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主婦だからって諦めなくていい。自分らしいセカンドキャリアの歩き方

ここ数年、「主婦のセカンドキャリア」について考えることが多い。

かくいうわたしは結婚を機に会社を辞め、専業主婦に。そして出産。小さい息子を育てながら在宅ワークで小遣い稼ぎをしたり、主婦起業をしてみたりと模索したのち、息子が11歳のときにパートに出た。そこからいろいろあって現在はライターの仕事と、Web制作会社でプランナーとして仕事をさせていただいている。

ここに至るまで、主婦がセカンドキャリアとして仕事をするということはなかなか大変だなぁと思いながらやってきた。わたしもまだまだ途中だが、ここに来るまでのことを振り返りながら、感じたことを書いてみようと思う。

会社を辞めて、専業主婦になって、子育てをして。
子育てが少し落ち着いたから、さぁ仕事しようかとなったとき、まず第一選択肢に入ってくるのが「近所のパート」だ。

家事育児をしながら働くとなると、大きな責任を伴う仕事は負担が多い。子どもが熱を出したら休みをとりたいし、いちおう養われている身としては家族の晩ごはんも仕事のうち。さらに主婦界では友人と会うのも平日昼間。土日は家族で過ごすから、基本的には誘い合わない暗黙のルール。

それを差っ引いた平日日中の持てる時間で働ける何か、ということになると、パートが一番手っ取り早い。

わたしも専業主婦からパートに出始めて世界が広がったし、接客業は好きなのでなかなか楽しかったし、扶養内で稼げる程度で収めたいということであればパートはとても好都合な選択だと思う。専業主婦って、出会う人が限られる。夫と子ども、その周辺。ママ友。程度。そこから世の中に出て、世の中にはこんなにいろんな人がいるんだなと世界がめちゃくちゃ広がった。

パート仲間とも仲良くなり、すごく楽しく5年間仕事した。

だがパートとして募集されている主な職種は、スーパーなどの小売店スタッフや介護サービスなど、体を使う職業が多いと感じるし、「パート」として雇用されると基本は最低賃金からのスタートだ。

わたしが住む神奈川県では最低賃金がかなり上がって1000円を超えているので良いほうだとは思うが、そこから先はあまり上がらないのが通常。わたしが知っている範囲では、めちゃんこ忙しい土日のスーパーとか、猫の手も借りたいようなところは1300円くらいまでは出るかな、と言ったところだ。

承認欲求の強いわたしは、パートでもなんでも仕事となると成果を出して「能力に応じて給料あげてほしいぜ」と思うタチなので、パート先での「絶望的に上がる気がしない給料体系」が辛く感じることもあった。

立ち仕事のパートは楽しいが、もっと稼ぎたいと思うとたくさん入れなければならない。5歳くらい年上のパート仲間が「もう体力が持たない」と辞めていったりを見ると、60歳になった時にできるかというと、ちょっと厳しいかなと思うようになった。

しかもパートで10年働き、どんなにベテランになったところでパートである以上あまり給料の上げ幅も期待できないだろう。だからといって社員になるというのもちょっと違うというか。

さらにわたしは接客は好きなのだが、立ち仕事や体を使うことが嫌い。できればパソコンに向かってデスクワークをしているほうが好きだし、まあパートでも病院の事務などもあるにはあるが、どうせなら会社員時代に得たスキルも使ってそれなりのお給料をもらえるところがいいなぁ。なんて思って仕事を探すと、まぁ全く見つからない。

そんなときに、こんな記事も書いた。

派遣ならもう少しベースの時給が高くてデスクワークができるかなと探したこともあり、派遣会社に数社登録したこともあった。だが派遣会社の人に話と、わたしが希望する「派遣の事務で週3回」みたいな募集は23区内にしかなく、あっても激レア人気案件で、募集メールを送った数秒後に募集終了になるそうで、かなり狭き門だとわかった。

そうなると自分で何か身を立てられるよう考えるしかないかなと思った。大学を卒業して結婚する前まで、会社員として約10年働いてきて、そこで培ったスキルも活かしたい。だけど主婦としてやっておきたいことも含めて考えると、社員として働くには負担が大きすぎる。じゃあ自分で何かできることを探すしかないのではないか?と考え始めた。

パートしながら、10年後には別のことで稼げるように準備していこうと考えて、まずやってみようと思いついたのが「ライターの仕事」。書くことは以前から得意で、何の苦も無く文章を書ける。ときどき「読みやすいね」と褒められる。自分が何か感じたことを、言葉で伝えるのが好き。

ただ、アウトソーシングで募集されている「ライター」のほとんどは、指定されたキーワードを挿入して書くSEOライティング。専業主婦時代にやったことがあるが、自分が興味のないことをひたすら書くのはわたしにとってなかなかのストレスで「全く向いてないな」と思った。そして大体の場合、SEOライティングは低賃金案件が多い。今やAIの登場でSEOライティングなんてAIのほうが上手に書けたりするので、もはやAI使いのほうが重宝されるのではないかとも思う。

検索ヒットのために与えられたお題を無味乾燥に書くのではなく、伝えたいことを自由に発信したいわたしとは同じライターでも全然方向性が違う。きちんと想いを伝える記事を書くライターを目指したいと思っていた。

ということで、まずはコラムのようなブログをたくさん書いてみようと思い、noteを立ち上げた。

まずはとにかくたくさん書いてみないとということで、100記事までは毎日書いた。そのあとも内容を振り返りながら書き続けた。すると、ときどきひょっこり「我ながらいい記事が書けたなぁ」みたいなのが出てくる。そういうものをいくつか集めて、わたしの文章に合いそうなWebメディアを探して、ライター出来ます、とたくさんのメールを送った。そこからライターのお仕事をいただけるようになった。

せっかくいただいたチャンスだからと、がむしゃらに頑張った。とにかく塩辛いか乃というライターを育てたいと、本数も頑張って書いた。そのときは「お題に沿ったエピソードを応募する」形式だったのだが、これ以上思いつかないくらい応募し「こんなに送ってくる人は今まで見たことがない」と編集さんに驚かれたりした。それくらい必死だった。

そうこうしているうちに、別のメディアからもお仕事をいただけるようになったり、ブログ記事を読んで問い合わせをいただくことも増えた。わたしの視点を面白く感じてくださり「このブログのテイストが好きなので、そのままの感じで書いてほしいです」と仕事を依頼されたときはめちゃくちゃ嬉しかった。

パートをしつつ、ライター業をもっと広げたいと、アウトソースのサイトにも登録したり、時間を見つけたは間口を広げる工夫もした。

そうこうしてライター業を頑張っていたある日、現在お世話になっているWeb制作会社から連絡をいただいた。いちおう会社員時代の経歴も掲載していたのをみてくださったのか、ライターさんで、かつ企画もできる人ということでプランナーとしてのお声がけだった。

パートも楽しかったし、ライターのお仕事もすごく楽しくやりがいをもってやっていたが、もうひとつだけ頭の片隅にあったのは、「会社員時代みたいに、もう一度、法人の組織で働いてみたい」ということ。昔いた会社で成功したプロジェクトの喜びが忘れられなかったせいもあるかもしれない。

だけど今さら会社勤めなんてできる気がしないし、そうなると家事は放棄するしかない。やるにしても子どもが大学を出て就職してからかな。でもその頃私は50代半ば。そこから社員として働く気力も体力もないだろうな。と半ばあきらめていた。

だけどフルリモートの業務委託でそういう道があるというのはわたしの頭からすっぽ抜けていた。オンライン事態に抵抗はなかったが、フルリモートで本当に仕事ができるのかも不安だった。

もともとルーティンワークとか、同じ場所に居続けることがストレスになるタイプだ。家に居続けて景色が変わらないと「誰かとしゃべりたい」「目新しいものを見たい」とムラムラしてしまうので、家にいて仕事ができるのは主婦にとっては魅力的だけれども、大丈夫かなという心配もあった。

けれどこんなお話は千載一遇の大チャンス、まずはチャレンジしてみることにした。最初は勝手がわからず大苦戦。フルリモートだと、仕事で関わる人と仕事の話しかしないため、会社の文化を肌で感じるのが難しい。仕事に慣れるのもそうだが、文化を理解するまではけっこう苦戦した。

だが必死で食らいついたおかげか、なんとなく要領がつかめるようになってくると、風通しの良い社風に居心地の良さを感じるようになってきた。リモートワークでまる1日引きこもりも、最初は「景色が変わらない」とゲンナリしたものの、人とは慣れるもので、最近は全然何とも思わなくなってきた。オンラインの不便さを補うツールも多用されていることもあり、仕事の進行自体にストレスを感じることもほとんどない。平日の日中に用事が多いわたしは多少稼働が限られてしまうのがジレンマではあるが、打ち合わせ以外の資料づくりなどは夜で何とかカバーさせてもらっている。法人相手のお仕事は毎回ものすごいプレッシャーを感じるが、それがうまくいったときにはこの上ないやりがいを感じる。

そんなこんなで必死でやっていたら、あっという間に1年半が経った。そんな今でも「こんな働き方もあるんだなぁ」としみじみする瞬間がある。

振り返ってみれば、自分が知っていた「主婦の働き方」という選択肢はとても狭かったのだなと思う。ガチガチのフルタイム勤務ではなく、主婦として自分がやるべきことや家族との時間など必要な時間を持ったうえで、会社で仕事をするなんて、絶対無理だと思いこんでいた。エンジニアやデザイナーなど、一部そういう職種もあるけれど、わたしはそのカテゴリには入らないと思っていたし、そんな名前のない職業をどう探せばよいかさっぱりわからなかった。

でも主婦でもこういう働き方の可能性がある、ということが知れたことは自分にとって本当に良かったし、同じような悩みを抱えている人にもぜひ知らせたい。

「主婦の働き方」が、探せばいろいろあるというのは、普段生活していて受け身な状態ではなかなか入ってこない情報だと思う。わたし自身も、自分で考え、悩み、模索して、行動して、やっと巡り合えた。だけどまだまだそこまでやれる人は多くないのかなと思う。だからこそ、こういう働き方もあるよと伝えたいなと思うのだ。

よくそんな話を友人にすると「いか乃ちゃんみたいにスキルや行動力がないから」なんて言われることもあるのだが、スキルは人それぞれ持っているものが違うからあまり関係ないと思う。実際、ハンドメイドが得意な人は、メルカリや手作り販売サイトで稼いでたりするし、今は本当にさまざまな活躍の場があると思うし。そしてわたしは確かに情報収集力も行動力もあるほうだとは思うが、そこまでの検索力がなくとも、さまざまな場所で情報が取れるようになり、「主婦が自分のスキルを活かした働き方」としてさまざまな選択肢を知ることになればいいなと思っている。

専業主婦で子育てをして、主婦は社会的地位がめちゃくちゃ低い生き物なんだなと痛感することがとても多かった。専業主婦時代は、キャリアとしては「ブランク」とみなされる。だけどわたし個人の感覚で言えば、会社員として働いていた10年よりも、主婦として子育てをしてきた10年余りのほうが、より理不尽で忍耐力を要することが多く、また思い通りにならないことだらけだった。その分人間的に大きく成長できる機会だったなと思う。

若いころに会社でやらかしていた青臭い自分を思い出し、いまならもっと大人な対応ができたのにな、と思うこともたくさんある。だからこそ昔より成長した自分で仕事ができることが嬉しいし、もしそう願う人がほかにいるなら、その感覚を味わってみてほしいな、という気持ちでこれを書いている。

今まだ子育てが大変でフツフツしている方も、子育てが落ち着いて仕事をしようかなと思う人も、いろんな選択肢があるという前提であれこれ模索してみると、もしかしたら想像もつかなかった世界が待っているかもしれない。

主婦が働くべきだとかそういうわけではないし、やる気満々で専業主婦になった割には家事が嫌いすぎてまったく向いてなくて、結局スキルを活かしてお金を稼ぐしか承認欲求を満たせないわたしのいち意見だが、参考になればこれ幸い。

そして、あれこれ模索していたわたしにお仕事の声をかけてくださる方には本当に感謝しかないし、だからこそ精いっぱいやれることはやりたいという気持ちでひとつひとつに取り組んでいる。その積み重ねが大事だなと思っているし、その行動が自分の未来を創ると思っている。

同じようなことを思う主婦の同志が自分らしく楽しく生きられたら良いなと思うし、わたしだってまだまだ途中。これからも自分らしく進んでいこうと思う今日この頃だ。

今日もお読みくださりありがとうございました!


祝★出版!
noteの記事が書籍化しました!
どんどんラインナップが増える予定です。ぜひお手に取ってみてください。


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