ただ、信じる
長女が一人でばあばの家に行ってみたいと言った。
そろそろ一人で行っても良い頃だとは思っていたが、その時は唐突だった。
年齢の割に幼いなぁーと思っていた長女。
夜一人で階段を降りてトイレに行くの嫌がり、
一人で留守番も出来ればしたくないし、
甘える時間も年下の長男より多い。
そんな長女が学校から帰ってきていきなり、行こっかなーっと言ってきた。
顔には不安も残っていたが、彼女の中で何か押されるものがあったのだろうと思い、大事な時な気がして、母に連絡した。
私とは何度も通っている道。
今でも私と手を繋いで進む道。
言い出したものの、不安でいっぱいの表情で家を出た彼女は、いつものように私に甘える余裕もなく、後ろ姿を見送る私を振り返る余裕もなく、緊張した様子でその道を進んだ。
電車で1回乗り継いで、40分ほどで着く。
携帯電話は持たせていない。
ただ信じて、祈って、母からの連絡を待つ。
妄想し、不安がよぎる。
でも信じる。
大丈夫!
信じる。
ああ、なんと長いことか…
電車が到着する時間…
1分、2分…
電話が鳴った。
涙声の長女。
この40分、心の中で色々なものと戦ったのだろう。
大丈夫、そう自分に言い聞かせ
自分を信じたのだろう。
唐突で、大きな出来事だった。
彼女にとって自信になって欲しい。
自分の心の戦いに勝てたこと。
信じる。
親が出来るとても大切なこと。
これがなかなか難しい。
でも
信じる!
あぁ、早く長女に会いたい。
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