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失語症と言語と私の性分と

文章力養成コーチの松嶋です。私は失語症のある方の支援をする「意思疎通者」の資格を持っています。支援者養成コースに2年通い、かなり勉強をしました。残念ながら、私の住む市では、まだ派遣事業の体制が整っておらず、資格を取得して5年経ちましたが、1回も活動できていません。脳損傷者を支援するNPOの理事もしていたのですが、事情があって辞めてしまいました。

「家族が障害を持っているわけでもないのに、支援しているんですか?」

随分な質問ですが、本当によく聞かれます。福祉の世界では、当事者会を開いたり、啓発のイベントを開いたりしている人間は、障害に直結した人だらけなのです。

脳損傷で言えば、息子が失語症、父親が高次脳機能障害、そういう人たちが、社会に関わる方法を手探りで探しながら、当事者同士、当事者家族同士で、地域でこつこつ活動している。何もかも自力、手弁当。そういう世界なのです。でも最近、私のように、何の縁もない人間が支援者側に立ち上がる光景が増えてきました。

知ってしまった人として

「知ってしまったこと」に対してスルーできないことってあるじゃないですか。私は6年前、『知っといてぇや これが高次脳機能障害者やで』の編集を頼まれるまでは、高次脳機能障害も失語症も知りませんでした。そして、知れば知るほど、社会的認知度の低さ、ケアの少なさに憤りを感じましたものです。私の衝動はいつも、世の中の不条理です。

障害のある方の中には「そっとしておいて」とおっしゃる方もいます。でも、私は一人の人間として「あ、そうですか」とできない。無視できない。知らなかったことにできない。確かに自分勝手な気持ちかもしれないのですが、何かをしてあげたいと思うのです。自分にできる何かを。

NPO理事就任時代には、自分のスキルをフルにそこに費やしていました。組織として動いている時は、そこでの活動の中に自分の役割を見つけられたのですが、障害者支援に対して「個人」になった今、私にできることはなかなか見つけられないでいました。なんか、逃げたみたいになっている状態も心苦しい状態です。

今は、自分の仕事と重なる部分である「言語」の力を使い、意思疎通について、何か教材のようなものが作れないか、思案中です。職業柄、意思疎通支援のツールの中の「要点筆記」が得意だったので、ノウハウをまとめて本にしようかと思っています。

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