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情報発信の心得が企業ブランドを守る。SNSリテラシーの高め方

最近、情報発信を巡るトラブルや不祥事が原因で、企業や団体の価値が損なわれるケースが増えていると感じています。社員の突飛な行動や著作権侵害、登壇時の不適切な発言、飲み会での不用意な発言などがSNSを通じて拡散され、結果的にメディアで取り上げられる事例も少なくありません。

特にスタートアップ企業では、知名度を高めるために情報発信を積極的に行いたいと考える一方で、不用意な発言への懸念から、社員への発信の協力を躊躇しているケースも見受けられます。私自身も広報業務に携わる中で、以下のようなジレンマに悩むことがありました。

  • プレスリリースや取材記事は積極的にシェアしてほしい

  • ただし、ブランドを損なうリスクや炎上の可能性がある発信は避けてほしい

このような状況を受けて、「情報発信リテラシーを向上させることが重要」「ブランドは社員一人ひとりの言動の積み重ねで形成される」という考えのもと、社内での意識づけを強化する取り組みを始めました。

社員への意識づけの具体例

  1. 世の中の炎上事例の共有
    全社ミーティングやSlackのgeneralなど全体発信できる場で、定期的に過去の炎上事例を共有しました。「こんなことで炎上するとは思わなかった」という内容が多いため、注意喚起として効果的だと感じました。
    少し前ですが「退職エントリ」ブームの時のセルフブランディング優先の投稿や、天災や事故を露骨に踏み台にしたデジタル広告など倫理観を欠いたものなどをシェアして「これはマズイんだ」という気づきを持ってもらっていました。

  2. ドキュメントの作成と共有
    「情報発信のスタンス(心得)」というガイドラインを作成しているとPRが上手な上場企業の先輩より聞きました。
    そのポイントを活かして、自社と自社サービスに合わせてOK集/NG集を作成してnotionや共有ドライブに設置。
    また、新しい社員が増えるタイミングでのオンボ資料に加えてもらったり、改めて告知することで情報発信の怖さや影響力の大きさを再確認してもらいました。

ドキュメントで強調した点はこちらです!

  • ちょっとした発信内容であっても、多くのステークホルダーに影響を与えること

  • 個人の発信であっても、会社のメンバーとして見られる

  • 社員一人ひとりの言動が会社やサービスのブランドを形成している

  • 発信によるリスクを最小限に抑えることは、自身を守ることにつながる

さらに、具体的な「OK/NG集」や他社の炎上事例も取り入れ、社員が「気をつけるべきポイント」をイメージしやすいよう工夫しました。


情報発信リテラシーの土台となる「社風」

こうしたドキュメントやルールは効果的ですが、それ以上に根本的には「社風」そのものが情報発信のリスクを軽減すると感じました。
グレーゾーンを走ったり、口の悪さすらも「まあいいじゃん」という雰囲気がある会社では後に続く新入社員も「いいのかな」と誤解します。

思い当たる方、メンバー発信が心配と感じる経営陣、広報や人事採用の方々はまず以下からチェックしてもらうといいのではないでしょうか。

炎上対策リスト

  • 飲み会など公共の場所かつ気が緩む場所で他社や自社の名前を正式なフルネームで乱用しない

  • 攻撃的な発言や自虐的なジョークを日常的に避ける

  • そういう話が多い場合は、上長などから止めに入る

  • 経営陣やキーパーソンが模範となり、良い発信姿勢を示す

  • その発信をRTしてもらいながら、望ましい発信と望ましくない発信について気づいてもらう

  • リモートワークが増えた世の中では出社時に比べて意識づけが難しい面もあります。
    それでも、社内のコミュニケーションを通じて、社員一人ひとりが「自分たちの発信がブランド価値を築いている」という意識を持つことが大切です。

最後に

大手企業や厳しい業種では個人のSNS利用が制限されていたり「個人の見解です」という説明をすることも多いですが、とりわけスタートアップ企業では社員にSNSで新製品や求人、取材記事などシェア拡散を協力してほしいことが多いと思います。
そして、企業ブランドは、その社員一人ひとりの情報発信によって形成される部分が大きいです。
「情報発信の心得」を浸透させることで、企業としての成長や信頼向上につながると感じています。

このnoteで、SNS利用や情報発信の方向性について何か動き出すきっかけになれば幸いです!
そして、炎上ニュースみたいなものが減るといいな。


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