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こども哲学実践メモ: しつもんゲーム

私立小学校の1,2年生向けに月に1回のこども哲学を実践中。
ファシリテーションスキルは勉強中のステータスですが、備忘メモを書くことで整理しつつ、誰か似たような取り組みをしている人の参考になれば幸いです。

最近の実践は、私立小学校からの依頼で3人のファシリテーターでやっていて、3回目のこの日は「しつもんゲーム」を取り入れてみました。

というのも、特に1年生はまだまだ自分のことが中心で、【対話】に持って行こうとしても、ファシリテーターと自分の対話になってしまいがち。
対話をしていくためにも、哲学対話のルールでお友達の言っていることを聞くことを伝えているけれど、実行するのは難しくって。
お友達が話している間もずーっと、次に指してもらいたくって「はい!はい!はい!」と手を上げていたり。

自分の思っていることを素直に話す、というルールはここの子たちはあんまり問題なくって。
みんなすごくのびのび、積極的に発言する。
授業でやっていても大人の目とか気にして消極的になる子も、模範解答のようなことを意識的に答えるようなこともなく、本当に素直でのびのび。

少しお友達の話すことや自分の興味の幅を広げてもらうことも意識して、今回は3回目ということもあり、このしつもんゲームを導入しました。

質問ゲームとは?

【やりかた】
①小グループに分かれる(1グループ5名くらいがちょうどいいかも)
②共通の質問と回答の選択肢を伝える
③質問に答える人を1人決める
④質問に答える子が選んだ選択肢を発表して、他の子たちは時間内ずっと発表した子に質問をする
⑤時間になったら隣の子に交代して発表と質問を繰り返す(今回は1人2分)

今回は小1、小2ということもあり、5名ずつ5グループに分けて、先生にも協力してもらって各グループに大人が1人入って質問をサポート。
④の質問をする人は発表する子の隣から順にやるケースがあるけれど、1年生くらいだと質問を思いつかない子もいるので、質問したい子が手を挙げて質問をする形にしました。
メインのファシリテーターが2分を計って、2分経ったら「交代~!」と全体にアナウンスする形で進めました。
6人のグループになるところもあったけれど、その場合は5名のグループのファシリテーターも発表者になることで全体の調整をしました。

は2つの質問でやりました。

『ひとに優しくしようと思う?』
1)うん、じぶんに優しくしてくれる子にはね
2)うん、優しくしてくれなくても優しくしなくちゃ
3)ううん、だっていじわるしてくる人もいるもん
4)うん、だってそうしないと嫌われちゃうから
5)それ以外
『お行儀よくしようと思う?』
1)うん、おとなが見ているときはね
2)ううん、だって疲れちゃうから
3)うん、そうするとおとながほめてくれるから
4)うん、だって人に迷惑がかかるから
5)それ以外

選択肢はどれもピタッとはハマらないからこそ、子供たちに「なんでそう思うの?」「こうゆう時はどうするの?」といったさらに突っ込んだ質問を促しやすくするかな、というポイントで作りました。

参考にしたのがこの絵本。

5年ほど前に、小学校6年生向けにやったものを少し簡単にしてトライしてみました。

実践してみて思うのは、ちょっと難しかったかな…ということ。

1年生の中にはまだ「質問」の意味を理解するのも難しい子がいたり、ゲームのやり方を理解するのに時間がかかったり。

質問をすることよりも質問に答えることに意識が行きがちで、発表者じゃないけれど友達の質問に答えたくなっちゃう場面は多々ありました。

また、「質問の形にならない」という場面も。
例えば、「人に優しくしようと思う?」の質問の時に『いじわるな人がいる』とだけで止まってしまったり。
1年生の語彙力だと言いたいことを形にするのが難しい子もいるかなと思うので、そこはファシリテーターがフォローして、『いじわるな人がいたら優しくする?』や『いじわるな人に優しくしてって言うの?』とか、その子の言いたいことを確認しながら質問の形にしました。

そうすると2分があっという間で、答えることにじっくり時間を使うよりも質問が形になりきる前にタイムアップになってしまってちょっと中途半端な感じかな…と思いつつ、3分ずつだと集中力がもたないかも?と思ったり。

1年生に最初にやったのですが、下の流れで70分通しでやったら最後の方は集中力切れがちで、途中で休憩を入れればよかったなと。

しつもんゲーム①「人にやさしくしようと思う?」

全体共有(どんなしつもんがでた?)

しつもんゲーム②「おぎょうぎをよくしようと思う?」

全体共有(どんなしつもんがでた?)

2年生はしつもんゲーム1回目の後に5分ほどトイレと水のみ休憩を入れたら比較的スッキリ最後まで集中できていた様子でした。

形として難しかったなと思うものの、2回目のゲームでは「なんでその答えにしたんですか?」「なんでそう思ったんですか?」と友達に質問するのがスムーズになって、友達の発言に耳を傾けるようになっていて、「そうなんだー!」という反応もあって、子供たちの意識が一歩外に広がったように思いました。

「人の話をよく聞く」

このルールを何度も言うのも一つの手法だけど、あえてしつもんゲームを入れてみるのもアリかなと実感しました。
質問をするためには、聞かないといけない、ということと、たぶん質問されて嬉しいと感じたこどもたちも多かったのかなと。

対話を深める質問が出てくるにはもう少し時間が必要ですが、いろんな形で深める方法を探っていきたいなと思いました。

こども哲学では、毎回新しい発見がありますが、今回も子どもたちの発言にハッとすることもありました。

『人に優しくしようと思う?』のしつもんゲームで、2の「優しくされなくても優しくしなくちゃ」を答えた子に、「なんで優しくしようと思うの?」と聞いた子に対して発表者が答えたのが

だって、やさしくすると、うれしいきもちになるでしょ?

見返りを求めて、じゃないんだなと思って、深いな~と。

あと、カルチャーの違いだな、と思ったのが、キリスト教系の学校だったので、「お行儀よくしなくちゃいけない時っていつ?」と聞いたらこどもたちが即答で「礼拝」って返ってきたこと。

こども哲学のファシリテーターはやるとすごくエネルギーを消耗するけれど、思いがけない言葉にハッとする時間でもあるからやめられないなぁと思います(^^)

私のファシリテーションスキルはまだまだだけど、現場で少しずつ実践しながら自分なりのスタイルを模索していきたいなーと思っています^^




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まえゆか/前田有香
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