぎてめでたい!こんな妻夫木くんが、こんな小松菜奈が、こんな岡田くんが見たかった!松たか子には王座を、まさかの柴田理恵様には何かとてもいいものをあげてほしい。
特に妻夫木くんのクズ男ぶりには目を見張るものがある。親戚同士が嫌味を言い合う田舎の法事での無能ぶり、表面上だけの友人達に祝われて大喜びの結婚式、娘の手術中に子育てブログを更新する勘違いイクメン、その全てを鮮やかに演じきってくれる。イライラする、あぁイライラする!と思っていたら、「来る」べき“あいつ”もそれが大好物のようで、容赦なく来てくれる。
そこから始まる負の連鎖、現代の“良き”人間関係にある違和感、心に育つ闇。そういう嫌〜な感じを煮詰めて煮詰めて「もう勘弁して!」と叫びたくなるようなカオスを爆発させる、クライマックスの「祓い」の大団円。ワイワイ観光気分のおばはん霊能者軍団、覇気のないおじい達の宮司チーム、集結する国家権力、その全てを統率する日本最強の霊媒師、松たか子。とにかく今までの無茶苦茶の全てをここに結集させて、観る側のテンションをマックスに持っていく監督の手腕が本当に素晴らしい。
現代の悪意とは、ショッキングピンクでペラペラのプラスチック製なのかもしれない。そんなことをに思った。重みもない、薄っぺらい分、鋭く尖ったかけらで人を切り刻む。
つじつまとか理屈とか、この映画で大事なのはそこじゃない。抜群のテンポで見たいものを次々見せてくれる爽快感と、とても鮮やかな気分の悪さ。シンクロできたら、最高に素晴らしい世界が見られます。
©︎2018「来る」製作委員会
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