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めんどくさがりやの私が「お弁当箱」のおかげで35年以上お弁当が続いてしまっている話②

スピーチイベント「TEDxKIOICHO」にスピーカーとして登壇させていただいたときの話をテキストに書き起こした続きです。(TEDx…アメリカに本拠地を置きプレゼンテーションイベントを組織する非営利団体TEDから公式にラインセンスを受けて行われるプレゼンテーションイベント)

ぜひ、お弁当生活のきっかけや、お弁当箱=「中身を守りながら持ち運べる蓋つき容器」という存在が私たちの生活をいかに拡させたかの考察を含む①から読んでいただけるとうれしいです。

Why BENTO  BOX inspires me?


「中身を守りながら持ち運べる蓋つき容器」=お弁当箱。このとても単純な物体が、なぜこんなにめんどくさがりな私にお弁当を続けさせることができているのか、その価値について紐解いていこうと思います。

モビリティ→広がる自由度

1つめは、やはりこのモビリティです。
どこにでも持ち運べて、蓋を開けたらすぐに食べられる。一人で食べてもいいし、誰かと食べてもいい。いつ、どこで、誰と食べるかが自分の意思で選びやすくなり、時間と場所の自由度を上げてくれます。

考えてみると、駅弁なんてすごいですよね、
食事を持ち運びながら食べている自分を、運んでもらっている。

把握と記録、食事バランスの可視化

2つめは、自分の食べているものを把握し、記録しやすいことです。
1つの箱に収めると、自分の食べているものと量がわかりやすくなります。
写真にも収めやすく、食べているものの割合も可視化しやすいので、食事バランスも確かめやすくなります。

自分の食事の履歴がわかると、普段の食生活の全体像が見えます。暴飲暴食しちゃった日があっても、まあふだんそんなに食べてないしね、と安心できたりします。近年、栄養バランスが計算された冷凍弁当サービスが市場拡大しているのは、箱によるモビリティの高さに加えて、盛り付けの割合で栄養バランスを可視化しやすいからだと思います。
ちなみに私はお弁当の中身の割合を「ごはん1:おかず1」「おかずは主菜(お肉やお魚)1:副菜(野菜とか豆とか海藻)2」をざっくり目安にしています。

「自分が食べいたいものは何か」を問う力

コロナ禍を経て、飲食店のテイクアウトやデリバリーが拡大し、食事の選択肢はぐんと広がりました。まさに「持ち運びできる蓋付き容器」のおかげです。これまでは今いる場所、入ったお店のメニュー、目の前に売っているものだけで食事を「これでいいや」と消去法で決めていたかもしれません。

でも持ち運びできる容器のおかげで、つまりさまざまな食事の弁当化によって、選択肢が食事を決めなくても良くなり、私たちは「自分が本当に食べたいもの」が選びやすくなりました。選択肢が広がるほど、私たちは自分に問うことになります「何が食べたい?」と。

家の中で使うと家事のムダが減る

ごはんとおかずを盛り付けると、お皿がいくつも必要になりますが…
お弁当箱だとほら。1つで済みます。

家の中の食事でも「お弁当箱に詰める」という選択肢を持つと、洗い物の時間や、洗剤や、水の節約ができます。ついでにラップなどのゴミも減らせて、温め直さなくてもいい気もちになるので、電子レンジの余計な熱源も使わずに済みます。

価値のリフーレミング

冷蔵庫に「残り物があるよ」というのと、「お弁当があるよ」というのだったらどうでしょう。私は帰りの遅い家族に夕食をとっておく時、左のようにお皿にまとめてラップをしておくと、つい「残りものあるよ」と言ってしまうことがあります。

お弁当箱に詰め替えると、中身が全く同じなのに「お弁当」。お弁当箱というフレームに移し替えるだけで、価値がリフレーミングされるです。

家庭内食品ロスが減る

家庭内食品ロスの原因は主に、①直接廃棄(手付かずのまま捨てる)②食べ残し③過剰除去(皮の剥き過ぎとか)で、特に①②が大きな割合を占めています。だから冷蔵庫に埋もれがちなものって、家庭内の食品ロスの予備軍なんですが…。


例えば紅生姜。大きな冷蔵庫の中にいるときは、その他大勢に埋もれてしまうけど、お弁当箱という小さな空間に入れば、彩り名脇役。その価値が一気に変わります。これもまた、箱による価値のリフレーミングです。

フタを開けるワクワク

お弁当箱のフタ、開けたくなりませんか?

フタをあけるときって、なんかワクワクします。
私は人を驚かせたり、喜ばせたりするのが好きです。お弁当箱は、フタのおかげで毎回それを演出できます。思春期の子を驚かす嫌がらせ弁当、というのが話題になりました。これも、蓋を開ける行為があってこそできる演出です。そういえば外のお弁当も、高級幕の内や松花堂弁当は、蓋が透明じゃないですね。
浦島太郎も、舌切り雀の意地悪なお爺さんも、蓋を開けちゃいけないと言われたのに開けちゃいました。蓋を開けるって、耐え難い魅力があるんだと思います。

お弁当箱はモバイルな食卓

ご自身やご家族のお弁当を作り続けている野上さんにとって、お弁当とはなんですか?と聞かれることがあります。そのとき私は「モバイルな食卓です」と答えます。
食卓にならぶ、普段の食事を小さくまとめたお弁当をそう思うきっかけになった出来事が1つありました。(③へつづく↓)



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