ワールドトリガー26巻考察【A級評価の存在意義とは何か?】
こんにちは、雨夏ユカリです。
ワールドトリガー26巻が滅茶苦茶面白かったので、感想を書いていくのですが、今回のテーマは
「A級評価の存在意義は何か?」
です。
閉鎖環境試験が始まってから、A級評価がなんのために存在しているのかずっと疑問でした。
今回で一応仮説のようなものができたので、それを書いていこうと思います。
A級評価は個人の能力を測るものではない
これは多くの人が思ったことだと思うのですが、「A級評価」というシステムは、個人の能力を測るのにまるで適していません。
それには以下の理由があると思っています。
元々の好き嫌いに大きく影響される
明確な評価基準が存在せず、「好み」しかわからない
感情を動かすストーリーが注目される
順番に解説していきますね。
理由1.元々の好き嫌いに大きく影響される
まず第一に、A級隊員個人の「元々の好き嫌い」に大きく影響されます。
つまり、元々好きな隊員にはよい評価を与えたくなるし、好きじゃない隊員には無関心になりがちだという事です
例えば、それこそ烏丸が評価される側だったら、ファンの子たちは良い評価を付けまくるでしょう。
元々好かれている人が大きく有利になるシステムであり、「行動の評価」よりも「好感度」がモノを言うでしょう。
元々好かれやすい人間が、行動にあまり関係なく評価をもらいやすいシステムなんですよね。陰キャには辛いシステムです。
理由2.明確な評価基準が存在せず、「好み」しかわからない
続いての理由は、評価基準が存在しないことです。
簡単に言えば、「こういう人を評価して」という基準がないことで、各隊員の好みの問題になってしまいます。
それこそ、「太刀川さんがこの試験で点数を取れている気がしない」に対する共感としてポイントがもらえたりしてますよね。
こんな感じで、ポイントがもらえるかは「その行動が有益か」より、「いいねと思えるか」になっており、とてもSNS的なんですよね。
理由3.感情を動かすストーリーだけ注目される
最後の理由として、「感情を動かすストーリーだけが注目される」というものがあります。
これはすなわち、「おぉ!」と思ったことが注目されがちで、「静かだけど良いこと」が注目されにくいという事です。
例えば、今回照屋ちゃんに評価が集まったのは、水上先輩が「トラブルを起こしたから」ですよね。
でも、トラブルが起きてもめるより、トラブルが全く起きない方がスムーズに事が運ぶはずです。
分かりやすい例だと、不良がネコを助けたらすごく評価されるけど、普段から優等生な人がネコを助けても「ふーん」で終わってしまう感覚です。
つまり、「トラブルを作ったうえで劇的に解決する」方が、「トラブルなくスムーズに解決する」より評価される矛盾があるという事です。
A級評価は「評価として成立していない」
これらを総合して考えると、A級評価は評価として成立していません。
それこそ、もし仮に、仕事で「上司の好みだけで自分の評価が変わる」状況だったらどうでしょう?
滅茶苦茶嫌じゃないですか?
つまり、A級評価は「能力の評価」以外の目的をもって存在しているんじゃないかな、と思うわけです。
A級評価で測ることができるのは何か?
では、結局、A級評価では何が測れるんでしょうか?
私は、以下の2つがA級評価で計測できるのでは? と思っています。
人気投票
ストーリーとしての出来栄え
順番に解説していきますね。
人気投票
一つ目の計測できることとして、「どの隊員がA級からの人気が高いか」があります。
つまり、「元々A級の人から好かれている人」や、「今回映像を見ていく中で好かれた人」が分かるというわけです。
水上先輩の一件で照屋ちゃんの人気は上がったでしょうし、逆にA級評価が低い面々(菊地原とかカゲとか)は人気が無いと分かるでしょう
「注目度」も含め、「能力」ではなく「人気」を測るのであれば、今回のA級評価は結構使えるんじゃないかと思っています。
ストーリーとしての出来栄え
次が、「ストーリーとしての出来栄え」です。
要するに、「その映像を見てて“おおぉ!”と思えるかどうか」が、A級評価によってわかるという事です。
照屋ちゃんの一件だったら、「一連の流れを見たら多くの人が“いいね”と思う傾向がある」とか、水上先輩の秘密主義が「この行動は注目されるが賛否両論分かれる」みたいなことがわかるということです。
そして、評価が全くない部分は見ても特に面白みがないという事も分かるでしょう。
結局、A級評価は何が目的なのか?
ここまで見てきたうえで、A級評価が存在する目的について考察していきたいと思います。
私の中では、A級評価を行うシステムには4つほど狙いがあるんじゃないかなと思っています(上層部的にも、単一の狙いで時間とカネがかかるシステムを作るとは思えないので)
人気の子を見つけ出すことによるモチベアップやアイドルの発見
A級隊員に"推しの子"を作らせる
映像資料としての出来の評価
組織運営のためのフィードバックを得る
人気の子を見つけ出すことによるモチベアップやアイドルの発見
最初に考えられるのが、遠征時のA級隊員のモチベアップやアイドル隊員の発見です。
遠征は長期にわたるため、精神的な「癒し」となるような人気隊員が一緒についていくことにはメリットがあるのではないかと思います。
また、今後のボーダー運営において、「影響力のある隊員」を見極めておくことは有利になると考えられます。
今回の試験によって「今後の評価が変わる」と言われているのも、「影響力」が高い隊員の評価を高くして、ボーダーに在籍し続けてもらう狙いがあるんじゃないでしょうか。
“人気”が高い隊員を見極めておくことは、今後のボーダー活動におけるメリットになるんじゃないかと思います。
A級隊員に"推しの子"を作らせる
二つ目の目的として考えられるのが、「A級隊員の“推しの子”を作ること」です。
つまり、A級隊員に「今まで興味のなかった隊員への興味を持たせる」とか「好きだった隊員をさらに好きにさせる」という狙いがあるのではないかという事です。
今回の試験で「チーム外との交流」が推奨されていることからも、「評価を通して今まで交流のなかった隊員のことを知ってもらい、新しい交流を作る」という狙いがあるのではないかという事です。
「遠征試験中の出来事」という共通の話題があれば、話したことが無くても打ち解けやすくなるでしょう。
こうした「隊員間の交流を促進する」狙いがあるのではないかと考えられます。
映像資料としての出来の評価
三つ目の目的は、シンプルに「映像資料として出来がいいかどうか」を測るものではないかと思います。
つまり、今回の遠征試験時の録画を人が見た時に、「良いな」と思うか「つまらん」と思うかを、A級評価によって見ているのではないかという事です。
例えば、A級評価がたくさん押されているところは、多くの人が見ても「面白い」と思えるでしょうから、CMや学習資料に役に立つ可能性があるわけです。
学習資料を作るときにカットする部分なんかも、ある程度客観性を持って判断できるでしょう。
染井ちゃんが「今後の隊員のレベルアップの参考にするためにこの試験がある」と言っていましたので、今回の録画を学習資料として使う可能性もあるのではないでしょうか。
組織運営のためのフィードバックを得る
最後の目的は、上層部が「組織運営のためのフィードバックを得る」です。
つまり、「どういった組織運営の方針が反感を買いやすいか」とか、「どうしたら隊員の士気が上がるか」といったことを、上層部が「客観視」する目的、ということです。
人間は自分のことを客観視しづらいため、現在の運営方針に対するフィードバックを、上層部が自分たちで判断することは難しいです。
でも、他の人のチーム運営方針を評価することによって、いわば「人の振り見て我が振り直せ」を行いやすくなります。
上層部自身による「自分たちの組織運営がうまくいくかを、小規模の実験で確認する」という狙いはあるのではないでしょうか
まとめ
以上が、ワルトリ26巻を読んでの、「A級評価の存在意義」に対する私の考察です。
「主観的な評価になりがち」というのは芦原先生も繰り返し表現していて(今回の照屋の一件、太刀川がうまくいくとは思えないへの共感等)、ゆえにむしろ、その「主観的評価」が狙いだったらどうだろう?という方向性での考察です。
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ここまで読んでいただきありがとうございました。それでは皆様ごきげんよう。