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DQ3:広がった世界で

 今週は疲れた。といっても労働ではない。休日を最大限利用して、それなりに長い時間ドラクエ3を遊び続けていた。他にすべきことがないではないが、時間的に余裕を作るのが難しかった9月ごろまでと比べればずいぶん気の緩んだ休日を送れるようになった。そこへ来てのドラクエ3発売はまさに最高のタイミングだったといえる。
 日々なるべく前向きに生きていたいのはもちろんな話といえ、よく会う友人などもいなければ、自分から作らない限りは予定もない。たいていの場合はひとりだ。ふさぎ込むと言うには大袈裟でも、なんとなく気分の上がらない日というのは残念ながら存在する。そんな時、ローパワーでもちゃんと楽しめるのがゲームというやつの良いところだ。現実逃避? いいや違うね。藝術を堪能する時間さ。

 ポルトガで船を手に入れて近隣で情報をやアイテムを集めたら、集めた情報を一旦ムシして一路ランシールへ。きえさりそうを念のため2個購入したらエジンベアに向かい、かわきのつぼを入手してから今度は旅人の宿屋からジパングに寄るだけ寄って北上、ムオルを経由したのち浅瀬のほこらさいごのかぎを取得する。そうしたら再度ランシールへ飛んで今度は地球のへそに向かう。オーブとともに大地のよろいを回収したら改めてポルトガからテドンへと航路をとると、諸般の事情でテドンのオーブは一度諦めて、修行を兼ねて他の地域へと旅立つことにした。
 元々、現実の世界地図をベースにアリアハン大陸を追加してつくられたマップだ。ファミコン版やスーパーファミコン版でも、当時にしてみれば冒険の気分は十分に味わえていたことと思う。それがさらにHD-2Dになってみるとどうだろう、国ごとに建物の建築様式から建材の質感までちゃんと異なり、地域ごとの特色の違い、異国情緒が格段に増したではないか。冒険の気分や雰囲気みたいなものが、より濃厚になった。以前は他と明らかに環境の異なるイシスとジパング以外、どの国も町も同じグラフィックだったものが。また、ゲームの進行とともにタイトル画面に表示される背景の国が変わっていくのも、それまでの旅の思い出を感じられる心憎い演出ではないか。

 小さい頃、ドラクエに初めて触れた頃は『勇者』という存在に憧れていたように思う。どういった部分に、と具体的に言えるものでなく……何というか、中心的な存在感とか、ヒロイックな佇まいみたいなものに、たぶん。実際のところはそれほどのカリスマ性を備えるでもなく、リーダーシップよりはフォロワーシップを発揮する方が向いている性質だと自分では思っているので、勇者は他の人に任せた方が良さそうだ。
 あえてドラクエの職で言うなら次点はやっぱり賢者、イメージ的には大賢者カダル様みたいなキャラに惹かれるが、仮に自分で名乗るのに『賢き者』ってのも何だかなあと、その辺はマトリフ師匠の気持ちが分からないでもない。かといってそれほど神を信じてなければ商人でもなくもちろん盗賊でもなく、膂力や胆力が人より優れているわけでもないので、まあ遊び人のフリでもしながら常世の成り行きを眺めるくらいのことになりそうだ。

 本格的なオーブ探索に入る前に船で行ける地域をすべて周り、より広範囲でアイテムの回収、善良モンスターの保護などを行っていく。また新たに立ち寄った町や村では武器防具道具屋を欠かさずチェックして、より効率的な買い物の計画を立てる。といっても各地に落ちてる装備でだいたい何とかなるので実際に買ったものはかなり少ない。ゲーム中盤で店から買ったの、まほうのまえかけドラゴンシールドぐらいじゃないかな。続々と現れる強敵には難易度ふつう(バッチリ冒険)でもそれなりに苦戦はした。それでも海賊の家のちょい北西のヒミツの場所で拾ったバトルアックスが、旅の扉のほこら西の小島で拾ったドラゴンテイルが、グリンラッド近海のヒミツの場所で拾ったほのおのツメが、そしてバトルロードCランクの賞品でもらったドラゴンキラーが勝利をもたらしてくれたのだ。
 冒険を続けてオーブ集めも佳境にさしかかり、いよいよ最後のひとつを残すのみになった。強敵は確かに増えたがレベルアップもやや早まったため、不死鳥の復活を待たずしてネクロゴンドギガデインを連発している。こんな戦い方は初めて、というかこれまでが微妙な性能だった勇者に新たに特技や呪文が追加されて、かなり柔軟な立ち回りができるようになったと感じている。MPも多いし。

 もう少しの間、このドラゴンクエスト3というゲームにのめりこむのだろう。レーベの周りでくさりがまを買うために戦闘を繰り返したのも今は昔、すごろく場もモンスターメダルも無くなった代わり、多くの演出が追加されてストーリーに厚みが増し、特にオルテガの人物像をより緻密に描く今作はやはり新たな発見と感動をもたらしてくれる。後の『1&2』と合わせ、新たな解釈で示される勇者ロトの伝説に、まだまだ期待せずにはいられない。

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神月裕
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