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消費ではなく、モノと共に生きる選び。ーケアする、修理する、愛し続ける。ー
モノを選ぶときの視点:ケアと修理を考える
最近、長く使えるものを選ぶことが私の中でより重要になってきた。単なるコストパフォーマンスの視点ではなく、「モノとどう向き合うか?」という考え方そのものが深まっている気がする。
買うときに「これは長く愛せるものか?」「手をかけながら育てていけるものか?」と考えるようになり、結果的に選ぶモノも変わってきた。それはある意味で私の消費の仕方に対する哲学が明確になってきたのかもしれない。
例えばバッグのように長く使う前提で選ぶアイテムは、そのメンテナンスや経年変化を見越して考えるようになっている。
LOEWEのパズルバッグ:育てる楽しみ
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LOEWEのバッグを購入したのは、私もそろそろ長く愛せるバッグが欲しいと思っていたから。そのうえでLOEWEというブランドを選んだ理由は、伝統的なクラフトマンシップを大切にしながらも、ジョナサン・アンダーソンによる遊び心のあるデザインが加わり、唯一無二の魅力があると感じていたからである。
そんなときに折り紙から着想を得たこのデザインに出会い、パズルバッグの持つ独特の構造に惹かれ、購入を決めた。
このバッグは折り紙のような構造を持ち、使うほどに革が馴染み、柔らかくしなやかな風合いに変わっていくのが魅力である。
またLOEWEのレザーバッグであれば、クリームでレザーのケアをしながら使うことで長く愛用できる。まるで私たちが肌の手入れをするように、保湿をしてあげることで革もより美しく育っていくのである。
天然素材だからこそ乾燥すればひび割れのリスクがあるが、適切なケアをすればしなやかさを保ち続ける。そうやって手をかけることで、風合いが増し、使うたびに愛着が深まっていくのかもしれない。
だから私は、物欲が湧いたときにこのバッグをケアするようにしている。
このバッグくらいお手入れをして長く使えるのか、自問するために。
(すると不思議と物欲がスッと消えることがある。笑)
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そんな習慣ができたことで、より一層愛着が深まっている。長く使うことで味わいが増し、経年変化が楽しめるから。
万が一傷がついたり劣化しても、LOEWEであれば修理に出すことでまた新たな表情を見せてくれる。そういう「育てていけるもの」だからこそ、長く愛用したいと思える。
Maison Margielaの5ACシルバーバッグ:劣化すら楽しむ
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Maison Margielaは、既成概念を問う精神があるからこそ惹かれてきたブランドのひとつ。そんなマルジェラの哲学に加え、ジョン・ガリアーノの独特な表現力が融合した昨今のマルジェラはとても好きだった。(ガリアーノ退任寂しい…。)
しかしこのバッグを購入するまで、実はかなり悩んだ。シルバー加工特有の繊細さゆえに劣化が激しそうだったから。使っていくうちに擦れが生じ、シルバーの表面が摩耗して剥げることはきっと避けられない…
でもそれも含めて「どう向き合うか?」と考えたとき、私は「剥げてきたらラメをつける」という選択肢を思いついた。完全に元通りにするのではなく、経年変化を自分なりの解釈でアレンジすることで、このバッグがもっと好きになれるのではと思ったのである。
そして、ラメを加えるというアイデアが浮かんだとき、マルジェラの哲学にもぴったりだと思った。完成された美しさよりも、不完全さや変化を加えていくことで、このバッグはもっと素敵になるかもしれないと感じた。
だからこそ、意を決して購入することにした。
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長く使うための哲学
コート:お手入れ次第で寿命が変わる
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私は裏地のないコートを選ぶことが多い。でもウール100%で滑らかさがありながら毛玉にならないものを選ぶことで、結果的に7年ほど着続けているコートがある。それがこのハミルトン生地のコート。
裏地がないことで軽やかに着られるし、通気性の良さも長持ちするポイントになる。
こうした視点で選んだ服は、お手入れをしながら長く愛用できる。私は無印の洋服ブラシを使って、コートのホコリや毛玉を定期的に掃き落としている。毛にはコシのある豚毛が使われており、ブラッシングすることで生地の風合いを保ち、長く着続けることができるのである。
そしてこのお手入れしている時間もまた、愛おしかったりする。
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モノはただの消費財ではなく、自分の手をかけることで育てていく存在になり得る。修理できるもの、ケアしながら使えるもの、そして変化を受け入れて新しい価値を見出せるもの。
そうした視点でモノを選ぶことで、消費のあり方が変わり、より愛着の湧くアイテムだけが手元に残るのではないかと思う。
「これはずっと使いたい」と思うモノこそ、どう手をかけ、どう向き合うか。その視点を持つことで、ファッションに対する考え方もまた、一層深まっていく。
モノとの関係は、一度決めたら終わりではなく日々の生活の中で変化し続けるもの。これからも、その変化を楽しみながら自分なりの答えを探し続けていきたい。
私なりの「問い」はつづく。
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