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小話:文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業編
国内クリエイター創作支援プログラム/発表支援プログラム
文化庁が旗振り役となって、国内のクリエイターが育つように応援する事業、だと思ってます。選考とか共創とか色々条件があると思いますが、私は安野貴博さんと山根有紀也さんの共同の作品「別人電話ボックス」が見たくて、会場まで足を運んだ次第です。
この事業、入場無料でクリエイターの方々の作品が見れるので、そこも含めて、文化庁の支援なんだなぁ!と思いました。おそらく毎年開催していると思うので、ぜひ行かれた方がイイです!特に、新しいクリエイターを探している方!!ぜひ!
ということで、私が感動した作品をいくつか、ご紹介します✨どの作品も、本当にすごかったです!!
別人電話ボックス
実験東京(安野貴博さん+山根有紀也さん)
何人もの私の姿がモニターに映し出されて、その顔一つ一つは私の顔をベースにした全く別人の顔になる、というインスタレーションです。性別、国籍、年齢、全てバラバラでその映し出された自分を見ていて、なんだかとても不思議な感覚になりました。
そして、男性になった自分にやや抵抗がることも分かり、男の人に対する偏見があるのかもしれないなぁと、自分の感性を客観的にみることができた作品でもありました。
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Flours
深谷莉沙さん
とても懐かしさを感じたモノクロのアニメーションでした。モノクロという、色彩のない世界で描かれたファンタジーは、少し寂しいような怖いような、でも可愛らしい作画がそのダークな部分を隠しているような、そんな作品だと思いました。
きっと、彼女の絵はいずれ、町中にあふれるようになるなぁと思いました。
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鎖につながれた犬のダイナミクス
藤堂高行さん
犬の肢体を呈した自立型ロボットの、パフォーマンス展示でした。鎖でつながれた犬のロボットは、攻撃性があり、人に襲い掛かってきます。でも、鎖で繋がれているので、実際に襲うことはないのですが、その勢いや獰猛な様子はやっぱり怖いかったです。
おそらく、軍事用に使われることが想定されると思うのですが、何度鎖に引っ張られて転んでも一人で起き上がるし、すぐに安定するし、すぐに襲い掛かろうとする・・・。無敵の兵士だ!!と思いました。
唯一救いなのは、もう一匹いたのですが、負傷して倒れていたということ。自律はできても傷は治せないから、中枢がやられたらそこで終了、ということかなぁ?
でも、自分で負傷したところも修理できるようになったら、本当に不死身の戦士で、はっきり言って恐ろしい・・・。
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Giant Micro Plastic
安西剛さん
全ての作品の中で、この作品が一番好きで衝撃的でした!!!!
安野さんの作品よりも、メッセージを感じてしまって!!!
私が個人的に「ゴミ」という素材が好きなのですが、そこを差し引いても強烈な印象!!!!
作者の方が在廊していたら、絶対色々伺いたかったです!!
マイクロプラスチック。私たちが日常的に使うプラスチックは、ゴミとして自然界に捨ててしまうと、極微細なサイズにまで粉々になり、海へ流れていった先で魚の体内へ・・・。そして巡り巡ってその魚を私たちが食べる、というサイクルに今なっています。
その海に流れ着いているマイクロプラスチックを拾い、もう一度つなげて大きなマイクロプラスチックにする、という作品でした。
元が微細なプラスチックなので、つなげてもそれほど大きくならなかったのか、出来上がった大きなプラスチックは顕微鏡で見ることができました。
そして、それだけでなく・・・。
その顕微鏡で見たプラスチックを、そのまま、何倍なのか分からないのですが大きな作品に作り替えて、展示していたのでした!!
さらにさらに、その大きな作品の素材は「紙」だったのです!
私は、ここにすごく優しいアイロニーを感じました!!
どんなに細かくなっても、永遠に自然に返ることがないプラスチックを集めて大きくしてみたものの、マイクロ過ぎて永遠に大きく戻せないプラスチック・・・。やっと集めたプラスチックを、さらに大きく表現するために使った素材が「紙」・・・。。
紙だったら、いくらでも大きくつなぎ合わせられるし、細かくなったら自然に返るし、リサイクルというよりも自然界のエコサイクルにもうすでに組み込まれていて、優秀な素材!!!!!
その紙で、プラスチックを表現するなんて、なんてすごい作品なんだろう!!と思いました。
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感想、まとめ
全体として思ったことは、映像作品が多かったかなぁというところで、生成AIの進化の恩恵が現れているなぁと思いました。その反動か分からないのですが、立体作品の方にめちゃくちゃ魅力を感じてしまった私です。
私は元々絵画芸術が好きなのですが、円安の今、日本の美術館は海外の美術館から、有名な絵画が中々借りられない実情があります。
でも、今回のような文化庁の事業を観て、国内クリエイターの方々のポテンシャルのすごさを感じ、これから逆に海外の美術館へ貸し出すくらいの作品が、日本のクリエイターの中から生まれる可能性がある!と思いました。
この可能性がきっと、未来の日本を救うんじゃないかなぁ、と本気で思ってます。
あと、シンプルにこの事業の普及のために、もうすこしキャッチ―な事業名にした方が良いかも・・・(;^_^A
2月24日(月)まで開催しています!!お近くに来られるご予定の方はぜひ!(*^-^*)