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🌸1日1個の空缶【息子に教わった大切なこと】
そういえば息子の自転車のカゴにはいつも空き缶があった。
高校生ともなると、子供の日常など全部は
親が見えることもなくなってくる。
特にうちの息子は無口だ。
自転車のカゴに入っている空き缶は
コーヒーのときもあれば
炭酸飲料やペットボトルのお茶のときもある。
なんだかいろんなもの飲んでんなあ
そう思ったくらいで
あまり気にもとめていなかった。
久しぶりに息子と二人で出かけた時のこと
話をしていたら、
彼がふと道端に落ちていた空き缶を拾ったのだ。
あまりにも普通に
何気ない動作だったから
私はその瞬間、驚いて足を止めた。
「何してるの?」
「え?拾ってる」
彼はあっさりと答えた。
その時、彼の自転車のカゴが頭に浮かんだ。
私はずっと
空缶は息子が飲んだものだと思っていた。
でも実際は
帰り道に落ちている空き缶を拾い、
自転車のカゴに入れていたのだ。
「全部は無理だから1個だけね」
1日1個の空缶を拾う
それが彼の普通になっているという。
無意識の小さな行動
たぶん、カゴに沢山ペットボトルや空き缶が入っていたら
私もさすがに拾ってきた物と気づいただろう。
でもいつも1個だけだったから
全然わからなかった。
だから息子の行動を讃えたり、
それについて一緒に考えたりすることもなかった。
彼は何かを期待するわけでもなく、
ただ普通に持って帰ってこれる1個の空缶を拾っていた。
息子にとって誰かが捨てた空缶とかではなく
ただ目の前に落ちているものを拾い、
正しい場所に戻していた。
その無意識の行動がとても尊くて豊かで、わたしは改めて考えさせられた。
私たちの日常の中で、
ほんの少し目を向ければ簡単に手を差し伸べられることが多くある。
でもどうしても自分のことだけを考えがちだ。
誰かが捨てたものを自分が拾うなんて
自分軸で考えればそうなる。
でも、正しい場所に捨てるという行為そのものは
確かに難しいことではなく、簡単にできることだ。
息子は1日1個できることを無意識にやっていたのだ。
空き缶を1つ拾うことが、何を変えるんだろう?
そう思うかもしれないが
私はそこに
居心地のいいあたたかな未来を感じた。
空き缶がそこにないことで
何かが、誰かの未来が変わるかもしれない。
今私たちができること
それは当たり前のように小さなできることを積み重ねていくことだ。
1日に1個できることを
それは小さな行動でも、確かな力になる。
私も「1日1個」できることをやろう。
自分のために居心地のいい未来をつくるために。
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