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めざせ100miler!更年期女子のトレイルランニング168kmへの抱負

トレイルランニングというスポーツをご存知だろうか。
林道や登山道など舗装されていない自然の中を走る、アウトドアスポーツのこと。発祥はアメリカだが、近年は日本でも競技人口が増えてきている。NHKでも特番が組まれる。

独身の頃はオートバイが趣味で、自分の足で走るなんてとんでもないと思っていた私だが、今はトレイルランニングにすっかりハマっている。ツーリングのその先の道を旅するワクワク感がたまらない。

最初は公園の不整地、15km前後のレース、30km、50km…そして富士山の麓・御殿場から河口湖へ向かって100マイル(168km)走る大会にエントリーしてしまった。

更年期に抗いながら、なぜトレイルランを始め、100マイルのレースにエントリーするまでになったのか、振り返ってみようと思う。


初めてのフルマラソン、その後

板橋のシェアオフィスにて

「自然の中を100マイル走るレースに出て、完走を目指しているんですよ」
契約した新しいシェアオフィスのパーティーで、若者は目を輝かせて初対面の私に熱く語った。

2019年春、私はフルマラソンに初挑戦。なんとか制限時間に完走。
たまたま居合わせた若者とそんな話をしたことがきっかけで、100マイルの話を聞かせてもらった。
100マイルだとか山の中だとか熱く語られたが、彼が何を言っているのか、この時の私は全く想像ができない。

若者は続けてこう言った。
「板橋のタップルームを拠点に、ビールを飲みながら楽しく走るランニンググループを作るんです」
こちらは理解ができた。ノリと勢いもあり、私も仲間に入れてもらうことにした。

ランニングのきっかけ

そもそも何故走り始めたのか。
よくありがちな話だが、ダイエットのためである。

40代前半の頃、夫の転勤で仙台市に転居。1歳になる息子の育ほぼワンオペ育児に奮闘していた。車生活とストレスと食べ物が美味しいことで、すっかり太ってしまう。
東京に戻りなんとなくウォーキングを始めた。それを知ったオートバイ仲間に誘われたのが「スイーツマラソン」。6kmを走れるようランニングを始め、地元のサークルで酔った勢いから、その場で板橋cityマラソンにエントリーした。

初めての42.195km。板橋cityマラソン。


新しいランニング仲間と山へ

街ランを楽しもう

若者に誘われ、私もそのグループに参加した。
人見知りは激しい上に、若者と同世代の男性が多いグループで気が引ける。私より歳上のおっちゃんもいたけど、若者同様に100マイルとやらを目指していることに驚いた。
女性陣はランニング経験者が多く、シュッとした美人ばかりでキラキラしている。
こんな中、関門ギリギリのマラソン初心者、更年期障害真っ只中なデブのおばちゃんがいるのは似つかわしくない。でも「楽しくビールを飲む」というゴールは同じだから、街中をゆっくり走ってビールを飲んでゴール!とても楽しめた。

トレイルランニングデビュー

何度か街ランを重ねて、夏はトレイルに連れて行ってもらった。
装備を何も持っていないが、ひとまずソフトフラスク(トレラン用の水筒)がついてるザックとシューズを買った。
飯能にある里山は初心者向けの低山で、高低差もないコース。だが、キツくてしんどくて…みんなに付いていけなくて申し訳ない思いでいっぱいになる。景色を楽しむ余裕もなくて、ただキツかったことしか覚えていない。

飯能トレイル。まだ楽しむ余裕はなかったけど…


トレイルランニングの単独練習

仲間と一緒に行くのは気が引け、トレランからは足が離れた。
1年後、ショップ主催の初心者向けの講習会の告知を見て、思い切って参加した。
山のマナーや走り方の基本を教えてもらい、トレイルランに必要な道具もしっかりと揃えるようにした。また、1人でも迷いにくい高尾山や青梅のハイキングコースに通うようになった。

大会に出たら周りにスタッフもランナーもいるだろうから、安全度は増すであろうと想定した。2021年、青梅高水国際トレイルレースの15kmの部にエントリー。グループで参加している人たちばかりで賑やかな中、誰も知り合いはおらず1人だった。それでも、多くの応援が嬉しく無事に完走できた。

この経験が自信になって、仲間と一緒にトレイルランニングへ出かけるようになった。


再び、ランニング仲間と山へ

まだフォローしてもらうことが多く最後までついていけないこともあったけど、仲間と行くトレランはとても楽しかった。励まし合いながら急登に挑み見えた景色は素晴らしい!
暑い日は水場が心地よいし、川にだって飛び込んで身体を冷やす。
そして最後はビール!これが格別である。

こんなトレランを繰り返していくうちに、一緒に大会へエントリーするようになった。
旅行がてら野沢温泉や伊豆トレイルジャーニー、日帰りで青梅高水や富士五湖へ。ゴール近くにクラフトビールのタップルームを探しての打ち上げ!
最初は20km未満のショートコースだったのだが、少し距離の長いコースに挑戦を始めた。迷っていると、大概若者に背中を押される。彼は気持ちを盛り上げその気にさせるのが上手かった。30kmを何度か挑戦し、50kmの大会にエントリーするようになった。

50kmの挑戦

50kmといえば、フルマラソンより長い距離だ。さらに急な上り坂もあれば、ガレた岩場や根っこだらけ、延々と続く木段だってある。若者の後押しがなかったら、絶対にやってないと思う。

みなかみTrailRace2022

初めての50kmは「みなかみTrailRace2022」という、ノルン水上スキー場から1周約25kmを2周する大会で、周回によっていくつかのクラスがある。
青梅高水30kmを完走たこともあり、25kmか50kmか迷った。仲間の若者が言うには「30km完走できて25kmはありえない」だそう。
結果、2周目は仲間のおっちゃんがペースメーカー(伴走)をしてくれたにも関わらず、制限時間を30分オーバーしてDNF(Do Not Finish)だった。
でも初めて50km走りきり充実感に溢れ自信がついた。
私は涙目で「焼肉!ビール!」と声掛けあって真っ暗な林道を下り、ゴールして待っていた焼肉とビールが本当に美味しかった。用意してくれた仲間が暖かくて、とても嬉しかった。
そういえば、ナイトランは初めて。1人じゃまず、挑戦できなかったと思う。

みなかみTrailRace2022はDNFだが、おっちゃんのおかげで真っ暗な中も走り切れた


奥信濃100 50kと筑波連山

その翌年の2023年、「奥信濃100」の50kmに挑戦するが道を間違えてDNF、真夏の修行のような「筑波連山48k」は中間関門に間に合わずDNF。50kmはやはり、おばちゃんにとって甘くはなかった。
奥信濃は渡渉(沢の中を歩く)もあって、冒険感あふれる素敵なコース。私がロストした箇所はブナの原生林が広がる美しいトレイルだったらしい。
翌年完走に向けて、ロードの走り込み中心に練習を行なった。

筑波連山。朝から30度超える中、ロードもトレイルもハードで、女性完走率は6割だった。


50kmの再挑戦

2024年、コースを外れてしまった奥信濃に再チャレンジした。
11時間の制限ギリギリと思っていたが、林道の下りをしっかり走ることができたので、10時間を切ってゴールできた。昨年同様、100kmエントリーのおっちゃんと会場まで向かい、昨年ロストしたカヤノ平エイドで再会、ゴールで志賀高原ビールを飲み、翌朝は飯山でパフェを食べた。
昨年と殆ど同じ流れだけど結果は全く別で、DNFと完走とではまるで気持ちが違う。でもDNFが悪いわけではなく、まずエントリーしたことは尊いし、そこへ向けて練習して調整して気持ちを高めていく過程が素晴らしい経験となる。
それでもやはり、結果が伴えば喜びもひとしおだ。

初めての50km完走の次は100kmかな…と思い始めた。
そしてあの日、若者が語った100マイルが、少しだけイメージできた。
ちなみに若者もおっちゃんも、今や立派な100milerだ。

奥信濃100 50k。無事にゴールできたので、ビールが昨年以上に美味しかった。


100マイルレースへ

国内最高峰のトレイルレース・Mr.FUJI100という100マイルレースの、エントリー基準が緩和された。
これまでは100kmの大会を何度か完走しないと出られなかったのだが、50kmを2回完走すればエントリーできる。私は奥信濃で1回完走しているので、エントリーまでにもう1回完走すれば100マイルに出られる。

FunTrails Round 50k

11月開催のFTR…FunTrails Round 秩父&奥武蔵の50kmに出て、完走すれば可能だ。
奥信濃より制限時間が長いのだが、それだけ厳しいコース。
正直完走できる気がしなかったが、思い切って最終日にエントリーした。完走できたら嬉しいけど、できなくても困らない。これまでロードの練習中心だったから、いいトレーニングにもなる。

100km・100マイルに板橋の仲間がエントリーしているが、久しぶりに仲間のいないレースエントリーと思ってた。
会場に到着するとスタッフや選手に、私のことを知ってる仲間が大勢いる。見知らぬ方からも応援がいつも暖かく、見知らぬ選手同士で励まし合ってゴールを目指す。
思えば初めて青梅高水に出た時は1人だったけど、今日は1人でエントリーしながらたくさんの仲間がいたのだ。

最初のエイドを過ぎるとハードなアップダウンが続く。他の選手に言われて気がついたのだが、目線を上げると秋の秩父は紅葉が始まり、キラキラと輝いている。
後半は雨が降り日没後はペースを落としたけど、最終エイドにも大勢の仲間がいて、応援を受けて下りを走りゴールテープを切った。
キツくてもう2度と走りたくないのに、また来年もチャレンジしたいと思える、本当に素敵な大会だった。

最終エイドにて。別のグループでお世話になってる友達に会えた時の安堵感は、残り12kmゴールまでの力になりました。

Mt.FUJI100

翌日、100kmと100マイルに出た仲間と、いつものタップルームで軽く打ち上げした。お互いを讃えて飲んだビールはとても美味しかった。

酔いが回ってきたところで、Mt.FUJIのエントリー最終日であることを思い出した。若者に背中を押されて、エントリーサイトへアクセス、ポチったところで解散した。
これまで東京マラソンも表参道&名古屋ウイメンズも伊豆トレイルジャーニーも抽選は外れてばかりだから、今回も当選するとは思えないけど。

いつもの光景だが、このあと…


想像していなかった未来

エンジンついてる乗り物に頼り切った生活から、ダイエット目的のウォーキングからの6kmランニング。フルマラソン。トレイルランニング…50kmレースの完走という目標から、100マイルレースへの挑戦をしようとしている。
そんな未来は、仙台で育児ノイローゼ寸前の私には、全く考えられなかった。
実際には当選しても見送るかもしれない。でも、あの時若者が語った世界に、私も飛び込んでみたいとも思っている。

また、走ることによって、美意識も変わってきた。
走ったあとのビールが美味くて大幅に痩せてないけど、仙台にいた頃の写真と比べたらずいぶん締まり、今の方がずっと若く見えると言われ、自分でもそう思う。
ランニングを通じて美人でシュッとした女性に囲まれ、少しでも近づくよう化粧やウエアに気を使いだし、デブが小太りくらいには引き締まってきた。さらに寄せていけるよう、コロナをきっかけに始めた筋トレも細々と続けている。

孤独な子育てに追われる冴えない40代から、更年期をぶっ飛ばして仲間と共にアクティブに輝く50代・60代に向かっていこう。

2024 Mt.FUJI100

#想像していなかった未来

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