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IQ1300のルチ将軍に会いに

爽やかな秋の日。あきる野市にある「深沢小さな美術館」をたずねました。造型作家である友永詔三氏の美術館です。1979年4月2日から1982年3月19日までNHK総合テレビで放送された人形劇『プリンプリン物語』の人形美術を担当したことで知られている方です。

駐車場から美術館へは森の小道

美術館までの道沿いに時々見かける赤いお帽子のおじいさん?たちは「ZIZI(じーじー)」という名前とのこと。赤い帽子を頼りに山道を登ります。

こんにちは~

小道の奥に進んでいくと、素敵な外装の美術館がありました。中に入ると、お出迎えしてくれたのは!

こんにちは!プリンプリン

1979年から始まった人形劇なので、世代じゃない人には分からないかもしれませんが「懐かしい」とか、そんなレベルじゃなくて、もうほんとに「会いたかったよ~。元気だった? 私はね、いろいろあったよ。聞いてくれる?」と話しかけたい衝動が。そして奥には……

反対側に展示されている人形も合わせてほぼ全員?

中でも一番目を引くのが、頭の異様に大きいルチ将軍!アクタ共和国の軍人政治家で同国の支配者。サルバドール・ダリの絵からヒントを得たかのような巨大な頭部が特徴だけど、美術館内に友永詔三氏のバイオグラフィーがあり、サルバドールダリに強い影響を受けたと書いてあったので納得です。

IQが1300あるらしい

この写真には映っていないのだけど、左奥に、ルチ将軍の頭をつっかえ棒で支える人がいる。ルチ将軍が頭を左右に振るたびに、その人はつっかえ棒を持って支えるために立ち回るのだけど、どうしても振り回されているようにしか見えない。最初から彼の存在が気になっていた私。友永詔三氏本人が美術館におられたので、話を伺うと、頭を支えるその人は、台本にはなく、面白がって作ったのだそう。センスが良すぎる。

かわいい!

モンキーもいました。いつもプリンプリンの傍らに居た超能力を持つサル。

うっきー!
花のアナウンサーと妹のイモのアナウンサー
天井近くの梁にも作品が

プリンプリン物語の人形以外にも、彫刻家としての彼の作品も多数展示されています。魚に足が生えているモチーフの作品が多かったです。「魚に足が生えていたらどうだろう」という少年期の思いから生まれたとか。ほんとに、人間って成長するたびに何か大切なものを忘れていってしまいます。そこをきちんと大切にしている人が芸術家さんなのかもしれません。

魚に足。しかも下駄。
りんごをどうぞ
こちらの魚くんたちは靴を履いています

美術館にはこれまた素敵なカフェが併設され、奥様の手作りのスイーツと紅茶やコーヒーがいただけます。

私たちは、美術館の近くのお休み処「松葉」さんで、ゆっくり食事しました。まるで親戚の家に来たような感じです。都会のカフェにはないものが、そこにしっかりとありました。

お母さんが拾ってきた栗の渋皮煮。
調味料は砂糖だけとのこと
渋くて甘くて、まるでチョコレートみたいでした
お母さんが採ってきた山菜と
お母さんの手打ちのうどん
お母さんの小料理付き

プリンプリン物語は、NHKで再々々?放送が始まったようです。深沢小さな美術館をたずねる人も増えるのでは?

冬場はとても寒いところなので、秋がおススメ。私が訪ねた時(10/27)は、これから紅葉という感じでした。今年の夏は暑かったので、紅葉の時期もずれているようです。美術館の周りはモミジが多かったので、紅葉したらきれいだと思います!

東京都は思えない静かな森の中で、忙しい日常で忘れてきた何かを思い出しに出かけてみたらどうでしょう。

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