欲がないわたし

わたしには欲がないとよくいわれる。

小さいころ、妹は買い物についてくるとお菓子を買えとよく泣きついてねだってきて困ったが、わたしは心配になるほどおとなしくついてきて、「欲しいものないの?」と聞いても「ない」と答えていたと母が言っていた。

それはこの歳になっても受け継がれていたようで、今でも「欲しいものは?」「行きたいところは?」「食べたいものは?」と聞かれても、大体「特にない」と答えるのが当たり前になっている。別に無理をしているわけではなく、本気でない。なにか例を出されると「あっそれいいじゃん」となるタイプなのである。なのでわたしはあまりお金を使わない人間である。

趣味には死ぬほど使うが、普段はあまり使わず、バイト代は貯金に回る。

そういう欲のなさに加え、わたしにはいわゆる「自分をもっとよくしたい」みたいな方面への欲が0である。

出世したいだとか、社会的地位を築きたいとか、自分を成長させたいだとか、考えたことが一切ない。よく言うと欲がない。悪く言うと向上心がない。

わたしはぽけーっと「まあ無難に生きていけたらいいや」くらいのことしか考えていない。

なのでいきなり就活で自分のやりたいことを見つけろとか言われても、20年かけても見つからなかったものは今さら見つからないのである。

無難に生きていくとは一番難しいことなのだろうな、わたしはこれから先生きていけるのだろうか。

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