しずかな映画がすきなひとへ
ハラハラドキドキ、胸を突き動かされるような
ドラマティックな展開はないけれど
くりかえす日々の中で起こる、
ちょっとした出来事や心のうごきを描く
しずかな物語が、わたしは、好きです。
そんな作品の共通点を考えてみると
主人公の毎日が淡々と描かれているところや
インテリアや色使い、音も含め
観ているとほっとするような、
安心できる空間の広がりを感じられるところなのかなと思います。
登場人物たちが、すべてを言葉にしないところも
想像する隙間があって、いいなぁと思うのです。
繰り返される日々でも
1日として同じことが起こらない
そんな些細な変化をとらえた作品が好きです。
いくつか映画を挙げてみると
洋画・邦画がごちゃまぜだけど
「かもめ食堂」や「めがね」、「マザーウォーター」
「ペンション・メッツァ」に「PATERSON」
「カモン・カモン」、「her/世界でひとつの彼女」
「PERFECT DAYS」も。
そして最近、また新しい作品に出会うことができました。
「丘の上の本屋さん(2021年)」というイタリアの映画です。
主人公はリベロという名前のおじいさん。
イタリアの美しい丘の上の街で、
古本屋をひとりで営んでいます。
ある日リベロはエシエンという少年と出会います。
少年は本を買うお金は持っていないけれど
本にとても興味があるようでした。
そんな少年にリベロは本を貸し出すようになります。
エシエンは好奇心旺盛でとても賢く
リベロが貸してくれる本を一生懸命読んでくるのです。
ふたりは本を通して友情を深めていきます。
リベロとエシエンの会話にこんなのがあります
わたしはここが大好きです。
大切な本は電子書籍ではなく
ちゃんと紙の本で読みたいと思うし
それはなぜかというと
自分にとってお守りのようなもので
本棚の目に止まるところへ置いておきたいから
迷った時、立ち止まった時に ふとその本を開いて
その度に、違った気づきがあるように思います。
だから、この台詞は
とってもしっくりくる言葉でした。
頭で理解することと、
自分なりに考えて、経験して、身体でわかっていくことは
違うのだ、ということ。
得た知識を、いいなと思った作品を、生身の人をわかることも
とっても時間がかかるなあ、と思うのです。
時間と共に、自分の考えも刻々と変化するので
2度と同じように物事を見ることはできないからです。
琴線に触れる作品に出会えることは
時空を超えて通じ合える友人を見つけるようなもの。
ゆっくり、じっくりと味わいたい。
人とも、たっぷり、じんわり、わかり合えたらいいなと思います。
本だけでなく、映画や音楽だって。
心が響くものに出会えた時は本当に嬉しい!
もっともっと探したくなるな、
それってとっても楽しい旅だな、と思えるのです。
そういう探求ができるくらいに、
心のエネルギーをいつも高めていたいな、と
これを書いていて思いました。
よく食べ、よく寝て、よく笑う
大事ですね。
久しぶりだけど、読んでくれてありがとう。
また書きますので、
よかったら、ふらりと読みにきてください。