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コミュニティスクールを成功させるために必要な風土づくりとキーパーソン

文章力養成コーチの松嶋です。コミュニティスクールの委員もしています。コミュニティスクールというのは学校運営や学校の課題に対して、学校運営協議会を通して、広く保護者や地域住民が参画できる仕組みをもつ学校のこと。学校の先生の働き方改革などもあり、この取り組みは一気に進んでいます。先日、その勉強会に行ってきました。

当日のチラシ

地域の風土により差がある学校協働事業

東京学芸大学の柴田准教授によると、全国的に見て、地域と学校の共同事業は「西高東低型」であるそうです。たとえば、京都などではもともと「学校は地域が支える」という文化が根付いており、わざわざ新たな制度を作らなくても、そうした風土があるとのことです。

実際、小金井市でも地域によって、地域と学校の関わり方に濃淡があります。もともと地域が学校を支えるという風土や土壌がある地域では、コミュニティスクールの取り組みがうまくいっている一方、学校と地域が完全に分業している地域では、なかなかうまくいかないこともあります。たとえば、学校行事のお手伝いを学校とPTAで全て行ってしまうと、地域の人々が参加しづらくなってしまうのです。

地域には「おせっかいなおじさんやおばさん」がいて、声をかければすぐに手伝ってくれる方も多くいます。しかし、そのような風土が根付いていない場合、地域側からのアプローチがしにくく、「こんなことを地域に頼んで良いのかな」と、学校やPTA側も躊躇してしまうことがあります。問題は、どれだけその風土作りを進められるかです。しかし、こうした風土作りは1年や2年でできるものではありません。それでも、遅すぎるということはなく、今からでも少しずつ取り組んでいく必要があります。

せっかく制度ができたので、声をかけやすくなった分、少しずつでも良いので取り組んでいけると良いと思います。たとえば、運動会の受付がPTAだけでは回らないという時に、コミュニティスクール委員に依頼することで、地域の理解や協力が得られやすくなります。そうした地域では、運動会の練習の音がうるさいという苦情も少なくなっていくそうです。

また、地域の見守り活動にシルバー人材が参加したり、児童・生徒が地域の防災訓練で学んだことを発表する機会を作り、その発表を聞いた大人たちが自分の家の防災を見直した、という好例も報告されています。

学校を地域に開放したら防犯にもなる

学校運営協議会は、あくまで学校のやりたいことが主体であるべきであり、地域の意見を学校に届ける場ではない、という話もありました。これは一昔前のコミュニティスクールの形です。しかし、このような経験を経ているコミュニティスクールは強いと感じます。なぜなら、「何がいけなかったのか」を実体験として学んでいるからです。

この過程を私はずっと見てきました。たとえば、当初は地域から「教室を開放してほしい」と要望が出た際、PTAからは反対の声が上がりました。理由として、不審者が地域の人に紛れて学校に入ってくるのではないか、という懸念があったのです。しかし、実際に教室を地域の人に自由に開放してみると、むしろ地域の人が出入りしている学校には不審者が入りにくいことがわかってきました。地域の人が日常的に出入りし、見守っている学校だという印象ができたからだと思います。

現在、こうした地域との関わりの場は主に学校に限られていますが、今後は公民館や児童館といった他の地域施設とも連携し、関係性を深めていきたいと考えています。すでに児童や生徒が通っている場所でもあり、放課後の子供たちの居場所づくりにも役立つのではないかと思います。学校が線を引かず、学校に来られない子供たちの居場所を公民館が提供することができるのではないかとも思いました。

ワークショップで見えてきた課題

後半のワークショップでは、地域課題がある中でどのようにコミュニティスクールを広めていくかを、5つのグループに分かれて話し合い、その結果をワールドカフェ形式で共有しました。「コミュニティスクールという制度自体があまり知られていないため、広報が重要だ」という意見や、「学ぶ場所や繋がる場所を作るべきだ」という意見が出ました。また、「こうした取り組みをしようとする人が地域でも限られてしまうため、入り口を広くする工夫が必要だ」という指摘もありました。そのためには、さまざまなサークルと関わったり、PTAと協力したり、コミュニティスクールの会議に多くの人に傍聴してもらうことが効果的だという意見も出されました。

さらに、現在は中高年が中心のコミュニティスクール委員会に若い人にも参加してもらい、参加して良かった点を広めたり、それらの成果を学校でも紹介したりすることで、より多くの人に関心を持ってもらうことが大切だという意見も出ました。

今回のワークショップでは、地域と学校が連携してコミュニティスクールを広めていくための様々な意見が出されました。特に「風土づくり」の重要性や、若い世代の参加、そして地域との繋がりを深めるための工夫が求められていることを強く感じました。

キーになる人間が必要

私は、コミュニティスクールを成功させるためには、学校と地域が共に手を取り合い、信頼関係を築くことが何よりも大切だと思います。地域の方々が「何かしたい」と思えるような場を作り、積極的に関与できる仕組みを整えることが、子どもたちにとって安心できる学校環境の構築につながるのではないでしょうか。

そのためには、学校と地域の連携を推進する「キーパーソン」の存在が不可欠だと思います。地域の中には、積極的に関わり、行動することで周囲を巻き込む力を持った方がいます。そうしたキーパーソンの有無が、地域と学校の連携において大きな差を生むのではないでしょうか。

私自身、これからも地域との繋がりを深め、周囲の人々を巻き込むキーパーソンになりたいと考えています。今までも一歩一歩積み上げてきましたが、これからもこうした取り組みを積み重ねることで、地域全体が子どもたちを支え合う温かい環境を作り上げていけるよう、努力していきたいと思います。

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