「よそ者」から始まる信頼の積み重ね
文章力養成コーチの松嶋です。14回の引っ越しを重ね、私は「故郷」や「地元」「幼馴染」といった概念からは遠い存在でした。新しい町に住み始めると、どの町でも、地域のお祭りやイベントではどこか「よそ者」感がつきまといます。特に、その土地の神社でお宮参りをしていないというのもあり、地元の人たちのようにお祭りにがっつり参加するには、ちょっとした距離感を感じていました。
さらに住んでいるマンションは、地元の方々が「建設反対」を唱えていた背景もあり、自治会にも積極的に入ることはできず、地域との接点は限られていました。それでも、子供会の世話人を引き受けたり、その代表を務めたり、青少年健全育成委員としての役割を果たす中で、徐々に地域との距離を縮めていきました。お祭りのお手伝いにも参加する機会が増え、ようやく自分も地域の一員として認められてきた感覚があります。
その過程で私が心がけてきたことは、何よりも「行動」で信頼を築くことです。例えば、「誰か〇〇持ってきて」と聞こえればすぐに動き、「机を並べる時間だ」と感じたら率先して行動する。そうして少しずつ「この人はすぐに動いてくれる人だ」と周りに認識してもらうことで、信頼が生まれていっらのだと実感しています。
この「行動で信頼を築く」という考え方は、転校を繰り返す中で、自然に身についた感もありますが、昔働いていた学習塾の経験から学んだものです。保護者会の準備をしているとき、先輩教師から「手を動かしていない人を見極めろ」と教わったことがあります。その時、私は自分が手を動かすだけでなく、周りの動きを観察するようになりました。全体のために努力を惜しまない人と、必要な時に動けない人の違いが見えてきたのです。
やはり、どんな世界でも「主体的に動ける人」は、いざという時に頼りになります。それは地域の仕事に限らず、バンド活動でも、ボランティア活動でも同じ。逆に、表面上は参加しているように見えても、実際に手を動かさない人は一定数居て、緊急時には足手まといになってしまうこともあります。そうした学びが、今の地域活動にも生かされていると感じます。
故郷や幼馴染がいないからこそ、新しい土地で信頼を築くために行動する。地域に溶け込むためには、まずは自分から動いてみることが大切だと改めて感じています。
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